ミライースの後部座席は狭い?広さ・乗り心地からシートアレンジまで解説

ファミリーカー選びとコツ

ダイハツのミライースは、その卓越した燃費性能と手頃な価格で、多くの人々に選ばれている人気の軽自動車です。特にセカンドカーや街乗りメインの車として、その経済性は大きな魅力となっています。しかし、コンパクトなボディであるがゆえに、「後部座席は狭いのではないか?」「大人が乗ったら窮屈?」「長距離の移動は疲れるのでは?」といった疑問や不安を抱く方も少なくありません。また、荷物を載せる際のシートアレンジの使い勝手や、家族で利用する場合のチャイルドシートの設置についても気になるところでしょう。

この記事では、そんなミライースの後部座席に焦点を当て、実際の広さや乗り心地、便利なシートアレンジの方法、そして安全性について、様々な角度から詳しく、そしてやさしく解説していきます。この記事を読めば、あなたのミライースに対する後部座席の疑問が解消され、より具体的なカーライフをイメージできるようになるはずです。

ミライースの後部座席、実際の広さと乗り心地は?

ミライースを選ぶ上で、多くの方が気になるのが後部座席の居住性です。コンパクトな見た目から「狭い」というイメージを持たれがちですが、実際はどうなのでしょうか。ここでは、大人が乗った場合の広さや、長距離移動での快適性、そして具体的なスペースの数値について詳しく見ていきましょう。

実際のところ広さはどう?大人が乗っても大丈夫?

結論から言うと、ミライースの後部座席は「見た目以上に広く、大人が乗っても十分なスペースが確保されている」と言えます。 ダイハツの優れたパッケージング技術により、前後乗員間距離は910mmと、コンパクトなボディながら足元空間にゆとりを持たせた設計になっています。 実際に身長172cmの大人が運転席に座り、その後ろの後部座席に座った場合でも、膝前のスペースには十分に余裕があったというレビューもあります。

ただし、これはあくまでもセダンタイプの軽自動車としての話です。近年主流のタントやN-BOXといったハイトワゴンやスーパーハイトワゴンと比較すると、室内高が低いため、頭上空間にはやや圧迫感を感じるかもしれません。 また、室内幅は1,345mmあり、大人2人が座っても肩がぶつかるほどではありませんが、大きな荷物を持っている場合などは窮屈に感じる可能性があります。

日常的な送迎や短時間の移動であれば、大人4人での乗車も問題ないレベルと言えるでしょう。しかし、すべての乗員がゆったりとくつろげる広さを最優先する場合には、少し物足りなさを感じるかもしれません。

気になる乗り心地は?長距離移動は快適?

ミライースの後部座席の乗り心地については、「街乗り中心なら問題ないが、長距離移動にはあまり向かない」というのが一般的な評価です。その理由として、シートのクッション性が挙げられます。後部座席はベンチシートタイプで、座り心地は「やや硬め」と感じる人が多いようです。 また、座面の奥行きも少し短めに設計されているため、長時間座っているとお尻が痛くなる可能性があります。

さらに、乗り心地そのものについても厳しい意見が見られます。一部のユーザーからは、路面の凹凸を拾いやすく上下に跳ねるような感覚がある、エンジン音やロードノイズ(タイヤが路面を転がる音)が車内に伝わりやすい、といった声が挙がっています。 これらは、車両価格を抑え、燃費向上のために軽量化を追求した結果とも言えるでしょう。

後部座席にはリクライニング機能もないため、乗員が楽な姿勢を取りにくいのも事実です。近所の買い物や駅までの送迎といった短距離の利用がメインであれば大きな問題にはなりませんが、高速道路を使った長時間のドライブなどでは、後部座席の乗員は疲れを感じやすいかもしれません。

頭上空間(ヘッドクリアランス)と足元空間(ニースペース)をチェック

ミライースの室内寸法は以下のようになっています。

項目 数値
室内長 1,935~2,025mm
室内幅 1,345mm
室内高 1,240mm

出典: ダイハツ工業株式会社

足元空間(ニースペース)については、前述の通り、前席との間に910mmの間隔が確保されており、大人の男性でも余裕を感じられる広さです。 前席シートの下に足先を入れるスペースもしっかりと確保されているため、窮屈さは感じにくいでしょう。 あるレビューでは、前席を適切なドライビングポジションに合わせた状態で、後部座席に座った膝前には拳1個分以上のスペースがあったと報告されています。

