日産の人気SUVであるエクストレイル(T32型)は、タフな走行性能と広い室内空間を兼ね備えた、アウトドア派に絶大な支持を受ける一台です。キャンプやスノーボードといったアクティビティはもちろん、最近では車中泊を楽しむユーザーも増えています。しかし、実際に車内で横になろうとすると「シートの段差が気になる」「どうすれば平らになるのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、エクストレイル T32でフルフラットにする具体的なやり方や、5人乗り・7人乗りの違い、段差を解消するための工夫を詳しく解説します。これから車中泊に挑戦したい方や、室内空間を最大限に活用したい方はぜひ参考にしてください。荷室の特性を理解して適切な対策を行えば、驚くほど快適な就寝スペースを作り出すことができます。
エクストレイル T32でフルフラットにする基本のやり方と手順

エクストレイル T32のシートアレンジは比較的シンプルですが、乗車定員によって操作方法が異なります。まずは基本となるシートの倒し方を確認しましょう。このモデルは防水シートを採用しているグレードが多く、汚れを気にせず作業できるのが魅力です。
5人乗りモデル(2列シート車)の操作手順
5人乗りモデルの場合、後部座席を前方に倒すことで広大なラゲッジスペースを作り出すことができます。まず、後部座席の肩口にあるレバー、または座面横のストラップを操作します。ヘッドレストを一番下まで下げておくか、フロントシートが後ろに下がっている場合はヘッドレストを外しておくとスムーズに倒れます。
背もたれをパタンと前に倒すだけで作業は完了しますが、これだけでは完全なフラットにはなりません。ラゲッジボード(防水ボード)の高さ調整が必要になります。ボードを上段にセットすることで、倒した背もたれとの段差を最小限に抑えることが可能です。このボードの使いこなしが、5人乗りでフルフラット感を出すための重要なポイントです。
また、フロントシートを一番前までスライドさせ、背もたれを後ろに倒して後部座席とつなげる方法もありますが、この場合は足元に大きな隙間ができるため、荷物などで埋める工夫が必要です。基本的には後部座席を前に倒し、ラゲッジルームとつなげる形が車中泊には適しています。
7人乗りモデル(3列シート車)の操作手順
7人乗りモデルは、3列目シートと2列目シートの両方を操作する必要があります。まず、3列目シートの背もたれにあるストラップを引きながら前に倒します。3列目は完全に床に沈み込むような形になるため、これだけで荷室の後方は平らになります。次に、2列目シートも同様に前方に倒していきます。
7人乗りの特徴として、2列目シートにスライド機構がついている点が挙げられます。できるだけ前方にスライドさせてから背もたれを倒すと、全長を長く確保できます。ただし、7人乗りは2列目と3列目の間に構造上の隙間や段差が生じやすいため、5人乗り以上に調整が必要になることを覚えておきましょう。
操作自体は紐を引いたりレバーを動かしたりするだけなので、力のない方でも簡単に行えます。7人乗りは乗車人数に合わせて柔軟にアレンジできる反面、フルフラット時の凹凸が5人乗りよりも複雑になる傾向があります。各座席の接合部分を意識しながら配置を決めるのがコツです。
ラゲッジボードを活用した高さ調節
エクストレイル T32の5人乗りモデルには「防水フレキシブルラゲッジボード」が装備されています。このボードは2枚構成になっており、設置する溝の場所を変えることで高さを調節できます。フルフラットにする際は、このボードを「上段」の位置に固定してください。これにより、倒したシートの背面とボードの高さがほぼ一致します。
下段にセットしてしまうと、シートの厚み分だけ大きな段差ができてしまい、その上に寝ることは困難になります。また、ボードの下には隠し収納スペースができるため、靴やキャンプ道具などを忍ばせておくのにも便利です。ボード自体が防水・防汚仕様になっているため、濡れたままのマットやシュラフを置いても手入れが楽なのが嬉しいポイントです。
ただし、ボード自体の耐荷重には限界があります。一点に強い荷重をかけるとボードがたわんだり破損したりする恐れがあるため、大人が上で寝る場合は、ボードの下に収納ボックスなどを置いて支えを強化するか、厚手のマットを敷いて荷重を分散させるのが賢明です。
5人乗りと7人乗りのフルフラット時の違いと注意点

エクストレイル T32を購入する際、あるいは車中泊を計画する際に悩むのが「5人乗りか7人乗りか」という点です。どちらもフルフラットに近い状態にはなりますが、その形状や使い勝手には明確な違いがあります。ここではそれぞれの特性を詳しく比較します。
5人乗りモデルのメリットとデメリット
