「ゴルフ7で車中泊ってできるのかな?」「コンパクトなイメージだけど、快適に眠れるの?」そんな疑問をお持ちではありませんか。フォルクスワーゲンの世界戦略車として人気のゴルフ7は、そのスタイリッシュなデザインと優れた走行性能で知られていますが、実は工夫次第で快適な車中泊空間を作り出すことが可能です。
この記事では、ゴルフ7(ハッチバック・ヴァリアント)で車中泊を検討している方に向けて、荷室の広さやシートアレンジの方法、あると便利な必須アイテム、さらに安全に楽しむための注意点まで、わかりやすく解説していきます。愛車で手軽に旅を楽しみたい方、災害時への備えとして考えている方も、ぜひ参考にしてみてください。
ゴルフ7での車中泊は可能?広さと特徴をチェック

フォルクスワーゲン・ゴルフ7は、コンパクトカーの代表格として世界中で愛されているモデルです。一見すると車中泊には向いていないように思えるかもしれませんが、実はその設計思想には、見た目以上の空間効率が隠されています。ここでは、ゴルフ7で車中泊が可能かどうかを判断するために、基本となる荷室の広さやシートアレンジの特徴、そしてステーションワゴンモデルである「ヴァリアント」との違いについて詳しく見ていきましょう。
ゴルフ7の荷室(ラゲッジスペース)の寸法と広さ
ゴルフ7のハッチバックモデルは、コンパクトなボディサイズながら、効率的に設計されたラゲッジスペースを持っています。
通常時の荷室容量は380リットルと、このクラスのハッチバックとしては標準的な広さを確保しています。 後部座席の背もたれを倒すことで、荷室容量を最大1,270リットルまで拡大することが可能です。
車中泊で重要になるのは、体を横にできる「奥行き」です。後部座席を倒した状態での荷室の奥行きは、フロントシートの位置にもよりますが、約150cm〜160cm程度となります。身長が高い方だと完全に足を伸ばすのは難しいかもしれませんが、少し斜めに寝たり、クッションなどをうまく活用したりすることで、十分に就寝スペースを確保できます。また、荷室の幅も約100cm程度あるため、大人1人であれば比較的ゆったりと過ごせるでしょう。荷室の床はフラットに近く、使い勝手が良いのも特徴です。
シートアレンジで実現する就寝スペース
ゴルフ7で車中泊をする際の基本は、リアシート(後部座席)を倒してラゲッジスペースと繋げ、一つの広い空間を作り出すことです。ゴルフ7のリアシートは、6:4の分割可倒式になっているため、乗車人数や荷物の量に応じて柔軟にシートアレンジを変えることができます。
リアシートの肩口にあるレバーを引くだけで、簡単に背もたれを前に倒すことができます。ただし、完全に真っ平らなフルフラットにはならず、荷室との境目や倒したシートの背もたれ部分に若干の段差や傾斜が生じます。この段差が、快適な睡眠を妨げる一番の要因となります。この段差をいかに解消するかが、ゴルフ7での車中泊を成功させるための重要なポイントです。具体的な段差解消の方法については、後の章で詳しく解説しますので、そちらを参考にしてください。工夫次第で、これらの課題は十分に克服可能です。
ヴァリアントならさらに快適?ハッチバックとの違い
もし、あなたがゴルフ7でより快適な車中泊を求めるのであれば、「ゴルフ7 ヴァリアント」という選択肢は非常に魅力的です。ヴァリアントは、ゴルフ7のステーションワゴンモデルで、ハッチバックに比べて全長が長く、その分ラゲッジスペースが大幅に拡大されています。
通常時の荷室容量だけでも605リットルと、ハッチバックの1.5倍以上の容量を誇ります。 リアシートを倒せば、その容量は最大1,620リットルにまで広がり、広大な空間が出現します。 就寝スペースで最も重要となる奥行きは、ハッチバックよりも長く確保できるため、身長が高い方でも足を伸ばしてゆったりと眠ることが可能です。荷室の基本的な構造や段差の発生についてはハッチバックと共通する部分もありますが、絶対的な空間の広さはヴァリアントに軍配が上がります。頻繁に車中泊を楽しみたい方や、2人での利用を考えている方、荷物が多くなりがちな方にとっては、ヴァリアントの方がより快適な選択となるでしょう。
| モデル | 通常時荷室容量 | 最大荷室容量 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ゴルフ7 ハッチバック | 380リットル | 1,270リットル | コンパクトで機動性が高い。1人での車中泊向け。 |
| ゴルフ7 ヴァリアント | 605リットル | 1,620リットル | 広大な荷室。2人や荷物が多い場合に最適。 |
ゴルフ7の車中泊を快適にする必須アイテム