一方で、頭上空間(ヘッドクリアランス)は、室内高1,240mmという数値からもわかるように、ハイトワゴンタイプの軽自動車に比べると余裕は少なめです。 身長の高い方が乗車すると、少し圧迫感を覚える可能性があります。乗り降りの際も、少し屈むような姿勢になるでしょう。

これらの点から、ミライースの後部座席は、特に足元の広さに重点を置いて設計されていることがわかります。

後部座席の使い勝手とシートアレンジ

ミライースはコンパクトな車ですが、後部座席を倒すことで荷室を大きく広げることができます。日常の買い物から、少し大きな荷物を運びたい時まで、シートアレンジをうまく活用することで、その利便性は格段に向上します。ここでは、後部座席の倒し方や荷室の容量、そして具体的な活用シーンについて解説します。

後部座席の倒し方とフラット化の方法

ミライースの後部座席は、左右一体可倒式となっています。 これは、背もたれが左右に分割されておらず、倒すときには後部座席全体が前に倒れるタイプのことです。

【後部座席の倒し方】

  1. 後部座席の左右の肩口付近にあるロック(ノブやレバー)を見つけます。
  2. 左右両方のロックを同時に引き上げたり、押したりしてロックを解除します。
  3. ロックを解除したまま、背もたれをゆっくりと前方に倒します。

この操作は非常にシンプルで、誰でも簡単に行うことができます。ただし、左右一体型であるため、片側のロックだけを解除しても背もたれを倒すことはできません。

倒した後の荷室は、完全にフラット(平ら)にはならず、荷室の床面との間に少し段差が生じます。また、背もたれの厚み分、少し傾斜ができます。完全に平らな状態で使いたい場合は、段差を埋めるためのマットやクッションなどを活用すると良いでしょう。

荷室の容量はどれくらい?大きな荷物は積める?

後部座席を立てた状態の荷室は、奥行きこそあまりありませんが、日常的な買い物袋や、小型のスーツケースなどを積むには十分なスペースが確保されています。 スーパーでのまとめ買いの際も、買い物カゴ2〜3個分の荷物なら問題なく収納できるでしょう。

後部座席を倒すことで、荷室の容量は飛躍的にアップします。奥行きのある広い空間が生まれるため、普段は積めないような大きな荷物にも対応可能です。例えば、以下のようなものも積載できる可能性があります。

  • 小型の家具
  • ゴルフバッグ(横向き)
  • 折りたたみ自転車(サイズによる)
  • 大きめの段ボール

ただし、車の全高が低いため、高さのあるものを積むのは苦手です。 また、後部座席が一体可倒式であるため、「後部座席に1人乗り、隣のスペースにスキー板のような長尺物を積む」といった使い方ができない点には注意が必要です。 3人乗車で大きな荷物を積みたい、というシーンには対応が難しくなっています。

シートアレンジで広がる使い方いろいろ

ミライースのシートアレンジは「後部座席をすべて倒して荷室を広げる」というシンプルなものですが、工夫次第で様々なシーンに対応できます。

普段の買い物に
後部座席を立てた状態でも、日常の買い物には十分対応できます。荷物が少ない場合は、後部座席の足元に置くことも可能です。

大きな荷物を運ぶときに
後部座席を倒せば、大容量のラゲッジスペースが出現します。新しい家電を購入した時や、引っ越しの手伝い、DIYで木材を運ぶ際などにも活躍してくれるでしょう。

車中泊への挑戦?
ミライースで快適な車中泊を行うのは少し工夫が必要です。後部座席を倒しても完全なフラットにはならないため、段差を解消するマットなどが必須になります。また、全長も限られているため、大柄な方だと足を伸ばして寝るのは難しいかもしれません。しかし、DIYでベッドキットを作成したり、前席との隙間を埋める工夫をしたりして、車中泊を楽しんでいるユーザーもいます。 緊急時の一時的な避難場所として考えるのであれば、十分にその役割を果たしてくれるでしょう。

ミライースのシートアレンジはシンプルですが、その分操作が簡単で直感的です。普段は人を乗せることが多いけれど、たまに大きな荷物を積みたいというニーズにしっかりと応えてくれる、実用的な設計と言えます。

安全性とチャイルドシートの設置

家族の車としてミライースを検討している方にとって、後部座席の安全性やチャイルドシートの取り付けやすさは非常に重要なポイントです。低価格なモデルでありながら、ミライースは基本的な安全性をしっかりと確保しています。ここでは、後部座席の安全装備やチャイルドシートの対応状況について詳しく解説します。

