日産自動車を愛用している方にとって、突然届くリコールの通知は不安を感じるものです。「修理のためにディーラーへ行く時間がもったいない」「手間がかかるのだから、日産リコールでお詫び金が出るのではないか?」と考える方も少なくありません。特に過去のニュースなどで、自動車メーカーが不祥事の際にお詫びの品を配ったという記憶がある方は、今回のリコールでも何らかの補償があるのか気になるところでしょう。
この記事では、日産のリコールが発生した際にお詫び金が支払われる可能性や、過去にどのような対応が行われたのかを詳しく解説します。また、リコール制度そのものの目的や、通知が届いたときに私たちが取るべき正しい行動、そして放置することのリスクについても分かりやすくまとめました。愛車とのカーライフを安全に、そして納得感を持って続けるための参考にしてください。
日産リコールでお詫び金が出る可能性と過去の事例

結論から申し上げますと、現在の一般的な日産のリコールにおいて「お詫び金(現金)」が支払われることはまずありません。リコール制度は、設計や製造の過程で問題があった場合に、自動車メーカーが自らの責任で無料で修理を行い、道路運送車両法の保安基準に適合させるための公的な制度だからです。
しかし、過去には例外的なケースもありました。ここでは、なぜお詫び金が基本的に出ないのか、そして過去にどのような特例があったのかを掘り下げて見ていきましょう。
基本的に「リコールお詫び金」は支払われない
自動車のリコールは、不具合による事故を未然に防ぐための「無償修理」が原則です。メーカー側は、不具合のある部品を交換したり、プログラムを書き換えたりすることで、車を本来の安全な状態に戻す義務を負っています。この修理費用や部品代はすべてメーカーが負担しますが、それ以上の金銭的な補償、つまり「お詫び金」の支払いは法律で義務付けられていません。
ユーザーからすれば、ディーラーへ車を持ち込む手間や時間が発生するため、何らかの補償を求めたい気持ちになるのは当然です。しかし、リコールはあくまで「不具合を直して安全を確保すること」が目的であるため、金銭による解決という形は取られないのが業界の通例となっています。
ただし、日産の販売店によっては、作業の待ち時間にお茶や菓子を提供したり、ささやかなノベルティ(記念品)を渡したりすることはあります。これらはメーカーとしての一律の対応ではなく、各ディーラーが独自のサービスとして行っているものですので、すべての店舗で期待できるわけではありません。
過去に例外としてお詫び(クオカード等)があったケース
一方で、過去には日産が「お詫び」として金券などを配布した事例が存在します。記憶に新しいのは、2017年から2018年にかけて発覚した「完成検査不備」の問題です。この時は、本来資格を持たない検査員が合否判定を行っていたという、法令遵守(コンプライアンス)に関わる重大な不祥事でした。
この事案では、純粋な部品の故障とは性質が異なり、ユーザーの信頼を大きく損ねたという背景があったため、日産は対象車両のオーナーに対して、謝罪の意を込めて5,000円程度のクオカードや、次回の車検で使える割引券などを配布する対応を取りました。これが「お詫び金が出た」という情報のソースになっていると考えられます。
つまり、通常の部品不具合によるリコールではなく、メーカー側の不祥事や不正が絡む特殊なケースにおいてのみ、お詫びの品や金券が提供されることがあるのです。現在のリコールの多くは、技術的な改善を目的としたものであるため、当時のような金券配布が行われることは極めて稀だと言えます。
リコールとサービスキャンペーンの違い
リコールの通知と一緒に語られることが多いのが「サービスキャンペーン」や「改善対策」です。これらは不具合の内容や重要度によってランク分けされています。リコールはお詫び金どころか、放置すると命に関わる重大な欠陥がある場合に届け出されるもので、最も優先順位が高いものです。
「改善対策」は、リコールほどではないものの、放置すると故障の原因になったり、環境に悪影響を与えたりする可能性がある場合に実施されます。そして「サービスキャンペーン」は、安全性や公害防止とは直接関係ないものの、商品性の向上やお客様の満足度を高めるために行われる無償修理のことです。
どのケースであっても、ユーザーの金銭的な負担はありませんが、お詫び金が出ることはありません。自分の車に届いた通知がどのカテゴリーに属するのかを確認することで、その不具合がどれだけ深刻なものなのかを判断する目安になります。どの種類であっても、早めの対応が推奨されることに変わりはありません。
日産車でリコールが発生した際の具体的な流れ

日産車にリコールが発表された際、オーナーとして具体的にどのようなアクションを起こせばよいのでしょうか。お詫び金が出ないとしても、自分の命と愛車を守るために修理は不可欠です。ここでは、通知が届いてから修理が完了するまでのステップを分かりやすく解説します。