5人乗りモデルの最大のメリットは、ラゲッジボードによるフラット化が非常にスムーズである点です。ボードを上段にセットすれば、荷室の端から倒したシートの背もたれまでが、なだらかな斜面を形成しつつもほぼ一体化します。段差が少ないため、比較的薄いマットでも十分に寝ることが可能です。
デメリットとしては、シートを倒した際の全長が7人乗りに比べてやや短く感じることがある点です。身長170cm以上の方が足を伸ばして寝る場合、フロントシートを前に出す工夫が必要になります。また、ラゲッジボード下の収納は便利ですが、ボード自体の強度が気になる場合があり、本格的な車中泊には補強や厚手のクッションが推奨されます。
全体的には、シンプルに広い空間を作りたい人に向いています。複雑な段差が少ないため、市販の汎用マットでもサイズさえ合えば適合しやすいのが魅力です。普段は荷物をたくさん積み、たまに二人で車中泊をするといったスタイルに最適といえるでしょう。
7人乗りモデルのメリットとデメリット
7人乗りモデルのメリットは、シートアレンジの多様性です。3列目だけを倒して広大な荷室にする、2列目の片側だけを倒すなど、状況に応じた使い分けが可能です。また、2列目シートのスライド幅が大きいため、フルフラットにした際の有効長を5人乗りよりも確保しやすいという側面もあります。
一方、デメリットは「段差の多さ」です。3列目シートを格納した部分と、2列目シートの背もたれの間にはどうしても隙間や段差が生じます。また、2列目シートが厚手でしっかりしている分、倒したときに完全な水平にはならず、盛り上がりが気になります。これらを解消するためには、クッションや専用のマットが必須となります。
7人乗りでフルフラットにするには、事前の準備が重要です。そのまま寝ると腰や背中を痛める原因になるため、隙間を埋めるための「アンコ」となるタオルやクッション、そしてその上を覆う厚さ10cm程度のマットを用意するのが理想的です。
就寝スペースの有効寸法(長さと幅)
エクストレイル T32のフルフラット時の寸法は、5人乗りで長さが約170cm〜175cm、7人乗りで最大約180cm程度(シートスライド併用時)となります。幅はタイヤハウスの張り出しがあるため、最も狭い部分で約100cm、広い部分で約130cmほどです。これを見てもわかる通り、大人二人が横に並んで寝るにはジャストサイズ、一人ならかなりゆったりとした空間になります。
身長が高い方の場合は、対角線上に寝ることで190cm近い長さを確保できるため、ソロキャンプであれば全く問題ありません。二人で寝る場合は、頭をフロント側に持ってくるか、リアゲート側に持ってくるかで足元の余裕が変わります。フロント側に頭を置く方が、肩周りの空間が広く取れるため、圧迫感を感じにくくなります。
また、室内高についても注意が必要です。エクストレイルはSUVとしては標準的な高さですが、厚手のマットを敷くと天井までの距離が近くなります。車内で座って食事をしたり着替えをしたりする際は、頭をぶつけないように姿勢を低く保つ必要があります。この「おこもり感」も車中泊の醍醐味ではありますが、事前にシミュレーションしておくと安心です。
モデル別フルフラットの比較表
| 項目 | 5人乗り(2列シート) | 7人乗り(3列シート) |
|---|---|---|
| 操作のしやすさ | ◎ 非常に簡単 | ○ 2工程必要 |
| 段差の少なさ | ○ ボードで調整可 | △ 隙間ができやすい |
| 最大就寝長 | 約175cm | 約180cm |
| 適した用途 | 積載重視・二人旅 | 多人数乗車・ソロ泊 |
「完全なフラット」にするための段差解消アイデア

エクストレイル T32をフルフラットにしても、実は厳密な意味での「真っ平ら」にはなりません。シートの背もたれにはわずかな傾斜があり、接合部には微妙な段差が生じます。安眠を手に入れるためには、これらをいかに解消するかが鍵となります。
厚手の車中泊専用マットを敷く
最も手軽で効果的な方法は、厚さ8cm〜10cm程度の車中泊専用インフレーターマットを使用することです。インフレーターマットとは、バルブを開くと自動で空気が入り膨らむマットのことで、中にウレタンが入っているためクッション性が非常に高いのが特徴です。
薄いキャンプ用の銀マットでは、エクストレイル特有の微妙な凹凸を吸収しきれません。しかし、10cmクラスの厚みがあれば、下の段差をほとんど感じることなく快適に眠ることができます。エクストレイルの荷室幅に合わせて、シングルサイズを2枚並べるか、ダブルサイズを選択すると良いでしょう。専用設計のものでなくても、サイズが合えば汎用品で十分対応可能です。
マットを選ぶ際のポイントは、表面が滑りにくい素材であることと、空気を抜いた時にコンパクトに収納できることです。エクストレイルのラゲッジ下収納に収まるサイズなら、普段から車に積んでおけるため、思い立った時にいつでも車中泊が楽しめます。