後部座席の安全装備(ISOFIXなど)

現在の車において、子どもの安全を守る上で標準的な装備となっているのがISOFIX(アイソフィックス)対応のチャイルドシート固定用アンカーです。ISOFIXとは、シートベルトを使わずに、チャイルドシートと車の座席を専用の金具でガッチリと固定する国際標準規格のことです。シートベルト固定に比べて、より簡単・確実に取り付けられるため、ミスユースを防ぎ安全性を高めることができます。

ミライースの後部座席には、このISOFIX対応のチャイルドシート固定専用バーが左右2席分、標準で装備されています。 これにより、ISOFIX対応のチャイルドシートであれば、誰でも簡単かつ安全に取り付けることが可能です。

また、安全装備として欠かせないシートベルトも、後部座席にはしっかりと3点式のものが採用されています。 これは、腰だけを固定する2点式と比べて、衝突時に上半身もしっかりと支えてくれるため、乗員の安全確保に大きく貢献します。上位グレードには後席用のヘッドレストも標準装備されており、追突時の首への負担(むち打ちなど)を軽減してくれます。

チャイルドシートは問題なく取り付けられる?

前述の通り、ミライースはISOFIXに対応しているため、対応するチャイルドシートであればスムーズに取り付けが可能です。 軽自動車なので室内空間に限りはありますが、一般的なサイズのチャイルドシートであれば問題なく設置できるでしょう。

ただし、注意点もいくつかあります。

  • 大型のチャイルドシートの場合: 回転式やリクライニング機能が豊富な大型のチャイルドシートを設置すると、前席のスライド位置が制限されることがあります。運転席や助手席に座る人の体格によっては、窮屈に感じてしまうかもしれません。購入前に、実際に車に取り付けが可能か、カー用品店などで試してみることをお勧めします。
  • 2台設置する場合: 後部座席にチャイルドシートを2台並べて設置することも可能です。 しかし、その場合、中央には大人が座るスペースはほぼ残りません。また、お子様を乗せ降ろしする際のスペースも考慮する必要があります。
チャイルドシートの取り付け自体は問題なく行えますが、選ぶ製品のサイズや、家族構成によっては少し工夫が必要になる場合があることを覚えておきましょう。

家族での利用は現実的か

ミライースをファミリーカーとして使うことは、「使い方を限定すれば十分に現実的」と言えます。
例えば、以下のような使い方であれば、大きな不満なく利用できるでしょう。

  • メインは母親と子ども1〜2人の日常の足として
    • 幼稚園や保育園、習い事の送迎
    • 近所のスーパーへの買い物
    • 公園へのお出かけ
  • セカンドカーとして
    • 普段は夫がメインの車を使い、妻がミライースで近所を移動する

一方で、以下のような使い方を想定している場合は、少し不便を感じるかもしれません。

  • 家族4人で頻繁に長距離のレジャーに出かける
    • 後部座席の乗り心地や積載量の問題
  • ベビーカーなど、大きな荷物を常に積んでおきたい
    • 後部座席を1席利用しつつ大きな荷物を積むことが難しい

結論として、ミライースは日常的なシーンで子どもを乗せるには十分な広さと安全性を備えています。 家族全員での長距離移動が少ない、あるいは別のメインカーがあるという家庭にとっては、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢となるでしょう。

ライバル車種との後部座席比較

ミライースと同じく、低燃費・低価格をコンセプトにした軽自動車として、スズキの「アルト」が最大のライバルとして存在します。また、同じダイハツ内でも、より室内空間の広さを重視したモデルもあります。ここでは、これらの車種とミライースの後部座席を比較し、それぞれの特徴を明らかにしていきます。

スズキ・アルトとの比較

ミライースとアルトは、軽セダンというカテゴリで長年競い合ってきたライバルです。どちらも経済性を最優先に考えられていますが、後部座席の設計思想にはわずかな違いが見られます。

広さ・快適性
室内空間の寸法を比較すると、室内幅ではミライースがアルトよりも広く設計されています。 これにより、後部座席に2人で座った際の横方向のゆとりは、ミライースに軍配が上がると言えるでしょう。 一方で、アルトはミライースよりも全高が少し高く、より開放的な室内空間を特徴としています。

乗り心地に関しては、どちらもコストを重視したシンプルな足回りのため大差はありませんが、一部のレビューでは「アルトの方が完成度は高い」といった意見も見られます。 このあたりは個人の感覚による部分も大きいので、実際に試乗して比較してみるのが一番です。