リコールの修理は、日産の正規販売店(ディーラー)であればどこでも受けられます。引っ越しなどで購入した店が遠くなった場合でも、最寄りのディーラーに相談すれば対応してもらえるので安心してください。
自宅に届く通知ハガキを確認する
リコールが開始されると、日産自動車から車検証に登録されている住所宛てに「リコールのお知らせ」というハガキが届きます。このハガキには、リコールの具体的な内容、対象となる理由、そして放置した場合に起こりうるリスクが記載されています。まずはこの内容をしっかり読みましょう。
ハガキには、対策部品の準備状況についても記載されています。大規模なリコールの場合、すべての対象車両に対してすぐに部品を供給できないことがあるため、「部品が準備でき次第、改めてご案内します」と書かれている場合もあります。その場合は、次の案内を待つか、不安であれば一度ディーラーに電話で状況を確認してみるのが良いでしょう。
中古車で購入した場合や、引っ越して住所変更をしていない場合はハガキが届かないことがあります。自分が日産車に乗っていて、ニュースなどでリコールを知ったけれどハガキが来ない、というときは、後述する車台番号検索で自分の車が対象かどうかを確認することが大切です。
日産販売店への予約と作業時間の目安
リコールの通知が届き、部品の準備ができていることが確認できたら、最寄りの日産販売店へ電話またはウェブから予約を入れます。リコール修理は飛び込みで行っても、部品の在庫がなかったりピットが埋まっていたりするため、事前の予約が必須となります。
作業時間は内容によって大きく異なります。ソフトウェアの書き換えだけであれば30分〜1時間程度で終わることもありますが、エンジン内部の部品交換や大掛かりな分解を伴う場合は、数時間から半日、場合によっては数日間の預かり修理になることもあります。予約の際に、おおよその待ち時間を聞いておくことで、その日のスケジュールが立てやすくなります。
ショールームで待つ場合は、お茶のサービスを受けながら最新モデルをチェックしたり、カタログを読んだりして過ごすことができます。日産のディーラーは快適なラウンジを備えている店舗も多いので、お詫び金こそ出ませんが、ちょっとした休憩時間として活用するのも一つの手です。
代車(貸出車)の用意はしてもらえるのか
リコールの作業に時間がかかる場合や、車を数日間預ける必要がある場合、気になるのが「代車」の有無です。基本的に、メーカーから代車費用の補償が出ているわけではないため、代車の提供はディーラーの判断に委ねられます。
しかし、日産の多くの販売店では、数時間以上の作業になるリコール修理の場合、無料で代車を貸し出してくれることが一般的です。ただし、代車の数には限りがあるため、予約時に「車を預けている間、代車を借りたい」旨を伝えておかないと、当日になって用意できないと言われる可能性があります。
代車が必要な方は、余裕を持って数週間前から予約を入れるのがスムーズです。また、代車が不要な場合でも、ディーラーによっては最寄りの駅までの送迎サービスを行っていることもあるので、自分の都合に合わせて相談してみると良いでしょう。
・ハガキが届いたら内容を即座に確認する。
・作業時間を考慮して必ず事前予約を行う。
・代車が必要な場合は予約時に必ず伝える。
・費用は一切かからない(無料修理)。
自分の車がリコールの対象か調べる方法

リコールの通知ハガキが届くのを待つだけでなく、自分から積極的に情報を集めることも可能です。特に日産車を中古車販売店や個人売買で購入した方は、メーカーに現在のオーナー情報が正しく伝わっていないことがあり、ハガキが届かないケースが多々あります。
また、過去に行われたリコールが、自分の車ですでに実施済みかどうかが分からないという場合もあるでしょう。そうした不安を解消するために、簡単にリコール情報を調べる方法をご紹介します。
日産公式サイトの車台番号検索を活用する
最も確実で手っ取り早い方法は、日産自動車の公式サイトにある「リコール等情報対象車両検索」を利用することです。このシステムは、自分の車の「車台番号」を入力するだけで、現在発表されているリコールの対象になっているか、そしてその修理が完了しているかを即座に表示してくれます。
使い方は非常にシンプルです。検索窓に英数字を打ち込むだけで、過去にさかのぼってすべての情報をチェックできます。もし「未実施」の項目があれば、それはまだ修理が行われていないことを意味します。お詫び金が出るかどうかを気にする前に、まずは自分の車が安全な状態にあるかを確認しましょう。
この検索システムは24時間いつでも無料で利用できるため、思い立ったときにすぐに調べられます。特に車検の前や、長距離ドライブ、車中泊の旅に出かける前などには、一度チェックしておくことを強くおすすめします。
車検証の情報を手元に準備する
