ホンダの人気コンパクトカーであるフィット。駐車場などでドアをロックした際に、自動でミラーが閉まる「オートリトラミラー」は非常に便利な機能ですよね。しかし、ある日突然「フィットのミラーが自動格納しない」というトラブルに見舞われることがあります。
ミラーが動かないと、狭い駐車場での接触リスクが高まるだけでなく、ロックがかかっているかどうかの判断もしづらくなり、不便を感じるものです。実はこの現象、故障だけが原因ではなく、単純な設定ミスや一時的な不具合であることも少なくありません。
この記事では、フィットのミラーが自動格納しなくなった際に、まず確認すべきポイントから、故障の症状、修理費用の目安まで分かりやすく解説します。愛車のトラブルをスムーズに解決して、再び快適なドライブを楽しみましょう。
フィットのミラーが自動格納しない場合にまず確認すべき基本項目

ミラーが動かなくなると「壊れた!」と焦ってしまいがちですが、まずは落ち着いて基本的な箇所を確認しましょう。故障ではなく、何らかの操作で設定が変わっていたり、物理的な妨げがあったりするケースが意外と多いのです。ディーラーに相談する前に、以下の3つのポイントをチェックしてみてください。
格納スイッチの状態をチェックする
フィットの運転席側ドアパネルには、ミラーを操作するためのスイッチが並んでいます。ここで最も確認したいのが、ミラーの格納・復帰を切り替えるスイッチの状態です。多くのモデルでは、スイッチが「中立(ニュートラル)」の状態であればドアロックに連動して作動しますが、どちらか一方に押し込まれていると、自動格納が機能しないことがあります。
特に洗車時や掃除の際に、うっかりスイッチに手が触れてしまい、設定が変わってしまうのはよくある話です。一度スイッチを「格納」側に押して手動で動くか確認し、その後に「展開」側に戻して、オート機能が復帰するか試してみましょう。これで解決する場合は、故障ではなく単なるスイッチの操作ミスですので安心してください。
また、スイッチの接触不良が原因で、微妙な位置で止まっている場合も考えられます。何度かカチカチと押し直すことで、接点が復活して正常に動き出すこともあります。まずはこのアナログな確認が、トラブル解決の第一歩となります。
車両設定メニューから自動連動がオフになっていないか
現行型のフィット(GR系)や先代の一部モデルでは、マルチインフォメーションディスプレイの車両設定メニューから、オートリトラミラーの作動条件を個別に設定できるようになっています。バッテリーを交換した際や、何らかのシステムエラーが発生した際に、この設定がリセットされて「オフ」になってしまうことが稀にあります。
ハンドルのスイッチを使ってメーター内の設定画面を開き、「車両設定」から「ドアミラー設定」などの項目を確認してみましょう。ここで「ドアロック連動」が有効になっているかを確認してください。もしオフになっていれば、オンに切り替えるだけで問題は解決します。自分では設定を変えたつもりがなくても、確認する価値は十分にあります。
冬場の凍結や物理的な異物の挟み込み
冬の寒い時期に多いのが、ミラーの可動部が凍結して動かなくなるケースです。雪が降った翌朝や、放射冷却で冷え込んだ日などは、隙間に入り込んだ水分が凍りつき、モーターの力だけではミラーを動かせなくなります。この状態で無理に動かそうとすると、モーターに負荷がかかりすぎて故障の原因にもなるため注意が必要です。
また、隙間に小さな石や枯れ葉、洗車時のワックスの残りカスなどが詰まっている場合も、動作を妨げる原因となります。目視で可動部に何かが挟まっていないか確認し、汚れている場合はぬるま湯などで優しく洗い流してみましょう。凍結の場合は、無理に剥がそうとせず、車内を暖めて自然に解けるのを待つのが一番安全な方法です。
物理的な障害が原因であれば、それを取り除くことでスムーズに作動するようになります。洗車機を通した後にミラーが動かなくなった場合は、ブラシの繊維などが隙間に残っていないかもチェックしてみてください。
ドアミラーが動かなくなる主な故障の原因と症状

基本項目をチェックしても改善しない場合、内部の部品が寿命を迎えたり、電気系統にトラブルが発生したりしている可能性が高まります。フィットのドアミラー故障でよく見られる具体的な症状と、その背後にある原因を掘り下げていきましょう。自分の車の状況と照らし合わせてみてください。
モーターの作動音はするがミラーが動かない場合
ドアをロックした際に、サイドミラーのあたりから「ウィーン」「ガガガ」といったモーターの回転音や異音が聞こえるのに、ミラーが全く動かない、あるいは途中で止まってしまう。これはフィットに限らず、多くの車で見られる典型的な故障パターンです。この症状の主な原因は、内部にある樹脂製のギア(歯車)の破損です。
