ホンダのCR-Zは、ハイブリッドシステムを搭載したスポーティーな3ドアクーペとして今なお根強い人気を誇ります。スタイリッシュな外観が魅力の一方で、購入を検討している方が最も気になるのが「CR-Zの後部座席」の使い勝手ではないでしょうか。カタログスペックでは4人乗りですが、実際には「狭すぎて人が座れない」という声も多く聞かれます。
この記事では、CR-Zの後部座席の正確なサイズ感や居住性、チャイルドシート設置の現実的なライン、さらには車中泊や積載スペースとしての活用術まで詳しく解説します。これからCR-Zを手に入れたい方や、現在の愛車をもっと活用したい方は、ぜひ参考にしてください。スポーツカーとしての走りと実用性を両立させるヒントが見つかるはずです。
CR-Zの後部座席のサイズ感と居住性

CR-Zの後部座席は、一般的な乗用車のような「ゆったり座れるシート」を想像すると驚くかもしれません。設計思想として、運転席と助手席を優先し、後席はあくまで補助的な役割を果たす「2+2(ツープラスツー)」という構成になっています。
「2+2」仕様のリアルな広さと足元事情
CR-Zの後部座席に足を踏み入れると、まずそのタイトな空間に驚かされます。前席を標準的な位置にセットした場合、後席の足元スペースはほとんど残らないのが実情です。大人が座るには、助手席をかなり前方にスライドさせる必要があります。
座面自体も低く設定されており、膝が胸に近づくような「体育座り」に近い姿勢になりがちです。また、中央部分にはドリンクホルダーや盛り上がりがあるため、左右に分かれて座る形になりますが、横幅も決して余裕があるとは言えません。
あくまで「短時間の移動」や「緊急時の補助」としての活用が前提となっています。例えば、近くの駅までの送迎や、どうしても4人で移動しなければならない数キロ圏内の移動であれば、工夫次第で対応できるといったレベル感です。
CR-Zの後席は、ホンダが「ワンモーション・フォールダウン・リアシート」と呼ぶ通り、座席として使うよりも「倒して荷室を広げること」に主眼が置かれた設計になっています。
頭上空間(ヘッドクリアランス)の限界と注意点
CR-Zの流麗なクーペフォルムを実現するために、ルーフラインは後方に向かって急激に傾斜しています。これがデザインの美しさを際立たせているのですが、後部座席の頭上空間(ヘッドクリアランス)には大きな影響を与えています。
身長160cm程度の大人でも、普通に背もたれに寄りかかると頭がリアガラスに触れてしまうことがあります。さらに、リアハッチのヒンジ部分やガラスの縁が近いため、走行中の振動で頭をぶつけないよう注意が必要です。
直射日光が当たりやすいリアガラスの直下ということもあり、夏場などは頭上がかなり暑くなる点も無視できません。快適な居住性を求めるのであれば、大人が後席に長時間座り続けるのは現実的ではないと言えるでしょう。
後部座席は実質的に「荷物置き場」として考えるべき理由
多くのCR-Zオーナーの間では、後部座席は「人が座る場所」ではなく「便利な荷物置き場」として定着しています。座面には適度なくぼみがあり、スーパーの買い物袋やハンドバッグなどを置いても転がりにくい形状になっています。
3ドアクーペであるため、後席へアクセスするには前席のシートを倒す手間がありますが、前席から手を伸ばして荷物を取ることも可能です。日常的な買い物や、一人または二人でのドライブ旅行であれば、このスペースは非常に貴重な収納場所になります。
シートを立てた状態でも、座面に荷物を載せるだけであれば十分な安定感があります。実質的に「豪華な内装を施した荷物棚」と割り切って使うことで、CR-Zのスポーティーなキャラクターを最大限に楽しみながら、日常の利便性を確保することができます。
チャイルドシート設置の可否と注意点

ファミリーでの利用を考えている場合、CR-Zの後部座席にチャイルドシートを設置できるかどうかは死活問題です。結論から言うと設置は可能ですが、いくつかの制約や条件をクリアする必要があります。
ISOFIX対応状況と取り付け可能なモデル
CR-Zの後部座席には、多くの年式でISOFIX(アイソフィックス)対応の取付金具が備わっています。ISOFIXは、シートベルトを使わずに車体とチャイルドシートを固定する国際規格で、誰でも確実に取り付けられるのがメリットです。
ただし、CR-Zの室内高は非常に低いため、大型のチャイルドシートや、回転機能がついた台座が高いモデルは天井に干渉して設置できないケースがあります。購入前には、必ずチャイルドシートメーカーの「車種別適合表」を確認しましょう。
コンパクトな設計のシートベルト固定タイプや、ジュニアシートであれば比較的スムーズに設置できます。特に座面だけのブースターシートタイプは、CR-Zのタイトな後席でも収まりが良く、子供が成長した後の補助として重宝します。
助手席との干渉や乗降時の工夫
後部座席にチャイルドシートを載せる際、最大の問題となるのが助手席との距離感です。チャイルドシートの厚みがある分、子供の足が助手席の背もたれに当たりやすいため、助手席をかなり前方にスライドさせる必要が出てきます。
これにより、助手席に大人が座るのが難しくなる場合があるため、「運転手+子供(後席)」の2人乗車や、助手席に小柄な人が座るなどの工夫が求められます。また、ドアが大きく開くとはいえ、低いルーフを避けながら子供を抱えて載せるのは腰に負担がかかる作業です。
狭い駐車場などでは、大きなドアを全開にできないため、乗せ降ろしがさらに難しくなることも考慮しておきましょう。スライドドアのミニバンに慣れている方にとっては、かなりハードルの高い作業に感じられるかもしれません。
成長に合わせた使い分けと限界年齢の目安
CR-Zでチャイルドシートを使い続ける場合、子供の成長とともに限界がやってきます。幼児期までは足元や頭上に余裕があっても、小学生に近づくにつれて窮屈さが増し、自分自身の頭が天井に近づくようになります。
一般的には、身長が120cmを超えるあたりから、後部座席での快適性は急激に低下すると言われています。この時期になると、ジュニアシートを使用しても姿勢が安定しづらくなり、子供自身が「狭い」と感じて乗りたがらなくなることも珍しくありません。
そのため、CR-Zをファミリーカーとして運用するのは、子供がまだ小さい時期に限られた期間限定の楽しみと考えるのが賢明です。子供の成長に合わせて、将来的な乗り換えを視野に入れつつ、今しかないスポーティーな育児ドライブを楽しむのが良いでしょう。
ワンモーションで広がるラゲッジスペースの活用

後部座席を「座席」としてではなく「収納」として捉えた時、CR-Zは驚くほどの多目的性を見せてくれます。特にシートアレンジの簡便さは、他のスポーツカーにはない大きな魅力です。
背もたれを倒した時のフラットな収納空間
CR-Zの後部座席は、背もたれ中央にあるレバーを引くだけで、簡単に前方に倒すことができます。この「ワンモーション」で、ラゲッジスペースと後部座席が一体化した、広大なフラットフロアが現れます。
背もたれを倒した状態の奥行きは約1,280mmに達し、コンパクトなボディサイズからは想像できないほどの積載面積を確保できます。フロアがほぼ平坦になるため、大きな段ボール箱や平らな荷物も安定して積み込むことが可能です。
ハイブリッド車でありながら、重い走行用バッテリーを荷室下に巧みに配置しているため、床面が高くなりすぎず、積み降ろしの作業性も良好です。普段は2人乗りと割り切り、このフラットな空間をデフォルトの荷室として活用しているオーナーも多く存在します。
ゴルフバッグ2個もOK?意外な積載能力
「スポーツカーだから荷物は載らない」という先入観を覆すのが、CR-Zの具体的な積載能力です。後部座席を倒せば、フルサイズのゴルフバッグを2個並べて積むことができる設計になっています。
斜めに置くなどの工夫は必要ですが、趣味の道具を積み込んで週末のドライブに出かけるには十分なスペックです。また、キャンプ道具をコンパクトにまとめれば、ソロキャンプや2人でのキャンプにも対応できるポテンシャルを秘めています。
さらに、アンダーボックス(床下収納)も備わっており、普段使わない工具や洗車用品などを隠して収納できるのも嬉しいポイントです。見た目のスマートさを損なうことなく、必要なものをしっかりと持ち運ぶことができます。
ロードバイクなどの自転車を積む場合は、前輪を外すことで1台程度なら収納可能です。縦の高さがないため、ハンドル位置やサドルの高さに注意してパズル感覚で積み込む楽しみもあります。
汚れを防ぐラゲッジマットやトノカバーの活用
後部座席を倒して日常的に荷物を載せるのであれば、内装を守るためのアクセサリー活用が欠かせません。標準の状態ではカーペット地となっているため、泥汚れや水濡れが心配な荷物を載せると掃除が大変になります。
専用設計のラバー製ラゲッジマットを敷けば、汚れたアウトドアギアや濡れた傘なども気兼ねなく積み込めます。また、CR-Zはリアガラスが大きく寝ているため、外から荷室が丸見えになりやすいという特徴があります。
プライバシー保護や防犯の観点からは、ディーラーオプションの「トノカバー」の装着を強くおすすめします。これにより、大切な荷物を直射日光や外部の視線から守りつつ、スマートな車内空間を維持することが可能になります。
ラゲッジ活用のチェックポイント
・シートを倒す際は、前席に干渉しないか位置を確認する
・重い荷物は、急ブレーキ時に前方へ飛び出さないよう固定する
・リアハッチを閉める際、荷物がガラスに当たらないか高さをチェックする
CR-Zで快適な車中泊を楽しむためのアイデア

最近では、愛車で旅をしながら眠る車中泊がブームですが、タイトなCR-Zでも工夫次第で「快適な寝床」を作り出すことができます。そのための具体的なテクニックを見ていきましょう。
身長170cmでも足を伸ばして眠れるレイアウト
CR-Zで車中泊をする際の基本は、後部座席を倒してフルフラットにしたラゲッジスペースを利用することです。しかし、そのまま真っ直ぐ寝ようとすると、身長160cmを超える人には少し長さが足りません。
ここで鍵となるのが、助手席を一番前までスライドさせ、背もたれを前に倒すことです。助手席の後ろにできた隙間を荷物やクッションで埋めることで、最大170cm〜180cm程度の縦方向のスペースを作り出すことができます。
さらに、対角線上に斜めに横たわることで、足を完全に伸ばして眠ることが可能になります。クーペ特有の包まれ感があり、自分だけの秘密基地のような安心感の中で夜を過ごせるのは、CR-Zオーナーならではの特権です。
段差を解消する厚手マットレスの選び方
フルフラットになるとはいえ、後部座席の背もたれの裏側やラゲッジとの継ぎ目には、わずかな段差や傾斜が存在します。これらを解消せずにそのまま寝ると、翌朝に体が痛くなってしまう原因になります。
おすすめは、厚さ8cm〜10cm程度の高反発マットレスを使用することです。キャンプ用のインフレーターマットや、市販の3つ折りマットレスをCR-Zの形状に合わせてカットして使うオーナーもいます。
特に座面のくぼみや隙間をタオルなどで平らに整えてからマットレスを敷くと、家庭用ベッドに近い寝心地を実現できます。スポーツカーであっても、寝具にこだわることで、長距離ドライブの疲れをしっかりと癒やす環境を整えられます。
プライバシーを守るサンシェードと結露対策
CR-Zは窓面積が広く、特にリアガラスが頭上近くまで迫っているため、外からの視線や街灯の光を遮ることが安眠に直結します。車種専用のサンシェードを用意するか、吸盤式の汎用品を加工して全窓を覆うようにしましょう。
また、冬場や雨の日の車中泊で問題になるのが窓の「結露」です。狭い車内に人が留まると湿度が一気に上がるため、サイドバイザーを装着していれば窓を数ミリ開けて換気を確保するなどの対策が有効です。
除湿剤を車内に置いたり、吸水性の良いマイクロファイバークロスを常備したりしておくと、朝の片付けがスムーズになります。快適な温度管理のために、ポータブル電源と小型ファンや電気毛布を組み合わせるのも、車中泊の質を高める賢い選択です。
| アイテム | 必要性 | 選び方のコツ |
|---|---|---|
| 厚手マットレス | ★★★★★ | 8cm以上の厚みがあると段差が気にならない |
| サンシェード | ★★★★★ | 全窓セットの専用品が遮光性・断熱性が高い |
| 隙間埋めクッション | ★★★★☆ | 助手席裏の空間を埋めるために必須 |
| LEDランタン | ★★★☆☆ | 車内灯だとバッテリー上がりの不安があるため |
2名乗車への構造変更やカスタムのすすめ

CR-Zを所有し続け、後部座席を全く使わないと確信しているのであれば、あえて「後席を撤去する」という大胆な選択肢も検討に値します。これはスポーツカーとしてのポテンシャルをさらに引き出す方法です。
リアシート撤去で軽量化と積載性を究める
CR-Zの後部座席自体、それほど重いパーツではありませんが、シートレールやベルト類、座面全てを合わせれば10kg〜20kg程度の軽量化につながります。ハイブリッド車にとって軽量化は、加速性能や燃費の向上にダイレクトに貢献します。
また、シートを物理的に取り除くことで、これまでシートの下に隠れていたスペースまで有効活用できるようになります。スペアタイヤ周りやアンダーフロアのアクセスが向上し、メンテナンス性や収納力が飛躍的に高まります。
何より、後席がない広大なリアスペースは、まさに「レーシングカーの内装」のようなストイックな雰囲気を醸し出します。リアタワーバーを装着して剛性を高めつつ、剥き出しになったフロアを美しく整えることで、唯一無二のカスタムスタイルが完成します。
公認車検(構造変更)の手続きとメリット
後部座席を取り外したまま公道を走行し、車検に通すためには「構造等変更検査」を受けて、乗車定員を「4名」から「2名」に書き換える必要があります。これを通称「構造変更(構造変更)」と呼び、車検証上の定員を正式に変更する手続きです。
手続き自体は、管轄の運輸支局に車両を持ち込み、検査を受けることで完了します。2名乗車への変更であれば、それほど複雑な計算や書類は必要ありません。最大のメリットは、合法的に軽量化された状態で安心してドライブを楽しめる点です。
なお、自動車税の区分が変わることはありませんが、任意保険の内容(搭乗者傷害など)は変更が必要になる場合があります。あらかじめ保険会社に相談し、2名乗車に変更した後の契約内容を確認しておくことが重要です。
内装カスタムで自分好みの空間に仕上げる
後部座席を維持する場合でも、内装カスタムによって使い勝手を向上させることができます。例えば、純正の地味なシート生地に、質感の高いシートカバーを被せるだけで、車内の雰囲気はガラリと変わります。
CR-Zはインテリアデザインも個性的ですが、経年劣化でシートが擦れてくることもあります。防水素材のカバーを選べば、ペットを載せたり、濡れた荷物を置いたりする際の安心感が増し、長く綺麗な状態を保つことができます。
さらに、後席周辺にLEDの間接照明を追加したり、USB充電ポートを増設したりすることで、車中泊や荷物整理の際の利便性が格段にアップします。スポーツカーとしてのストイックさを保ちつつ、自分のライフスタイルに寄り添った「居心地の良い空間」を作り上げることが、CR-Zを長く愛する秘訣です。
CR-Zの後部座席を賢く使ってスポーツカーライフを楽しもう
ホンダ・CR-Zの後部座席は、カタログ上の「4人乗り」という数字以上に、多彩な可能性を秘めたスペースです。確かに大人が長時間座るには厳しい広さですが、そのタイトさを理解した上で、独自の活用方法を見つけることがこの車の醍醐味と言えます。
日常の買い物では便利な荷物置きとして、休日はシートを倒してゴルフやキャンプを楽しむための広大なラゲッジとして。そして時には、工夫を凝らして車中泊の旅に出るためのプライベート空間として、CR-Zはオーナーの期待に応えてくれます。チャイルドシートの設置についても、一定の制限はありますが、工夫次第で大切な家族との時間を共有することが可能です。
「狭いから使えない」と諦めるのではなく、この独特なパッケージングをどう使いこなすかを考えること自体が、CR-Zという個性的なスポーツカーと付き合う楽しさそのものです。ぜひ今回の情報を参考に、あなたのCR-Zの後部座席を最高の「相棒スペース」へと進化させてみてください。




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