リコール検索を行うために必要なのが「車台番号(しゃだいばんごう)」です。これは車一台ごとに割り振られた固有の識別番号で、人間でいうところのマイナンバーのようなものです。車台番号は、車検証(自動車検査証)の左側に記載されています。
例えば「C27-123456」や「E12-654321」といった形式で書かれています。この番号を正しく入力しないと検索結果が出ないため、車検証をスマホで写真に撮っておくか、メモを取っておくと作業がスムーズになります。
また、車台番号はエンジンルームの奥にある金属板(コーションプレート)にも刻印されていますが、車検証を確認するのが一番確実です。最近の電子車検証の場合は、専用のアプリで読み取るか、一緒に渡される「車検証記録事項」という書類を確認してください。
中古車で購入した場合の注意点
日産の中古車を購入した場合、前のオーナーがリコール修理を済ませているとは限りません。中古車販売店によっては、納車前にリコールをすべて実施してから引き渡してくれる良心的な店もありますが、現状渡しの場合は未実施のままになっていることもあります。
「中古車だからリコール修理は有料になるのでは?」と心配される方もいますが、心配いりません。リコールは車の所有者が誰であっても、メーカーが無料で対応するものです。中古で購入した車であっても、日産のディーラーへ持ち込めば、新車購入者と同じように無償で修理を受けられます。
中古車を手に入れたら、まずは日産のディーラーへ足を運び、「中古で購入したので、未実施のリコールがないか調べてほしい」と伝えて、顧客登録をしてもらうのがベストです。そうすることで、今後新しいリコールが発生した際に、自分の住所宛てに通知ハガキが届くようになります。
リコールの有無は、国土交通省の「リコール情報検索アプリ」などでも確認できます。日産車に限らず、家族の車などもまとめて管理したい場合には便利です。
リコール修理を受けないとどうなる?放置するリスク

「お詫び金も出ないし、今のところ車は普通に動いているから、リコール修理に行かなくてもいいや」と考えてしまう方もいるかもしれません。しかし、リコールを放置することには非常に大きなリスクが伴います。リコールはあくまで「保安基準に適合しない」という、国が定めた安全基準を下回っている状態を指すからです。
ここでは、リコールを無視し続けた場合に直面する具体的なデメリットについて解説します。安全への配慮はもちろんですが、経済的な損失や法的な問題にも繋がることを知っておきましょう。
車検に通らなくなる可能性がある
リコールの内容によっては、修理を完了していないと「車検(継続検査)」に合格できなくなる場合があります。特にタカタ製エアバッグの不具合など、命に関わる重大なリコールに関しては、国土交通省から「未実施車両は車検を通さない」という強い措置が取られています。
車検が通らないということは、その車を公道で走らせることができなくなることを意味します。車検の直前になって慌ててリコール修理を申し込もうとしても、ディーラーの予約が取れなかったり、部品の在庫がなかったりして、車検切れを起こしてしまうリスクもあります。
お詫び金がもらえないどころか、車検切れによるレンタカー代の発生や、再検査の手間など、余計なコストがかかってしまう可能性が高いのです。リコールの通知が来たら、車検の時期に関わらず速やかに対応するのが最も賢い選択です。
事故が発生した際の過失割合への影響
もしリコール対象箇所が原因で事故を起こしてしまった場合、リコールを放置していた事実はオーナーにとって非常に不利に働きます。メーカーはリコールを通知し、無償修理の機会を提供しているため、それを無視して乗り続けたオーナーの「管理責任」が問われる可能性があるのです。
例えば、ブレーキ系統のリコールを放置して追突事故を起こした場合、本来なら100%相手の責任、あるいは避けられない不具合とみなされるケースでも、リコール未実施が理由でこちらの過失割合が増えてしまうかもしれません。
また、任意保険の適用においても、重大な不具合を知りながら放置していたことが「重大な過失」とみなされ、保険金が正しく支払われないといった最悪のシナリオも否定できません。自分の身を守るためだけでなく、法的なリスクを回避するためにも、リコール修理は必須です。
車中泊や長距離ドライブを安全に楽しむために
日産の「セレナ」や「キャラバン」などを使って、車中泊やキャンプ、長距離の旅を楽しむ方にとって、車の信頼性は旅の質を左右する重要な要素です。人里離れたキャンプ場や高速道路の上で、リコール対象箇所の不具合が原因で車が動かなくなってしまったら、せっかくの思い出が台無しになってしまいます。
特にお子さんや家族を乗せてのドライブでは、安全は何物にも代えがたいものです。リコール箇所を修理することは、メーカーからのお墨付きをもらって、再び安心して旅に出られる準備を整えることでもあります。