クッションやタオルで隙間を埋める
マットを敷く前に、シートの継ぎ目や凹んでいる部分に「詰め物」をすることで、フラットの精度が劇的に向上します。特に7人乗りモデルの場合、2列目と3列目の間の溝や、2列目シートの背もたれの傾斜が気になるため、バスタオルを畳んだものや、小さめのクッションをあらかじめ配置しておきましょう。
5人乗りモデルでも、ラゲッジボードとシート背面の境目に小さな段差ができることがあります。ここを埋めるだけで、腰への負担が大きく変わります。家にある不要な毛布や座布団を活用するのもコストがかからず賢い方法です。まずは一度、自宅の駐車場などでシートを倒して寝転んでみて、どこが身体にあたるかを確認してみてください。
また、フロントシートを前に出した際にできる後部座席との間の空間(足元部分)も重要です。ここにはコンテナボックスや、専用の「隙間埋めクッション」を置くことで、頭側のサポートを強化でき、全長を最大限に活用できるようになります。
DIYでフルフラットボードを製作する
もしDIYが得意であれば、合板などを使ってオリジナルのフルフラットボードを製作するのも一つの手です。ホームセンターで販売されているOSB合板や集成材を荷室の形に合わせてカットし、その上にパンチカーペットを貼り付ければ、見た目もプロ仕様の本格的なベッドキットが完成します。
自作のメリットは、自分の身長や寝方に合わせて高さを微調整できることです。例えば、下の空間をすべて収納として使えるように高床式のベッドを作ることも可能です。エクストレイル T32は、内装にフックをかける場所やボルト穴がいくつかあるため、それらを利用してフレームを組むこともできます。
ただし、自作ボードは重量が増えがちで、走行中の安全確保(急ブレーキ時にボードが動かないようにする)も考慮しなければなりません。まずは手軽なマットから始め、よりこだわりたい場合にDIYへステップアップするのがおすすめです。
段差解消のコツは、いきなり高価なアイテムを買うのではなく、家にあるタオルやクッションで「どこを埋めるべきか」を特定することから始めるのが近道です。
車中泊をさらに快適にするおすすめアイテム

フルフラットの土台が完成したら、次に考えるべきは「睡眠の質」と「プライバシー」です。車の中を自宅の寝室のようにリラックスできる空間に変えるためには、いくつか揃えておきたい定番アイテムがあります。
プライバシーを守るサンシェード・カーテン
車中泊で意外と見落としがちなのが、外からの視線と光の遮断です。街灯の明かりや、他の車のヘッドライトは想像以上に気になります。また、防犯の観点からも、車内が見えない状態にすることは必須です。エクストレイル T32の窓枠にフィットする車種専用サンシェードは、非常に満足度の高い投資になります。
専用設計のシェードは隙間なく窓を覆うことができるため、断熱効果も期待できます。冬場の車内は窓から冷気が入り込み、放射冷却で急激に温度が下がりますが、厚手のシェードを貼るだけで体感温度が数度変わります。吸盤で貼り付けるタイプが一般的で、脱着も数十秒で終わります。
手軽に済ませたい場合は、100円ショップのカーテンクリップと布を使って自作することもできますが、窓との間に隙間ができやすいため、快適性を重視するなら専用品を選びましょう。フロント、サイド、リアの全方位を隠すことで、安心感が全く異なります。
ポータブル電源と照明の準備
夜の車内を楽しむには明かりが必要です。車のルームランプを長時間点灯させているとバッテリー上がりの原因になるため、乾電池式や充電式のLEDランタンを準備しましょう。暖色系のランタンを選ぶと、車内が落ち着いたキャンプのような雰囲気になり、リラックス効果も高まります。
さらに、一歩進んだ車中泊を目指すならポータブル電源が役立ちます。スマートフォンの充電はもちろん、電気毛布や小型の扇風機、さらにはノートPCの電源としても重宝します。冬場のエクストレイルでの車中泊において、電気毛布が使えるかどうかは死活問題と言えるほど重要です。
エクストレイル T32にはアクセサリーソケットがありますが、エンジン停止中は電気が使えません(またはバッテリーを消費します)。ポータブル電源があれば、エンジンをかけずに一晩中快適な温度や電力を維持できるため、環境にも優しく、静かな夜を過ごすことができます。
季節に合わせた寝具の選び方
フルフラットになった床の上で何を使って寝るかも大切です。夏場であれば、冷感素材のタオルケットや薄手のシュラフ(寝袋)で十分ですが、春・秋・冬はしっかりとした防寒対策が必要です。車内は外気温の影響をダイレクトに受けるため、思っている以上に冷え込みます。
シュラフは、封筒型と呼ばれる長方形のタイプがおすすめです。マミー型(人型)よりも足元にゆとりがあり、家のお布団に近い感覚で眠れます。また、2つのシュラフを連結してダブルサイズにできるものもあり、パートナーや子供と一緒に寝る際に便利です。