ミラー内部には、モーターの回転をミラーの動きに変えるための小さなギアがいくつも組み込まれています。これらはプラスチック製であることが多く、長年の使用による経年劣化や、外部からの強い衝撃によって欠けたり割れたりすることがあります。ギアが空回りしているため、音だけはするのに動きが伝わらないという状態に陥るのです。
この状態を放置すると、モーターが止まらずに回り続け、バッテリー上がりの原因になることもあります。異音が止まらない場合は、一時的にヒューズを抜くか、スイッチを操作して電気を遮断するなどの応急処置が必要になることもあります。早めの修理検討をおすすめします。
内部のギアだけを金属製のものに交換する社外品パーツも存在しますが、分解には専門知識が必要です。基本的にはユニットごとの交換を提案されるケースが多いでしょう。
左右両方のミラーが同時に動かなくなった場合
片側だけでなく、左右両方のミラーが同時に自動格納しなくなった場合は、ミラー自体の故障よりも電気の供給側に問題がある可能性が高いと言えます。まず疑うべきは「ヒューズ切れ」です。車には過電流による火災などを防ぐためにヒューズが備わっていますが、何らかの拍子にこれが切れると、関連する電装品が一切動かなくなります。
フィットのヒューズボックスは、通常運転席の足元付近やエンジンルーム内にあります。ミラーに関連するヒューズが切れていないか確認しましょう。もしヒューズが切れている場合、それを交換するだけで直ることもありますが、何度も切れるようであれば、どこかでショート(短絡)が起きている可能性があるため、プロによる診断が必要です。
また、パワーウィンドウスイッチやミラー操作パネル全体の故障も考えられます。もしミラーだけでなく、窓の開閉もおかしい、あるいはミラーの角度調整もできないといった併発症状がある場合は、スイッチパネル裏のカプラー(接続部)の抜けや、パネル自体の基盤故障が疑われます。
ミラーの可動範囲がずれて途中で止まってしまう
「格納はするけれど最後まで閉まりきらない」「開くときに変な角度まで開いてしまう」といった中途半端な症状が出ることもあります。これは、ミラーの可動位置を記憶しているストッパー部分の摩耗や、内部のセンサーエラーが原因であると考えられます。フィットのミラーは、一定の負荷がかかると停止する仕組みになっていますが、汚れによる抵抗を「全閉」と勘違いしてしまうことがあるのです。
この場合、一度手動でミラーを正しい位置まで押し戻したり、何度か手動スイッチで開閉を繰り返したりすることで、コンピューターが位置を再学習して直ることがあります。ただし、内部のバネや樹脂パーツが歪んでいる場合は、手動で直してもすぐに再発してしまいます。
また、過去に誰かがミラーを無理やり手で動かした際、内部のクラッチ機構がずれてしまった可能性もあります。最近の車は電動が前提で作られているため、手動で頻繁に動かすと内部パーツを傷めやすいのです。位置ずれが頻発する場合は、内部メカニズムの寿命と考えたほうがよいでしょう。
特定の状況下でミラーが作動しないケース

故障や設定以外にも、特定のシチュエーションによってミラーが動かなくなることがあります。これは「車の仕様」や「外部要因」によるもので、一時的な現象である場合がほとんどです。以下のような状況に心当たりがないか思い出してみてください。
バッテリー交換や電圧低下の影響
車のバッテリーを交換した直後や、バッテリーが上がりかけて電圧が低下しているときに、オートリトラミラーが正常に作動しなくなることがあります。現代の車は多くの機能をコンピューターで制御しているため、電力供給が不安定になると、設定値がリセットされたり、一時的にセーフモード(保護機能)が働いたりすることがあります。
バッテリー交換後に動かなくなった場合は、初期設定(リセット作業)が必要です。多くのフィットでは、一度エンジンスイッチをオンにし、手動スイッチでミラーを全閉・全開させることで、システムが正常な状態を認識し直します。これで復帰しなければ、設定メニューが初期化されていないか再度確認しましょう。
また、冬場などで電圧が下がっていると、モーターを動かすのに十分な電力が供給されず、動作が鈍くなったり止まったりすることもあります。この場合は、しばらく走行して充電されるのを待つか、バッテリー自体の寿命を疑う必要があります。電圧が安定すれば、ミラーの動きも元に戻ることが多いです。
後付けの社外品キットを装着している場合
標準でオートリトラミラーが付いていないグレードのフィットに、後付けの「自動格納キット」を取り付けている場合は、そのキット自体の不具合や配線の劣化が原因となります。社外品キットは純正品に比べて耐久性が劣るものもあり、特に夏の高温下や冬の極寒下でコントローラーが故障しやすい傾向があります。