シートアレンジ
シートアレンジに関しては、両車ともに後部座席は一体可倒式を採用しているグレードが多く、使い勝手に大きな差はありません。(アルトの一部上位グレードには分割可倒式が採用されています。)どちらも後部座席を倒すことで広い荷室を作り出すことができ、日常的な利便性は確保されています。

ダイハツの他車種(ムーヴなど)との違い

同じダイハツの中でも、ミライースは最もベーシックで経済性を追求したモデルです。 もし後部座席の広さや快適性をより重視するのであれば、「ムーヴ」のようなハイトワゴンタイプの車種が選択肢に入ります。

ミライースとムーヴの主な違い

  • 室内高: ムーヴはミライースよりも全高が高く設計されているため、後部座席の頭上空間に圧倒的な余裕があります。これにより、乗り降りがしやすく、チャイルドシートの操作も楽に行えます。
  • シートアレンジ: ムーヴの後部座席は、左右独立してスライドやリクライニングが可能な分割可倒式シートを採用しています。これにより、乗車人数や荷物の大きさに合わせて、より柔軟なシートアレンジが可能になります。例えば、「後部座席の片側にチャイルドシートを設置し、もう片方は前にスライドさせて荷室を広げる」といった使い方ができます。
  • 乗り心地: 一般的に、車両価格が高いモデルの方が、静粛性や乗り心地の面で優れている傾向があります。ムーヴはミライースに比べて、より快適な移動空間を提供してくれます。

もちろん、これらの快適装備や広い室内空間は、車両価格や燃費性能とトレードオフの関係にあります。後部座席の利用頻度や、誰がどのように使うのかを具体的にイメージし、自分のライフスタイルに合った車種を選ぶことが重要です。

後部座席の快適性で選ぶなら?

もしあなたが、「後部座席に乗る人の快適性」を最優先に考えるのであれば、ミライースは最適な選択ではないかもしれません。その場合は、以下のような特徴を持つ車種を検討することをお勧めします。

スーパーハイトワゴン(ダイハツ・タント、スズキ・スペーシアなど): 圧倒的な室内高と、スライドドアによる優れた乗降性が魅力です。後部座席の快適性は軽自動車の中でもトップクラスです。
ハイトワゴン(ダイハツ・ムーヴ、スズキ・ワゴンRなど): 広い室内空間と優れた燃費性能、そして手頃な価格のバランスが取れたカテゴリです。後部座席のスライドやリクライニング機能も充実しています。

一方で、「普段は1〜2人で乗ることがほとんどで、後部座席はあくまで補助的。でも、いざという時には4人乗れる柔軟性が欲しい」という方や、「とにかく維持費を抑えたい」という方にとって、ミライースの後部座席は必要十分な機能と広さを備えていると言えるでしょう。

まとめ:ミライースの後部座席はこんな人におすすめ

この記事では、ダイハツ・ミライースの後部座席について、広さ、乗り心地、シートアレンジ、安全性といった多角的な視点から解説してきました。

ミライースの後部座席のポイント

  • 広さ: 見た目以上に足元空間が広く、大人が乗っても窮屈さは感じにくい。ただし、頭上空間はハイトワゴンに劣る。
  • 乗り心地: シートが硬めで、リクライニング機能もないため、長距離移動には不向き。街乗りがメインなら問題ないレベル。
  • シートアレンジ: 操作が簡単な一体可倒式。倒せば大きな荷室が出現するが、3人乗車+長尺物といった使い方はできない。
  • 安全性: ISOFIXに対応しており、チャイルドシートの取り付けも安心。基本的な安全装備はしっかりと備わっている。

これらの特徴を踏まえると、ミライースの後部座席は、以下のようなニーズを持つ方に特におすすめできると言えます。

  • 車の利用は主に1〜2人で、後部座席はたまに使う程度の方
  • 維持費を最優先に考え、経済的な車を求めている方
  • セカンドカーとして、主に近距離の移動に利用する方
  • 子どもの送迎など、日常の足として割り切って使えるファミリー

ミライースは、すべてを完璧に満たす車ではありません。しかし、そのコンセプトを理解し、自分のライフスタイルと合致すれば、これ以上ないほど優れたコストパフォーマンスを発揮してくれる一台です。後部座席の特性をしっかりと把握した上で、あなたのカーライフにミライースを迎えるかどうか、検討してみてはいかがでしょうか。

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