ジムニーにチャイルドシート2台は可能?設置方法と現実的な使い勝手を解説

ファミリーカー選びとコツ

アウトドア好きやデザインに惹かれるファミリー層からも人気のスズキ ジムニー。その一方で、「子供が2人いるけど、ジムニーにチャイルド-シートを2台も乗せられるの?」という疑問を持つ方も少なくありません。コンパクトで3ドアという特殊な形状から、ファミリーカーとしての実用性に不安を感じるのは当然のことです。

この記事では、そんなジムニーオーナーや購入検討中のパパ・ママの疑問に答えるべく、ジムニーへのチャイルドシート2台設置の可否から、具体的な設置方法、設置した際の現実的な使い勝手、そしてジムニーに最適なチャイルドシートの選び方まで、詳しく解説していきます。この記事を読めば、ジムニーと子供2人とのカーライフを具体的にイメージできるようになるはずです。

ジムニーにチャイルドシートを2台設置するのは可能?

多くのファミリーが気になるこの疑問。ジムニーのコンパクトな車内を考えると、チャイルドシートが2台も本当に収まるのか心配になりますよね。ここでは、設置の可否から法律上のルールまで、基本的な情報を確認していきましょう。

結論:物理的には設置可能だが、条件付き

結論から言うと、ジムニー(JB64/JB74型)にチャイルドシートを2台設置することは物理的に可能です。 後部座席は2人乗り仕様になっており、左右それぞれの座席にチャイルドシートを取り付けることができます。

ただし、これはあくまで「物理的に可能」という話です。実際に運用するとなると、車種特有の制約からいくつかの課題が出てきます。例えば、3ドアであるため後部座席へのアクセスがしにくい点や、チャイルドシートを2台設置すると車内空間がかなり圧迫される点などが挙げられます。 これらの課題を理解した上で、設置方法やチャイルドシートのモデルを工夫することが重要になります。

設置できる座席の組み合わせ

ジムニーにチャイルドシートを2台設置する場合、考えられる組み合わせは主に以下の2パターンです。

  1. 後部座席に2台設置する
    現行ジムニーの後部座席には、チャイルドシートをより安全・確実に固定するための「ISOFIX(アイソフィックス)アンカー」が左右の座席に標準装備されています。 これにより、ISOFIX対応のチャイルドシートであれば2台並べて設置することが可能です。 シートベルト固定タイプのチャイルドシートも同様に2台設置できます。 安全性を最優先に考えるなら、この後部座席2台設置が最も推奨される方法です。
  2. 助手席に1台、後部座席に1台設置する
    もう一つの選択肢として、助手席と後部座席に1台ずつ設置する方法があります。 このレイアウトは、後部座席の片側を荷物スペースとして活用できるメリットがあります。 しかし、助手席への設置には後述する通り、いくつかの重要な注意点が存在します。

法律上のルールと注意点

日本の道路交通法では、6歳未満の幼児を乗車させる際にはチャイルドシートの使用が義務付けられています。 これを守らない場合は交通違反となります。

助手席への設置は法律上、違反ではありません。 しかし、多くの自動車メーカーやチャイルドシートメーカーは、安全上の理由から後部座席への設置を強く推奨しています。

特に注意が必要なのはエアバッグの存在です。万が一の事故で助手席のエアバッグが作動すると、その衝撃でチャイルドシートが弾き飛ばされたり、子供が強い圧迫を受けたりする危険性があります。 どうしても助手席に設置する必要がある場合は、以下の点を必ず守ってください。

  • 座席を一番後ろまで下げる: エアバッグからの距離を最大限確保するためです。
  • 前向きで設置する: 後ろ向きチャイルドシートはエアバッグの衝撃を直接受けるため特に危険です。
  • 取扱説明書を確認する: 車とチャイルドシート、両方の取扱説明書で助手席への設置に関する注意点を必ず確認しましょう。

安全性を第一に考えるなら、可能な限り後部座席に2台設置することをおすすめします。

ジムニーにチャイルドシートを設置する方法

チャイルドシートを安全に使用するためには、正しい方法でしっかりと固定することが何よりも大切です。取り付け方法には大きく分けて2種類あります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った方法を選びましょう。

ISOFIX固定とシートベルト固定の違い

チャイルドシートの固定方法には、「ISOFIX(アイソフィックス)固定」と「シートベルト固定」の2種類があります。

固定方法 メリット デメリット
ISOFIX固定 ・取り付けが簡単で、ミスが起きにくい
・金具で車体に直接固定するため、非常に強固で安全性が高い
・対応するチャイルドシートは比較的高価
・シートベルト固定タイプに比べて重量があるモデルが多い
シートベルト固定 ・比較的安価なモデルが多い
・ISOFIXアンカーがない車にも取り付け可能で汎用性が高い
・取り付け方が複雑で、誤った取り付けをしてしまうリスクがある
・正しく取り付けても、走行中の振動などで緩みやすい場合がある