もし自分で取り付けたのであれば、配線の接続部分が振動で緩んでいないか、エレクトロタップなどの接触が悪くなっていないかを確認してみてください。キットのヒューズが別に設けられている場合もあるため、そちらのチェックも忘れずに行いましょう。
純正品であればディーラーでの修理が可能ですが、社外品の場合はディーラーで対応を断られることもあります。その場合は、取り付けを依頼したショップに相談するか、新しいキットに買い替えることを検討する必要があります。配線を一度純正の状態に戻してみて、手動で動くかどうかを確認するのが、原因の切り分けとして有効です。
スマートキーの電池残量が少なくなっている
意外な落とし穴なのが、スマートキーの電池切れです。ドアをロックした際にミラーが畳まれる設定にしていても、キーの電池が弱っていると、ロック信号が車両に正確に伝わらないことがあります。ドアノブのスイッチでロックはできても、ミラーを動かすための追加信号が途切れてしまうというケースです。
もしスマートキーの反応が最近悪くなったと感じているなら、まずはキーの電池を交換してみることをおすすめします。ボタン電池(CR2032など)は数百円で購入でき、自分でも簡単に交換可能です。これでミラーの問題が解決すれば、最も安上がりな修理となります。
また、スマートキーをスマートフォンなどの電子機器と一緒に持ち歩いていると、電波干渉が起きて正常に動作しないこともあります。試しにキーを単独で操作してみて、ミラーがスムーズに動くかどうかを確認してみてください。電波環境が原因であれば、故障の心配はありません。
修理が必要な場合の費用相場とディーラーへの相談

いろいろ試しても改善せず、明らかに故障と判断した場合は、プロの力を借りる必要があります。そこで気になるのが、修理にいくらかかるのかという点でしょう。フィットのミラー修理に関する費用感と、お得に直すための情報をまとめました。
ミラーユニット全体の交換費用
ディーラーで修理を依頼する場合、多くは「ミラーアッセンブリー(ユニットごと)」の交換を提案されます。内部の細かい部品だけを分解して修理するよりも、ユニットごと交換したほうが作業効率が良く、その後の再発リスクも低いためです。フィットの場合、部品代と工賃を合わせて約3万円〜5万円程度が相場となります。
ミラーにはモーターだけでなく、鏡面、ウインカー、ヒーター、最近ではブラインドスポットモニターのセンサーなどが内蔵されているモデルもあります。多機能なミラーほど部品代が高額になるため、上位グレードやオプション装着車の方は、少し多めの予算を見ておいたほうがいいでしょう。
また、新品ではなく「リビルト品(再生品)」や「中古品」を探してもらうという手もあります。これらを利用すれば、部品代を半分程度に抑えられる可能性があります。費用を安く済ませたい場合は、ディーラーや近所の整備工場に「中古パーツでの修理は可能か」と相談してみてください。
内部ギアのみの交換で安く済むケース
モーターの音だけが空回りしている場合、原因である「ギア」だけを交換できれば費用は大幅に抑えられます。純正部品としてはギア単体での販売はありませんが、インターネット通販などでは、フィットに適合する金属製の強化ギアが数千円で販売されています。これを取り寄せて自分で交換、あるいは持ち込み可能な整備工場で交換してもらう方法です。
この場合の費用は、部品代数千円+工賃1万円前後で、合計1.5万円程度に収まることもあります。ただし、ミラーの分解は非常に手間がかかり、鏡を割ってしまうリスクや配線を切ってしまう恐れがあるため、DIYに慣れていない方にはあまりおすすめしません。
また、社外パーツを使用することになるため、ディーラーでは作業を断られるのが一般的です。腕の良い個人の整備工場や、持ち込みパーツ歓迎のショップを見つける必要があります。安さを優先するか、安心感を優先するか、自分の状況に合わせて判断しましょう。
保証期間や延長保証の対象になっていないか確認
修理を検討する前に、必ず確認してほしいのが「メーカー保証」です。新車登録から3年以内、または走行距離6万km以内であれば、一般保証の対象として無償で修理できる可能性があります。また、ホンダの「マモルくん」などの延長保証に加入していれば、5年目まで無償修理が受けられるケースも多いです。
ミラーの故障は経年劣化として扱われることもありますが、内部ギアの破損などは製造上の欠陥として保証が認められやすい項目でもあります。自分の車が保証期間内かどうか、メンテナンスノート(保証書)をチェックしてみてください。もし対象内であれば、迷わずディーラーへ連絡しましょう。
過去には、特定の年式のフィットにおいてミラーの不具合に対する保証期間延長やリコールが出されていたこともあります。車体番号から対象かどうかをホンダの公式サイトで検索できるため、一度チェックしてみる価値はあります。対象であれば、走行距離に関わらず無料で直してもらえるかもしれません。
修理費用の目安まとめ
・ディーラーでの新品交換:30,000円 〜 50,000円
・中古パーツでの交換:15,000円 〜 25,000円
・内部ギアのみの交換(持ち込み):10,000円 〜 15,000円
・保証対象の場合:0円
日常のメンテナンスとミラーの寿命を延ばすコツ

せっかく修理して直したミラーも、扱い方次第ではまたすぐに壊れてしまうかもしれません。フィットのドアミラーを長持ちさせるためには、日頃のちょっとした心がけが大切です。トラブルを未然に防ぎ、ミラーの寿命を延ばすためのメンテナンス術を紹介します。
可動部の定期的な清掃とシリコンスプレーの塗布
ドアミラーが動く際、根本の部分には常に摩擦が発生しています。ここに埃や泥、砂が溜まると、研磨剤のような役割をしてしまい、内部の可動パーツを削ってしまいます。洗車の際には、ミラーを畳んだ状態と広げた状態の両方で、隙間の汚れを水でしっかり洗い流すようにしましょう。
また、動きをスムーズに保つために、市販の「シリコンスプレー」を活用するのも効果的です。ミラーを動かしながら、根本の隙間に軽くスプレーして馴染ませるだけで、摩擦抵抗が大幅に減ります。これによりモーターへの負荷が軽減され、故障のリスクを下げることができます。
ただし、浸透潤滑剤(5-56など)はプラスチックを劣化させてしまう可能性があるため、必ず「プラスチック・ゴムに使用可能」と記載されたシリコン系のオイルを使用してください。半年に一度程度のメンテナンスで、ミラーの動きは見違えるほど軽やかになります。
無理に手で動かさないことを徹底する
電動格納ミラーを装備している車にとって、最も大きなダメージとなるのが「手動による強制的な操作」です。狭い場所で通りすがりの人にぶつかられたり、洗車スタッフが良かれと思って手で畳んでしまったりすることで、内部のギアに無理な力がかかり、破損の原因となります。
今の車のミラーは手で動かしても大丈夫なようにクラッチ機構が備わっていますが、それでも電動モーターと繋がっている状態で無理やり動かせば、プラスチック製のギアには相当なストレスがかかります。基本的にはすべてスイッチ操作で行うようにし、周囲の人にも「電動なのでそのままで大丈夫です」と伝えるようにしましょう。
また、子供が面白がって手で動かしたり、ぶら下がったりしないように注意することも大切です。もし不本意に手で動かされてしまった場合は、一度スイッチで全閉・全開を操作して、位置をリセットさせるようにしてください。カチッという音がして噛み合えば、正常な状態に戻ります。
定期点検で動作チェックを依頼する
車検や12ヶ月点検の際、ミラーの動きについてはあまり深くチェックされないことが多いですが、あえて整備士に「最近少し動きが重い気がする」などと伝えておくと、内部の清掃やグリスアップをしてもらえることがあります。異変が小さいうちに対処することで、高額な部品交換を避けられる可能性が高まります。
特にフィットを中古で購入した場合などは、前のオーナーの使い方が分からないため、一度プロに可動部の状態を見てもらうと安心です。モーターからわずかな異音がしていないか、開閉のスピードが左右で極端に違わないかなど、普段から愛車の変化に敏感になっておくことが大切です。
ドアミラーは安全確認に欠かせない重要なパーツです。格納機能そのものは走行に直結しませんが、いざという時にしっかり動く状態を保っておくことで、駐車時の安心感や車両への愛着も深まります。日頃の小さなケアを習慣にして、トラブルを未然に防いでいきましょう。
まとめ:フィットのミラーが自動格納しない問題を解決して快適なカーライフを
フィットのミラーが自動格納しないというトラブルは、非常に身近な問題ですが、その原因はスイッチの切り忘れのような単純なものから、内部ギアの破損といった本格的な故障まで多岐にわたります。
まずは設定画面やスイッチの状況、凍結や汚れがないかを自分自身の目で確認してみましょう。これだけで解決すれば費用は一切かかりません。もし異音がしていたり、どうしても動かなかったりする場合は、無理をせずディーラーや整備工場に相談することが最善の策です。保証が適用されれば無料で直る可能性もあります。
ドアミラーは、狭い日本の道路事情において非常に酷使されるパーツの一つです。日頃から可動部の清掃やシリコンスプレーによる潤滑を心がけ、大切に扱うことで、長期間にわたってスムーズな動作を維持することができます。ミラーの不具合を解消して、再びストレスのないフィットとのカーライフを楽しんでください。




