トヨタの人気コンパクトSUV「C-HR」。その先進的でスタイリッシュなデザインに心を奪われる方は多いでしょう。しかし同時に、「デザインを優先するあまり、後部座席は狭いのではないか?」という疑問や不安を抱く方も少なくありません。特に、家族や友人を乗せる機会が多い方にとって、後部座席の居住性は車選びの重要な判断材料になります。
この記事では、C-HRの後部座席に焦点を当て、実際の広さ、乗り心地、荷室との連携、そして内装の質感に至るまで、あらゆる角度から徹底的に解説します。C-HRの購入を検討している方はもちろん、少しでも興味をお持ちの方も、ぜひ最後までご覧ください。
C-HR後部座席の広さ、実際のところどう?

C-HRの後部座席については、「狭い」という声としばしば耳にします。クーペのような流麗なフォルムを実現するため、居住空間、特に後部座席の広さが犠牲になっていると言われることもあります。 ここでは、実際の広さがどうなのかを具体的に見ていきましょう。
C-HR確かに後部座席の窮屈さと荷室の狭さは気になるけど運転はしやすくて良かったです pic.twitter.com/KZwsFZfV5o
— 中央区上落合 (@Kamiochiai_Chuo) May 3, 2022
身長別の乗車イメージ(大人・子供)
C-HRの後部座席に大人が乗車する場合、その広さは身長によって感じ方が大きく変わるでしょう。
大人の場合:
身長170cm程度の男性が座った場合、足元には握りこぶし1つ分程度のスペースが確保できることが多いようです。 しかし、身長が180cmを超えると、膝が前のシートに触れてしまったり、頭上が窮屈に感じられたりする可能性が高まります。特に、ルーフが後方に向かって下がっていくデザインのため、後席の頭上空間はSUVとしては高い方ではありません。 大人が長時間快適に過ごすには、少し厳しい場面もあるかもしれません。
子供の場合:
一方、お子様が乗る場合には、広さにそれほど問題はないでしょう。小学生くらいまでのお子様であれば、足元にも頭上にも十分な余裕があります。ただし、後述するように窓が小さいため、外の景色が見えにくいと感じる可能性はあります。
頭上空間(ヘッドクリアランス)と足元空間(ニークリアランス)の具体的な数値
C-HRの室内寸法は、室内長1,800mm、室内幅1,455mm、室内高1,210mmとなっています。
具体的な後部座席のスペースについては、以下のような計測結果があります。
- 頭上空間(ヘッドクリアランス): 座面から天井まで約94cm。 これは、身長によっては頭上にこぶし1個半ほどのスペースが生まれる程度の広さです。 しかし、ルーフが後方に向かって傾斜しているデザインのため、座高の高い方は圧迫感を感じるかもしれません。
- 足元空間(ニークリアランス): 前席のシートポジションにもよりますが、大人が座ってもある程度の余裕はあります。 しかし、広々としているとまでは言えず、長時間の移動では少し窮屈に感じる可能性があります。
これらの数値や情報から、C-HRの後部座席は、日常的な短距離の送迎などでは問題ないものの、大人4人での長距離ドライブには少し不向きかもしれない、ということが見えてきます。
乗り降りのしやすさは?ドアの開口部をチェック
C-HRの後部座席への乗り降りについては、少し注意が必要です。デザインを優先した結果、後席のドア開口部はやや小さめになっています。
特に、ルーフラインが低く、ドアの上部が傾斜しているため、乗り込む際に頭をぶつけないように少し屈む必要があります。また、ドア自体のサイズもコンパクトなため、大柄な方や、チャイルドシートにお子様を乗せ降ろしする際には、少し窮屈に感じるかもしれません。
さらに、特徴的なドアハンドルはデザイン性が高い一方で、初めて乗る人には場所が分かりにくいという声もあります。
閉迫感は本当にある?窓の小ささとその影響
C-HRの後部座席でよく指摘されるのが、「閉塞感」です。この感覚の主な原因は、サイドウィンドウの小ささにあります。
クーペスタイルを強調するため、後席の窓は上下に狭く、後方に向かって切れ上がるようなデザインになっています。 これにより、外からの光が入りにくく、室内が少し暗く感じられることがあります。 また、外の景色が見えにくいため、特に後席に座るお子様にとっては、少し退屈に感じてしまうかもしれません。
さらに、フロントシートの背もたれが大きく、前方の視界も抜けが良くないため、これも閉塞感を助長する一因となっています。 C-HRの後部座席の広さを検討する際は、実際の寸法だけでなく、この「窓の小ささ」がもたらす心理的な影響も考慮に入れると良いでしょう。
C-HR後部座席の乗り心地と快適性