「お詫び金」という目先の利益よりも、「愛車で安全にどこまでも行ける」という安心感を手に入れることの方が、豊かなカーライフを送る上では価値があるのではないでしょうか。旅の前の点検メニューの一つとして、リコール修理を組み込んでしまいましょう。
リコール作業と同時に相談したいメンテナンス

ディーラーへリコール修理に行くのは少し面倒に感じるかもしれませんが、視点を変えれば「プロに無料で車を診てもらう絶好の機会」とも言えます。リコール修理そのものは無料ですので、そのついでに普段気になっていることを相談したり、他のメンテナンスを依頼したりすることで、ディーラーへの往復時間を有効活用できます。
お詫び金は出ませんが、リコール対応のついでに車のコンディションを整えることで、結果的に将来の修理費を節約したり、車の寿命を延ばしたりすることに繋がります。
ディーラー点検を賢く利用するメリット
リコールの作業で車を預ける際、ついでに「日常点検」や「シーズン前点検」を依頼してみるのがおすすめです。日産のディーラーには専用の診断機があり、一般の整備工場では見つけにくいコンピューター系統の小さなエラーなども見つけ出すことができます。
また、リコール修理の際は必ずメカニックがボンネットを開けたり、車の下を覗いたりします。その際に「他に気になるところはないですか?」と聞いてくれることも多いので、ブレーキの鳴きやタイヤの摩耗、エアコンの効き具合など、日頃感じている違和感を伝えてみましょう。
ついでに点検してもらうことで、部品代だけで工賃が割引になったり、無料の範囲内で調整してくれたりすることもあります。リコールの機会を「愛車のリフレッシュデー」と捉えれば、ディーラーへ行く足取りも少し軽くなるはずです。
消耗品の交換や無料点検の範囲
リコールの待ち時間を利用して、エンジンオイルの交換やワイパーゴムの交換などの定期的なメンテナンスを済ませてしまうのも賢い方法です。リコールの修理だけのために時間を割くのは損をした気分になりますが、どのみちやらなければならない消耗品交換とセットにすれば、手間が一度で済みます。
日産の販売店によっては、リコール入庫の方限定で、手洗い洗車をサービスしてくれたり、室内清掃を丁寧に行ってくれたりするキャンペーンを実施している店舗もあります。これらも一種の「おもてなし」であり、お詫び金の代わりと言えるかもしれません。
また、バッテリーの状態診断などは無料で行ってくれる店舗が多いので、特に冬場や夏場のエアコンを多用する時期の前には、ぜひ依頼してみましょう。プロの目でチェックしてもらう安心感は、自分で行う日常点検とは一線を画すものがあります。
リコール以外の不具合を早期発見するために
リコールでリフトアップ(車を持ち上げること)された際、自分では気づかなかったオイル漏れやブーツ類の破れが見つかることもあります。これらを早期に発見できれば、重大な故障に繋がる前に、比較的安価な修理費用で済ませることができます。
車は機械ですので、どんなに丁寧に扱っていても経年劣化は避けられません。リコールの通知は、メーカーから届いた「点検のススメ」だと前向きに捉えてみてください。お詫び金が出ることはありませんが、大きな故障を未然に防げたと考えれば、それは金銭的な利益以上の価値があると言えるでしょう。
愛車に長く乗り続けたいと考えているオーナーにとって、正規ディーラーとの接点を持つことは、万が一の際にも相談しやすい関係を作る良いきっかけになります。リコール対応を通じて、頼りになるマイディーラーを見つけるのも良いかもしれません。
日産には「メンテプロパック」という定額制の点検プランもあります。リコール修理の際に、こうしたプランの内容について詳しく聞いてみるのも、今後の維持費を抑えるための良いステップになります。
日産リコールとお詫び金に関するまとめ
日産車のリコールでお詫び金が支払われるかどうかについて解説してきましたが、残念ながら原則として現金の支給はありません。過去の不正問題の際にお詫びの品が配られた事例があったため期待してしまう方も多いですが、通常のリコールは「安全を確保するための無償修理」が最大のサービスとなります。
お詫び金は出ないものの、リコールを放置することは、車検に通らなくなったり、事故の際の責任を問われたりと、大きな不利益を被るリスクがあります。ハガキが届いたり、車台番号検索で対象だと分かったりした場合は、速やかに日産の販売店へ連絡し、予約を入れましょう。
リコール修理は、愛車の健康診断を受ける良いチャンスでもあります。代車の活用や他のメンテナンスとの併用を工夫することで、手間を最小限に抑えつつ、より安全で快適なカーライフを手に入れることができます。お詫び金という形ではありませんが、日産のプロによる確実な整備を受けることで、これからも安心して愛車とのドライブを楽しんでください。




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