極寒の時期には、ダウン素材のシュラフや、家で使っている羽毛布団を持ち込むのも一つの手です。エクストレイルは積載量に余裕があるため、無理にキャンプ用のコンパクトな寝具にこだわらず、自分が一番心地よいと感じるものを選んでみてください。
エクストレイル T32で車中泊を楽しむ際の注意点

快適なフルフラット空間が完成しても、ルールやマナーを守らなければ楽しい旅が台無しになってしまいます。安全に、そして周囲に迷惑をかけずに車中泊を楽しむための鉄則をいくつか紹介します。
アイドリングストップと一酸化炭素中毒
車中泊をする際、エアコンを使うためにエンジンをかけっぱなしにするのは厳禁です。騒音で周囲に迷惑をかけるだけでなく、排気ガスが車内に逆流して一酸化炭素中毒を引き起こす危険性があります。特に雪が降る地域では、排気管が雪で塞がれるとあっという間に危険な状態になります。
暑さ対策や寒さ対策は、先述したサンシェードや電気毛布、衣服の調整で行うのが基本です。どうしてもエンジンをかけたい場合は、周囲に誰もいない場所を選び、短時間に留めるようにしましょう。基本的には「エンジンは止める」のが車中泊の鉄則です。
また、窓を少しだけ開けて換気をするのも有効ですが、防犯面が心配な場合は、網戸付きのサンシェードを利用するなどの工夫をしてください。空気の流れを少し作るだけでも、車内の結露を抑えることができます。
エコノミークラス症候群の予防
フルフラットにしているとはいえ、家よりも狭い空間で長時間同じ姿勢でいると、血行が悪くなり「エコノミークラス症候群」になる恐れがあります。特に足元に段差があったり、窮屈な状態で寝ていたりするとリスクが高まります。
予防のためには、こまめな水分補給と、寝る前の軽いストレッチが効果的です。また、夜中に目が覚めた時に足を動かしたり、姿勢を変えたりするように意識しましょう。エクストレイルは室内幅がある程度確保されているので、できるだけリラックスして足を伸ばせる状態を作っておくことが、健康面でも非常に重要です。
また、アルコールの過剰摂取は脱水を招き、血栓ができやすくなるため、車中泊での晩酌はほどほどに。翌日の運転に支障をきたさないよう、健康管理も楽しみの一部として捉えましょう。
駐車場所の選定とマナー
どこでも自由に泊まっていいわけではありません。道の駅や高速道路のパーキングエリアは、本来「休憩施設」であり、宿泊が許可されていない場所も多くあります。利用する際は、その場所のルールを確認し、仮眠の範囲に留めるか、オートキャンプ場や「RVパーク」といった車中泊専用の施設を利用しましょう。
また、ゴミのポイ捨てや、駐車スペースでのキャンプ行為(椅子を出したり調理をしたりする)はマナー違反です。近隣住民の方や他の利用者に配慮し、静かに過ごすのが大人の車中泊スタイルです。公共の場所を借りているという意識を忘れずに、来た時よりも綺麗にして去ることを心がけてください。
最近では、車中泊を歓迎している道の駅や、電源設備を備えた駐車場も増えています。スマートフォンのアプリなどで「車中泊スポット」を事前にリサーチしておくと、当日の場所探しで慌てることがありません。
マナーを守ることは、車中泊という文化を守ることにもつながります。自分たちだけでなく、みんなが気持ちよく過ごせるように配慮しましょう。
エクストレイル T32のフルフラット化と活用術まとめ
エクストレイル T32でフルフラットにするやり方をマスターすれば、あなたの車は移動手段から「動く秘密基地」へと生まれ変わります。5人乗りならラゲッジボードを使いこなし、7人乗りなら隙間を埋める工夫をすることで、驚くほど快適な空間を作ることが可能です。
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
エクストレイル T32 車中泊の重要ポイント
・5人乗りはラゲッジボードを「上段」にセットして段差を抑える
・7人乗りはシートスライドを活用し、隙間をクッションやタオルで埋める
・「厚さ10cm程度のインフレーターマット」があれば、ほとんどの段差は解消できる
・サンシェードでプライバシーと温度管理を徹底する
・エンジンは必ず停止し、周囲へのマナーと安全に配慮する
エクストレイルは、その高い走破性で他の車では行けないような場所へも連れて行ってくれます。そこで迎える朝は、日常では味わえない特別な体験になるはずです。まずは近場のキャンプ場や安全な駐車場で、フルフラットの寝心地を試すことから始めてみませんか。この記事を参考に、あなただけのエクストレイルライフをぜひ満喫してください。




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