広さと並んで気になるのが、後部座席の乗り心地や快適性です。シートの出来栄えや、長時間を過ごすための装備はどのようになっているのでしょうか。
シートの座り心地と素材
C-HRの後部座席のシートは、広さの面では妥協が見られる一方で、座り心地自体は良好であるという評価が多く見られます。
シートの座面や背もたれはフラットではなく、乗員の体にフィットするように立体的なデザインになっています。 これにより、座った時に体がしっかりとホールドされ、安定した姿勢を保ちやすいです。クッション性も固めに設定されており、長時間の乗車でも疲れにくいと感じる人が多いようです。
シートの素材はグレードによって異なり、標準グレードではファブリックシート、上級グレードでは本革とファブリックのコンビネーションシートなどが採用されています。 いずれも質感は高く、内装全体の高級感を高めています。
ドリンクホルダーや収納スペースの使い勝手
後部座席の快適性を左右する収納スペースについては、C-HRはややシンプルな構成となっています。
- ドリンクホルダー: 左右のドアに各1つずつ、ペットボトルが収納できるドリンクホルダーが備わっています。
- シートバックポケット: 運転席と助手席の背面に、雑誌や小物を収納できるポケットが装備されています。
- センターアームレスト: C-HRの後部座席には、収納式のセンターアームレストや、そこに付随するドリンクホルダーは装備されていません。
静粛性と乗り心地への影響
C-HRは、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)プラットフォームの採用により、ボディ剛性が高く、走行安定性に優れています。これにより、走行中の不快な振動やロードノイズがよく抑えられており、静粛性は高いと評価されています。
サスペンションは、やや硬めの設定でありながら、路面からの衝撃をうまく吸収し、しなやかな乗り心地を実現しています。この優れた静粛性と乗り心地は、後部座席の快適性にも大きく貢献しており、広さのネガティブな印象を補ってくれる要素と言えるでしょう。
ただし、後部座席にはリクライニング機能が備わっていないため、乗車姿勢の自由度は低いです。 この点を残念に思う声も一部で見られます。
チャイルドシートの取り付けは可能?
C-HRの後部座席には、チャイルドシートの取り付けが可能です。汎用のISOFIX(アイソフィックス)固定金具が後席の左右2席に標準装備されており、対応するチャイルドシートを簡単かつ確実に取り付けることができます。 また、シートベルト固定式のチャイルドシートも使用可能です。
ただし、前述の通りドアの開口部がやや狭いため、チャイルドシートの取り付け作業や、お子様の乗せ降ろしには少しコツがいるかもしれません。 特に回転式のチャイルドシートなど、大型のモデルを設置する場合は、前席のシートポジションに影響が出る可能性もあります。
購入を検討している方は、実際に使用するチャイルドシートを持ち込んで、ディーラーなどで試してみることをお勧めします。
後部座席と連動する荷室(ラゲッジスペース)の使い勝手

後部座席の居住性とともに、SUVとして重要なのが荷室の使い勝手です。後部座席をどう使うかで、荷室の広さも大きく変わってきます。
通常時の荷室容量と積載例
C-HRの荷室容量は、後部座席を使用した状態で318Lです。 この数値は、コンパクトSUVとしては標準的な広さと言えます。
具体的な積載例としては、以下のようなものが挙げられます。
- ゴルフバッグ: サイズや形状にもよりますが、横にして1〜2個積むことが可能です。
- ベビーカー: 折りたたんだ状態で積載可能です。
- スーツケース: 中型サイズのスーツケースであれば、1〜2個積むことができます。
ハイブリッド車でもガソリン車と同じ荷室容量を確保している点は、C-HRの優れたポイントです。 また、床下には小物や洗車道具などを収納できるデッキアンダートレイも備わっており、空間を有効に活用できます。
後部座席を倒した時の広さとシートアレンジ
C-HRの後部座席は、背もたれを前に倒すことで荷室を拡大することができます。後部座席を全て倒した状態の荷室容量は最大1,118L(または1,122L)となり、広大なスペースが出現します。
この状態にすると、より大きな荷物を積むことが可能になります。
- ゴルフバッグ: 2個を縦に積んでも余裕があります。
- 自転車: 前輪を外せば積載可能な場合があります。
- 車中泊: シートを倒すとほぼフラットな空間が生まれるため、マットなどを敷けば大人でも体を伸ばして休むことができます。
後部座席を倒す操作は、肩口にあるレバーを引くだけで簡単に行うことができ、ヘッドレストを外す必要もありません。
6:4分割可倒式シートのメリット
C-HRの後部座席は、6:4の割合で分割して倒すことができます。 この機能により、乗車人数と荷物の量に応じて、柔軟にシートアレンジを変えることが可能です。
例えば、以下のような使い方ができます。
- 3人乗車+長尺物: 後部座席の片側(4割部分)だけを倒し、スキー板やスノーボード、釣り竿といった長い荷物を積む。
- 2人乗車+大きな荷物: 後部座席を全て倒し、キャンプ用品などのかさばる荷物を大量に積む。
このように、乗員スペースを確保しながら荷室を拡大できるため、日常使いからレジャーまで、幅広いシーンで役立ちます。
荷室の開口部の広さと高さ
荷物の積み下ろしのしやすさも重要なポイントです。C-HRのバックドアを開けた際の開口部は、十分な幅が確保されています。
ただし、デザイン上の理由からか、荷室の床面までの高さ(バックドアシル)が少し高めに設定されています。 そのため、重い荷物を持ち上げる際には少し力が必要になるかもしれません。
一方で、クーペスタイルのデザインのため、後方にスペースがあまりない場所でもバックドアを開閉しやすいというメリットもあります。
C-HR後部座席の内装デザインと質感

C-HRは、エクステリアだけでなく、インテリアデザインにもこだわりが詰まっています。後部座席周りのデザインや質感は、車内の雰囲気を大きく左右します。
シートカラーや素材のバリエーション
C-HRの内装は、グレードによってカラーや素材が異なります。
- 標準グレード(S、S-T): ブラックで統一された内装に、質感の高いファブリックシートが組み合わされます。シンプルでシックな雰囲気が特徴です。
- 上級グレード(G、G-T): 内装色は落ち着いた雰囲気のリコリスブラウンとなり、シートはリコリスブラウンの本革とブラックのファブリックを組み合わせたコンビシートが採用されます。 高級感があり、洗練された空間を演出します。
- 特別仕様車(Mode-Neroなど): ブラックを基調としつつ、特別な加飾が施されるなど、より個性的でスタイリッシュな内装が特徴です。
このように、グレードごとに異なる個性があり、好みに合わせて選ぶことができます。
インテリア全体のデザインとの調和
C-HRの内装は、「ダイヤモンド」をモチーフにしたデザインが随所に取り入れられているのが特徴です。
例えば、ドアトリムの模様、スピーカーグリル、天井のくぼみデザインなど、様々な場所にダイヤモンドの形を見つけることができます。 この統一されたデザインテーマは後部座席周りにも及んでおり、ドアトリムやドアグリップなどにその意匠が見られます。
ただし、質感の面では前席と後席で差がつけられている部分もあります。例えば、後席のドアトリムは前席に比べて硬い樹脂素材(ハードプラ)が多く使われており、少し質素な印象を受けるかもしれません。
イルミネーションなどの装備について
上級グレードの「G」や「G-T」には、夜間の室内を彩るイルミネーションが装備されています。
フロントのカップホルダーやドアアームレスト下部にブルーのLEDライトが搭載され、幻想的で上質な空間を演出します。 このような装備は、後部座席に直接的な恩恵があるわけではありませんが、車内全体の雰囲気を高め、ドライブの満足度を向上させてくれるでしょう。
まとめ:C-HRの後部座席はこんな人におすすめ!

この記事では、トヨタ C-HRの後部座席について、広さ、乗り心地、荷室との関連性など、様々な角度から詳しく解説してきました。
C-HRの後部座席は、「広々として快適」とは言い難いものの、デザイン性の代償として完全に実用性を捨てているわけではない、ということがお分かりいただけたかと思います。
C-HRの後部座席の特徴をまとめると以下のようになります。
- 広さ: 大人が乗るにはややタイト。特に長距離移動では窮屈に感じる可能性も。子供が乗る分には問題ない広さ。
- 快適性: シート自体の座り心地は良好。しかし、窓が小さく閉塞感を感じやすい。リクライニング機能はない。
- 荷室との連携: 6:4分割でシートを倒せば、広大な荷室が出現。柔軟な使い方が可能。
- デザイン: 内装全体の質感は高いが、後席は前席に比べるとやや簡素な部分もある。
これらの点を踏まえると、C-HRは以下のような方におすすめの車と言えるでしょう。
- 乗車は1〜2人がメインの方
- 後部座席には主に子供を乗せる、または短距離の送迎に使うことが多い方
- 後部座席の使用頻度は低いが、いざという時のために4人乗れるスペースは確保しておきたい方
- 居住性よりも、デザインのスタイリッシュさや走りの楽しさを重視する方
逆に、大人4人で頻繁に長距離ドライブに出かける方や、後部座席の開放感を重視する方には、他の選択肢を検討する方が良いかもしれません。 C-HRの購入を検討される際は、ぜひ一度、実際に後部座席に座ってみて、その広さや雰囲気を体感してみてください。


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