ジムニーの車内は決して広くないため、取り付け作業が簡単なISOFIX固定が特におすすめです。 2012年7月以降に発売された車にはISOFIXアンカーの装備が義務付けられているため、現行のJB64/JB74型ジムニーには後部座席に標準で装備されています。

【助手席】への設置手順と注意点

前述の通り、助手席への設置は安全上の観点から推奨されませんが、やむを得ず設置する場合の手順と注意点を解説します。ジムニーの助手席にはISOFIXアンカーがないため、シートベルト固定タイプのみ設置可能です。

手順

  1. 助手席を一番後ろまでスライドさせます。
  2. チャイルドシートを座席に置き、取扱説明書に従ってシートベルトを通します。
  3. シートベルトのバックルを確実にロックします。
  4. チャイルドシートに体重をかけ、前後に揺すりながらシートベルトのたるみを完全に取り除きます。グラグラせず、しっかりと固定されていることを確認します。
注意点:助手席に設置する場合、エアバッグのリスクを常に念頭に置いてください。 また、大型のチャイルドシートは運転席からの死角を増やしたり、サイドミラーの視界を妨げたりする可能性もあるため、注意が必要です。

【後部座席】への設置手順と注意点

最も安全な後部座席への設置方法です。ジムニーは3ドアのため、子供の乗せ降ろしには助手席のシートを前に倒してアクセスする必要があります。

ISOFIX固定の場合

  1. 後部座席のシートクッションの隙間にあるISOFIXアンカーの位置を確認します。(目印のマークが付いています)
  2. チャイルドシート側のコネクターを伸ばし、アンカーに「カチッ」と音がするまで差し込みます。
  3. インジケーター(正しく装着できたか色で示す部分)が緑色になったことを確認します。
  4. チャイルドシートを座席に強く押し付け、しっかりと固定されているか確認します。

シートベルト固定の場合

  1. チャイルドシートを座席に置きます。
  2. 取扱説明書で指定された経路にシートベルトを通します。
  3. バックルをロックし、チャイルドシートを強く押し付けながらシートベルトをきつく締めます。
  4. 最後に、チャイルドシートを揺すって1cm以上の大きな揺れがないか確認します。

ジムニーの後部座席はスペースが限られているため、特にシートベルト固定の場合は作業がしにくいことがあります。 可能であれば、一度販売店などで実際の車に取り付けさせてもらい、作業性を確認することをおすすめします。

チャイルドシート2台設置時のジムニーの使い勝手

物理的にチャイルドシートを2台設置できることは分かりましたが、気になるのは「実際のところ、実用的なのか?」という点でしょう。ここでは、乗り降りのしやすさや大人の同乗、荷物の積載スペースといった現実的な使い勝手について詳しく見ていきます。

乗り降りのしやすさ

ジムニーは3ドア(後部にドアがない)のため、後部座席へのアクセスは助手席側からのみとなり、乗り降りは決して楽ではありません。

チャイルドシートに子供を乗せ降ろしする際の一連の流れは以下のようになります。

  1. 助手席のドアを開ける。
  2. 助手席の背もたれを前に倒し、座席全体を前方にスライドさせる。
  3. できた隙間から体を車内に入れ、子供をチャイルドシートに乗せる(または降ろす)。
  4. ベルトを装着する(または外す)。

特に雨の日や、子供がぐずっている時、両手に荷物を持っている時などは、この作業がかなりの負担になる可能性があります。また、ジムニーは車高が高いため、小さなお子さんを抱え上げて乗せる動作は、腰にも負担がかかりやすいです。

回転式のチャイルドシートを選ぶと、シートをドア側に向けることができるため、この乗せ降ろしの負担を少し軽減することができます。

大人の同乗スペース

後部座席にチャイルドシートを2台設置した場合、乗車定員4名を使い切ることになります。 つまり、前に大人2人、後ろに子供2人という構成です。

この場合、一番の課題は前席のスペースです。後部座席に設置するチャイルドシート、特に新生児期に使用する後ろ向きのタイプは、前後の奥行きがかなりあります。 そのため、チャイルドシートが干渉しないように、運転席や助手席のシートをかなり前にスライドさせる必要が出てきます。

大柄な方が運転席に座る場合、窮屈なドライビングポジションを強いられる可能性があります。 購入前に、実際にチャイルドシートを装着した状態で運転席に座り、快適に運転できるかを確認することが非常に重要です。

荷物の積載スペース

ジムニーの最大のウィークポイントとも言えるのが、荷室の狭さです。 後部座席を使用している状態(4人乗車時)では、ラゲッジスペースは非常に限られます。

具体的には、スーパーの買い物かご1〜2個分程度の荷物でいっぱいになってしまうイメージです。 そのため、チャイルドシートを2台設置して4人で乗車する場合、ベビーカーのような大きな荷物を積むことはほぼ不可能と言えます。