ゴルフ7のスペースを最大限に活用し、快適な一夜を過ごすためには、いくつかの専用アイテムを揃えることが非常に重要です。特に、睡眠の質を左右するマットレスや、プライバシーを確保するためのシェードは必需品と言えるでしょう。ここでは、ゴルフ7での車中泊を格段に快適にするための必須アイテムを具体的にご紹介します。
快眠の基本!マットレスの選び方
車中泊で最も重要なのが、いかにして快適な寝床を作るか、という点です。前述の通り、ゴルフ7はシートを倒しても完全なフルフラットにはならず、どうしても段差が生じてしまいます。この段差を吸収し、硬いボディの上でも快適に眠るためには、適切なマットレスが欠かせません。
また、より手軽な選択肢としては、折りたたみ式のキャンプ用マットや厚手の銀マットも有効です。コストを抑えたい場合や、荷物を少なくしたい場合にはこちらを選ぶのも良いでしょう。重要なのは、実際に自分のゴルフ7の荷室サイズを測定し、スペースに合ったサイズのマットを選ぶことです。
プライバシーと断熱対策に!シェードやカーテン
車内で安心して眠るためには、外からの視線を遮り、プライバシーを確保することが不可欠です。そこでおすすめなのが、車種専用に設計されたサンシェードです。ゴルフ7専用のものであれば、フロント、サイド、リアの各ウィンドウに隙間なくピッタリとフィットします。これにより、外からの視線を完全にシャットアウトできるだけでなく、光も遮断できるため、朝までぐっすり眠ることができます。
さらに、シェードには断熱効果という重要な役割もあります。夏は強い日差しを遮って車内温度の上昇を抑え、冬は冷気が車内に入るのを防ぎ、中の暖かさを保ってくれます。これにより、エアコンの使用を最小限に抑え、ガソリンの節約にも繋がります。専用品は少し高価ですが、その価値は十分にあります。カーテンを取り付けるという方法もありますが、設置の手間や隙間ができやすいことを考えると、手軽で効果の高いシェードがおすすめです。
季節に合わせた寝具(シュラフ・ブランケット)
快適な睡眠のためには、マットレスだけでなく、季節に応じた寝具も必要です。車内は外気温の影響を受けやすいため、夏と冬では適切な寝具が異なります。
- 春・秋:比較的過ごしやすい季節ですが、朝晩は冷え込むこともあります。3シーズン(春・夏・秋)対応のシュラフ(寝袋)が一つあると便利です。封筒型のシュラフなら、暑いときは広げて掛け布団のように使うこともできます。
- 夏:熱帯夜などでは、寝袋は暑すぎることがあります。タオルケットや薄手のブランケットで十分な場合が多いでしょう。ただし、標高の高い場所へ行く場合は、夏でも冷え込むことがあるため、薄手のシュラフがあると安心です。
- 冬:冬の車中泊では、寒さ対策が最も重要です。低温に対応した冬用のマミー型シュラフがおすすめです。体にフィットする形状で、保温性が非常に高いのが特徴です。シュラフだけでは寒い場合に備え、毛布や電気毛布(ポータブル電源が必要)などを追加で用意すると、さらに快適に過ごせます。
あると便利な小物類(ランタン、ポータブル電源など)
必須アイテムに加えて、あると車中泊の快適性が格段にアップする小物類もたくさんあります。
- LEDランタン:夜間の車内を照らすために必須です。車のルームランプでも代用できますが、バッテリー上がりの原因になる可能性があるため、独立した光源があると安心です。火を使わないLEDタイプが安全でおすすめです。
- ポータブル電源:スマートフォンやPCの充電、電気毛布の使用、小型の電気ケトルでお湯を沸かすなど、車内で電化製品を使いたい場合に大活躍します。容量によって価格は様々ですが、一つあると車中泊の幅が大きく広がります。
- テーブル:車内で食事をしたり、ちょっとした作業をしたりする際に、小型の折りたたみテーブルがあると非常に便利です。
- 換気用ファン:特に夏場、エンジンを停止した状態で車内の空気を循環させるために役立ちます。USBで動く小型の扇風機や、車の窓に取り付けられるソーラー換気扇などがあります。
実践!ゴルフ7でフルフラット空間を作る方法

ゴルフ7で快適な車中泊を実現するための最大の課題は、シートを倒した際に生じる段差と傾斜です。しかし、少しの工夫とアイテムで、この課題を克服し、驚くほど快適なフルフラット空間を作り出すことが可能です。ここでは、具体的な手順とテクニックを詳しく解説していきます。
リアシートを倒す簡単な手順
まずは基本となるリアシートの倒し方です。この操作は非常に簡単で、誰でも数分で行うことができます。
- フロントシートを前にスライドさせる:まず、運転席と助手席のシートをできるだけ前方にスライドさせます。これにより、リアシートを倒すためのスペースを確保し、完成後の就寝スペースを最大限に広くすることができます。
- リアシートのヘッドレストを外す(または下げる):リアシートのヘッドレストが上がったままだと、シートを倒す際にフロントシートの背もたれに干渉することがあります。ヘッドレストは一番下まで下げるか、可能であれば取り外しておくとスムーズです。
- リアシート肩口のレバーを引く:リアシートの左右それぞれの肩口に、背もたれを倒すためのレバーがあります。このレバーを引きながら、背もたれを前方に倒します。
- シートベルトの確認:背もたれを倒す際に、シートベルトが挟まらないように注意しましょう。
これで、ラゲッジスペースとリアシートスペースが一体となった広い空間が完成します。この状態が、快適化カスタマイズのスタート地点となります。
気になる段差を解消するテクニック
リアシートを倒すと、ラゲッジスペースとの間に数センチの段差と、倒したシート自体の傾斜が生まれます。このままでは寝心地が悪く、体を痛めてしまう可能性もあります。この段差を解消するための具体的なテクニックをいくつかご紹介します。
最も手軽で効果的な方法は、段差部分にタオルやブランケット、衣類などを詰めることです。自宅から持ってきたバスタオルや、着替えを入れた収納袋などをくぼみに合わせて配置するだけで、かなり段差が気にならなくなります。
もう少し本格的に対策したい場合は、DIYで段差解消マットを作成するのも良いでしょう。ホームセンターなどで手に入るウレタンマットや合板を、段差の形状に合わせてカットしてはめ込むことで、よりフラットな床面を作り出すことができます。また、市販されている車中泊用の段差解消クッションを利用するのも一つの手です。これらのアイテムで床面を平らにした上で、前述のインフレーターマットなどを敷けば、寝心地は飛躍的に向上します。
自作ベッドキットで快適度をアップさせるアイデア
より本格的で快適な就寝スペースを求めるなら、自作のベッドキット製作に挑戦するのも面白いでしょう。少し手間はかかりますが、自分のゴルフ7にぴったり合った、理想の空間を作り上げることができます。
基本的な構造は、ラゲッジスペースにゲタ(脚)となる木材を置き、その上にコンパネなどの板を渡して、ラゲッジスペースから倒したリアシートの上までを覆うフラットな台座を作る、というものです。この方法のメリットは、完全にフラットな寝床が手に入るだけでなく、ベッドの下に大きな収納スペースが生まれることです。荷物をベッド下に整理して収納できるため、就寝スペースを広々と使うことができます。
設計のポイントは、
- 分割式にすること:一枚の大きな板だと車内への出し入れが大変なため、2分割や3分割にすると扱いやすくなります。
- 強度を確保すること:人が乗っても壊れないよう、適切な厚みの板と脚の数で支えることが重要です。
- 脚の固定:走行中にずれないように、脚の部分には滑り止めを貼るなどの工夫をすると安全です。
インターネットで「ゴルフ7 車中泊 ベッド自作」などと検索すると、多くの先輩オーナーたちが製作したベッドキットのアイデアや図面を見つけることができるので、参考にしてみるのも良いでしょう。
ゴルフ7で車中泊する際の注意点
手軽に非日常を味わえる車中泊ですが、安全で快適に楽しむためには、いくつかの注意点を守る必要があります。場所の選び方から体調管理まで、事前に知っておくべきポイントをまとめました。ルールやマナーを守って、楽しい思い出を作りましょう。
安全な場所選びのポイント
車中泊をする上で最も重要なのが、どこで夜を明かすかという場所選びです。どこでも自由に泊まって良いわけではありません。安心して眠るために、以下のポイントを参考に場所を選びましょう。
- RVパーク・オートキャンプ場:有料ですが、トイレや水道、場所によっては電源も完備されており、最も安全で快適に過ごせる選択肢です。車中泊を公認しているため、周りに気兼ねなく過ごせます。
- 湯YOUパーク(温泉施設の駐車場):日本RV協会が認定しているシステムで、温泉施設の駐車場で車中泊ができます。温泉に入ってからすぐに休めるのが大きな魅力です。
- 高速道路のSA/PA:24時間利用可能なトイレや売店があり、照明も明るく比較的安全な場所です。ただし、ここはあくまで休憩施設であり、長期間の滞在やキャンプのような行為(車外にテーブルや椅子を出すなど)はマナー違反となるため、仮眠程度にとどめましょう。
- 「道の駅」での車中泊:道の駅での車中泊は、公式に認められていない場合が多く、グレーゾーンとなっています。基本的にはSA/PAと同様に「休憩」のための施設であり、宿泊目的での利用は推奨されていません。利用する場合は、施設のルールを確認し、アイドリングストップやゴミの持ち帰りなど、マナーを徹底しましょう。
エンジン停止が基本!アイドリングのマナーと注意
夏や冬はエアコンを使いたくなりますが、車中泊の際はエンジンを停止するのが基本マナーです。アイドリングの騒音や排気ガスは、周囲の迷惑になるだけでなく、環境にもよくありません。特に、住宅地に近い場所や他の車中泊者がいる場所では徹底しましょう。
また、安全上の観点からもアイドリングには注意が必要です。降雪時にマフラーが雪で塞がれてしまうと、排気ガスが車内に逆流し、一酸化炭素中毒を引き起こす危険性があります。エンジンをかけて仮眠する場合でも、定期的な換気とマフラー周りの確認を怠らないでください。寒さや暑さの対策は、前述したシェードや寝袋、ポータブル電源を活用した暖房器具など、エンジンに頼らない方法を工夫することが大切です。
夏と冬の温度対策と換気の重要性
エンジンを停止するということは、自力で温度管理をしなければならないということです。季節ごとの対策と、共通して重要な換気について解説します。
- 夏の暑さ対策:夏の車内は、日中の熱がこもりサウナ状態になります。日没後もなかなか温度が下がりません。対策としては、日中は日陰に駐車する、サンシェードで直射日光を遮る、窓に網戸を取り付けて虫の侵入を防ぎつつ風を通す、USB扇風機やポータブルクーラーで空気を循環させる、などがあります。冷却シートやハッカ油スプレーなども体感温度を下げるのに役立ちます。
- 冬の寒さ対策:冬は底冷えとの戦いです。断熱効果の高いシェードで窓からの冷気を遮断し、冬用のシュラフや毛布で体を保温します。地面からの冷えは体に直接伝わるため、マットレスの下に銀マットなどを一枚追加するだけでも効果があります。ポータブル電源があれば、電気毛布が使えるため非常に快適です。
そして、季節を問わず最も重要なのが換気です。締め切った車内で人が呼吸をすると、二酸化炭素濃度が上昇し、酸欠状態になる危険があります。また、呼気に含まれる水分で窓が結露し、視界の妨げやカビの原因にもなります。就寝中も、対角線上の窓を少し(数センチ)開けて、空気の通り道を作っておくことが非常に重要です。防犯のために、窓に挟むタイプのメッシュパネルなどを活用すると良いでしょう。
エコノミークラス症候群の予防
車中泊で注意したい健康問題の一つに、「エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)」があります。これは、長時間同じ姿勢でいることで足の血流が悪くなり、血の塊(血栓)ができて、その血栓が肺の血管に詰まってしまう病気です。
ゴルフ7のスペースは限られているため、足を完全に伸ばせない体勢で眠ることもあります。これを予防するためには、以下のことを心がけましょう。
- 定期的に体を動かす:就寝前や起床後に軽いストレッチをする、足首を回したり、ふくらはぎを揉んだりする。
- 水分をこまめに摂る:水分が不足すると血液がドロドロになり、血栓ができやすくなります。アルコールやカフェインの多い飲み物は利尿作用があるため、水やお茶を意識して飲みましょう。
- ゆったりとした服装で寝る:体を締め付けるような服装は血行を妨げます。スウェットやジャージなど、リラックスできる服装に着替えましょう。
- 足を少し高くして寝る:クッションや荷物などを足元に置き、少し足を高くして寝ると、血流の改善に繋がります。
これらの点に注意して、安全で健康的な車中泊を楽しんでください。
まとめ:ゴルフ7で快適な車中泊を楽しもう

フォルクスワーゲン・ゴルフ7は、コンパクトな見た目からは想像できないほどのポテンシャルを秘めており、工夫次第で十分に快適な車中泊が可能です。リアシートを倒して生まれる空間は、大人1人が過ごすには十分な広さを持っています。特にステーションワゴンモデルのヴァリアントを選べば、さらに広々とした空間でゆったりと過ごすことができるでしょう。
車中泊を成功させるためのポイントは、マットレスやクッションでシートの段差をしっかりと解消し、フラットな寝床を作ることです。また、プライバシー確保と断熱に役立つサンシェードや、季節に合わせたシュラフなどのアイテムを揃えることで、快適性は格段に向上します。
安全面では、RVパークやオートキャンプ場など、公認された場所を選ぶことが基本です。そして、周囲への配慮としてアイドリングストップを徹底し、一酸化炭素中毒やエコノミークラス症候群を防ぐための換気や体調管理も忘れてはいけません。
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