この問題を解決するためには、以下のような工夫が必要になります。

  • ルーフキャリアの活用: 車の屋根にキャリアを取り付け、ルーフボックスなどを設置することで積載量を大幅に増やすことができます。
  • コンパクトなベビーカーを選ぶ: B型ベビーカーや、非常にコンパクトに折りたためるモデルであれば、後部座席の足元などに置ける可能性があります。
  • 荷物を最小限にする: 短時間のお出かけに限定し、荷物を極力少なくする工夫も求められます。

家族4人でのキャンプや長距離旅行などを考えている場合、ジムニー1台で完結させるのはかなりの工夫と割り切りが必要になるでしょう。

ジムニーに合うチャイルドシートの選び方

限られたスペースを有効に使い、安全かつ快適なカーライフを送るためには、チャイルドシート選びが非常に重要になります。ここでは、ジムニーの特性に合わせたチャイルドシート選びのポイントを3つご紹介します。

コンパクトさを重視する

何よりも優先したいのが「コンパクトさ」です。 ジムニーの後部座席は室内幅が約1,300mmと、他の軽自動車と比較しても広いわけではありません。 そのため、できるだけ横幅がスリムなモデルを選ぶことが重要です。

横幅が広いモデルを2台並べると、ドアの内張りに干渉したり、設置作業が非常に困難になったりする可能性があります。また、前後の奥行きも重要です。奥行きがコンパクトなモデルを選べば、前席のシートを後ろに下げられる余裕が生まれ、大人が快適に乗車できるスペースを確保しやすくなります。

購入前には必ずチャイルドシートの寸法(特に横幅と奥行き)を確認し、ジムニーの室内寸法と比較検討することをおすすめします。

回転式と固定式のメリット・デメリット

チャイルドシートには、座面が360度回転する「回転式」と、回転しない「固定式」があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、ジムニーの特性と合わせて考える必要があります。

タイプ メリット デメリット
回転式 ・シートをドア側に向けて子供の乗せ降ろしができるため、3ドアのジムニーでは非常に便利
・後ろ向きから前向きへの切り替えも簡単
・構造が複雑なため、サイズが大きく、重くなる傾向がある
・固定式に比べて価格が高いモデルが多い
固定式 ・構造がシンプルなため、比較的コンパクトで軽量なモデルが多い
・回転式に比べて安価な傾向がある
・乗せ降ろしの際に体を大きくひねる必要があり、狭い車内では負担が大きい
・後ろ向きから前向きに切り替える際に、一度取り外して付け直す必要がある

3ドアで乗せ降ろしが大変なジムニーにおいては、利便性を考えると回転式に大きなメリットがあります。 しかし、その分サイズが大きくなるというデメリットもあるため、コンパクト設計の回転式モデルを探すのが理想的と言えるでしょう。

安全基準(R129/R44)を確認しよう

大切なお子様の命を守るチャイルドシートですから、安全性は絶対に妥協できないポイントです。現在、日本で販売されているチャイルドシートは、国が定めた安全基準に適合している必要があります。現行の安全基準には「R129(i-Size)」と、旧基準の「R44」の2種類があります。

R129(i-Size)は、より厳しい新安全基準です。前後だけでなく側面からの衝突試験も義務付けられており、安全性がさらに高まっています。また、これまで月齢や体重で決められていた使用期間が、より個人差の少ない「身長」を基準にするように変更されています。迷ったら、より安全性の高いR129適合モデルを選ぶことをおすすめします。

チャイルドシートを選ぶ際には、必ずこの安全基準マークを確認し、信頼できる製品を選ぶようにしましょう。

まとめ:ジムニーとチャイルドシート2台、工夫次第で楽しいカーライフは実現可能

この記事では、ジムニーにチャイルドシートを2台設置できるのか、という疑問について多角的に解説してきました。

要点をまとめると以下のようになります。

  • 設置は可能: 後部座席に2台、または助手席と後部座席に1台ずつの設置が物理的に可能です。ただし、安全性から後部座席への2台設置が推奨されます。
  • 使い勝手には覚悟が必要: 3ドアによる乗せ降ろしの手間や、前席・荷室のスペースが大幅に制限される点は理解しておく必要があります。
  • チャイルドシート選びが重要: 「コンパクトさ」を最優先し、利便性を高める「回転式」や、安全性の高い「R129適合モデル」を選ぶことがポイントです。

確かに、ジムニーは一般的なファミリーカーのような利便性はありません。しかし、車種の特性をよく理解し、ルーフキャリアを活用したり、コンパクトなチャイルドシートを選んだりといった工夫をすることで、子供2人とのカーライフを楽しむことは十分に可能です。

何よりもジムニーという個性的な車で子育てをするというライフスタイルは、他では味わえない特別な体験になるはずです。この記事で得た情報を参考に、ご自身の家族にとって最適な形を見つけ、安全で楽しいジムニーライフを送ってください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました