個性的なデザインと高い悪路走破性で、生産終了後も根強い人気を誇るトヨタ FJクルーザー。その魅力的なスタイルに惹かれつつも、4.0Lという大排気量エンジンゆえの維持費に頭を悩ませる方も少なくないでしょう。
そんな中、維持費を抑えるための一つの選択肢として注目されているのが「1ナンバー登録」です。 1ナンバーとは貨物車登録のことで、通常の乗用車登録(3ナンバー)とは税金や車検の仕組みが異なります。この記事では、FJクルーザーの1ナンバー登録について、そのメリット・デメリットから、具体的な構造変更の方法、費用に至るまで、分かりやすく解説していきます。あなたのFJクルーザーとのカーライフを、より賢く、より長く楽しむための情報が満載です。
FJクルーザーの1ナンバー登録とは?基本を解説

FJクルーザーの維持費について調べていると、しばしば目にする「1ナンバー」という言葉。これは一体どういう意味で、なぜ維持費の節約に繋がるのでしょうか。ここでは、1ナンバー登録の基本的な知識と、FJクルーザーを1ナンバー化する目的について解説します。
1ナンバーと3ナンバーの根本的な違い
この「乗用」と「貨物」という用途の違いが、これから解説する税金や車検制度の違いに直結してくるのです。
| 項目 | 1ナンバー(普通貨物車) | 3ナンバー(普通乗用車) |
|---|---|---|
| 用途 | 荷物を運ぶことが主目的 | 人を乗せることが主目的 |
| 自動車税 | 最大積載量に応じて課税 | 総排気量に応じて課税 |
| 車検 | 初回2年、以降毎年 | 初回3年、以降2年ごと |
| 高速道路料金 | 中型車料金 | 普通車料金 |
このように、単純にナンバーの数字が違うだけでなく、車両に課せられる法律上の扱いそのものが大きく異なる点をまずは理解しておきましょう。
なぜFJクルーザーを1ナンバーで登録するのか?
FJクルーザーをあえて貨物車である1ナンバーで登録する最大の目的は、年間の維持費、特に税金を大幅に抑えることにあります。
FJクルーザーに搭載されているエンジンは排気量3,955ccです。 3ナンバー(普通乗用車)の場合、自動車税は総排気量によって決まるため、3.5L超~4.0L以下の区分に該当し、年間の自動車税は66,500円(2019年9月30日以前の登録車)となります。
一方で、1ナンバー(普通貨物車)の自動車税は、最大積載量によって税額が定められています。FJクルーザーを5人乗りのまま1ナンバー登録した場合、年間の自動車税は16,000円となります。
その差はなんと年間50,500円。この税金の差額が、多くのFJクルーザーオーナーが1ナンバー登録に魅力を感じる大きな理由なのです。もちろん、後述するようにデメリットもありますが、この税金のインパクトは非常に大きいと言えるでしょう。
1ナンバー登録するための基本条件
乗用車として設計されたFJクルーザーを、貨物車である1ナンバーとして登録するためには、国が定める貨物車の基準を満たすように車両を改造し、「構造変更検査」という車検を受け直す必要があります。
貨物車として認められるための主な条件は以下の通りです。
- 荷室の床面積が1㎡以上あること。
- 乗車スペースの床面積よりも、荷室の床面積が広いこと。
- 乗車定員の重量(1人あたり55kgで計算)よりも、積載できる荷物の重量(最大積載量)が上回ること。
- 荷物の積み下ろし口の寸法が、縦横それぞれ80cm以上確保されていること。
- 乗員を保護するため、乗車スペースと荷室の間に仕切り(保護棒など)があること。
これらの条件を満たすため、後部座席のリクライニング機能を固定したり、シートの取り付け位置を調整したりといった改造が必要になります。詳しい改造内容については、後の章で詳しく解説します。
FJクルーザーを1ナンバーにするメリット

FJクルーザーを1ナンバー化する最大の動機は、維持費の節約にあります。特に税金面での恩恵は大きく、長期的に見ればかなりの金額を節約できる可能性があります。ここでは、1ナンバー登録によって得られる具体的な金銭的メリットを詳しく見ていきましょう。
自動車税が大幅に安くなる
前述の通り、1ナンバー化の最も大きなメリットは自動車税の劇的な軽減です。
3ナンバーのFJクルーザー(排気量3,955cc)にかかる自動車税は、年間66,500円です。
これに対して、1ナンバー(5人乗り)の場合は最大積載量に応じた課税となり、年間の自動車税は16,000円にまで下がります。
- 3ナンバー(乗用): 66,500円/年
- 1ナンバー(貨物): 16,000円/年
この差額は年間50,500円にもなり、FJクルーザーを所有し続ける限り、毎年この恩恵を受けられることになります。 車の維持費の中でも固定費として大きな割合を占める自動車税をこれだけ削減できるのは、非常に大きな魅力と言えるでしょう。
自動車重量税も節約できる可能性がある
自動車重量税は、車検の際に車両重量に応じて納める税金です。3ナンバーの場合は2年分をまとめて支払いますが、1ナンバーは毎年の車検ごとに1年分を支払います。
FJクルーザーの車両重量は約1,940kgなので、3ナンバーの場合は「2t以下」の区分に該当し、2年分で32,800円(エコカー減税対象外・13年未満の場合)の重量税がかかります。 つまり、1年あたりに換算すると16,400円です。
一方、1ナンバーの場合の重量税は、車両「総」重量によって決まります。FJクルーザーの車両総重量は約2,215kgなので「2.5t以下」の区分となり、1年あたりの重量税は9,900円(13年未満の場合)となります。
- 3ナンバー(乗用): 16,400円/年 相当
- 1ナンバー(貨物): 9,900円/年
こちらも年間で6,500円ほど安くなる計算です。自動車税ほどの大きな差ではありませんが、着実に維持費を抑える効果があることがわかります。
維持費全体でどれくらいお得になるのか?
税金面でのメリットが大きい1ナンバー登録ですが、デメリットも考慮した上でトータルの維持費を比較することが重要です。ここでは、車検費用や自賠責保険料も含めた2年間の維持費をシミュレーションしてみましょう。
【2年間の維持費比較(概算)】
| 項目 | 3ナンバー(乗用) | 1ナンバー(貨物) | 差額(1ナンバーの方が) |
|---|---|---|---|
| 自動車税 | 133,000円 (66,500円×2年) | 32,000円 (16,000円×2年) | -101,000円 |
| 自動車重量税 | 32,800円 (2年分) | 19,800円 (9,900円×2年) | -13,000円 |
| 自賠責保険料 | 約20,010円 (24ヶ月) | 約47,940円 (23,970円×2回) | +27,930円 |
| 車検基本料・印紙代 | 約60,000円 (1回) | 約100,000円 (約50,000円×2回) | +40,000円 |
| 合計 | 約245,810円 | 約199,740円 | 約-46,070円 |
※車検基本料は業者や整備内容により大きく変動するため、あくまで目安です。
※任意保険料、ガソリン代、高速道路料金は含んでいません。
上の表を見ると、自賠責保険料や車検の回数が増えることによる費用増があるものの、それを補って余りあるほど税金の削減効果が高いことがわかります。 このシミュレーションでは、2年間で約46,000円、1ナンバーの方が安くなる計算です。ただし、これはあくまで一例であり、次の章で解説する高速道路料金などのデメリット要因によって、この差は縮まる、あるいは逆転する可能性もあります。
知っておくべき1ナンバー登録のデメリットと注意点

税金面で大きなメリットがあるFJクルーザーの1ナンバー化ですが、もちろん良いことばかりではありません。貨物車として登録されることによる制約や、費用面でのデメリットも存在します。メリットだけに目を奪われず、デメリットもしっかりと理解した上で、ご自身のカーライフに合っているかを判断することが大切です。
車検が毎年になる手間とコスト
1ナンバー登録の最大のデメリットとも言えるのが、車検の有効期間です。3ナンバーの乗用車は初回3年、以降は2年ごとに車検を受ければ良いのに対し、1ナンバーの貨物車は初回こそ2年ですが、それ以降は毎年車検を受ける義務があります。
これは、荷物を積んで長時間・長距離を走ることが想定される貨物車の安全性を、より短いスパンで確認するための制度です。毎年車検を受けるということは、その都度、時間と手間がかかることを意味します。また、車検時には法定費用(重量税、自賠責保険料、印紙代)のほかに、点検・整備費用や代行手数料といった「車検基本料」がかかります。 1回あたりの費用は2年車検より安くても、毎年となるとトータルの出費がかさんでしまう可能性も考慮しなければなりません。 税金が安くなるメリットと、毎年の車検の手間・コストを天秤にかける必要があるでしょう。
高速道路料金が中型車扱いになる
ドライブや旅行で高速道路を頻繁に利用する方にとって、見過ごせないのが料金区分の変更です。3ナンバーのFJクルーザーは「普通車」区分ですが、1ナンバーになると「中型車」区分になります。
中型車の高速料金は、普通車のおおむね1.2倍に設定されています。 例えば、普通車料金が5,000円の区間を走行した場合、中型車料金では約6,000円かかる計算になります。1回の走行では数百円の差でも、利用頻度が高ければ年間の差額はかなりの金額に膨らみます。通勤やレジャーで高速道路を多用するライフスタイルの方の場合、せっかく自動車税を節約しても、高速道路料金で相殺されてしまい、結果的に損をしてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
任意保険料の変動と注意点
任意保険についても変更点があり、注意が必要です。1ナンバーの貨物車は、乗用車に比べて事故率が高いと見なされる傾向があり、保険料が割高になることがあります。
特に、これまで適用されていた「運転者年齢条件」や「ゴールド免許割引」などの割引が適用されなくなったり、等級の引き継ぎができなかったりする保険会社も存在します。 また、そもそも1ナンバーの自家用貨物車の任意保険を取り扱っていない保険会社もあります。
3ナンバーから1ナンバーへ構造変更する際は、必ず事前に現在加入している保険代理店や保険会社に連絡し、契約内容の変更が可能か、保険料がどの程度変動するのかを確認することが不可欠です。 FJクルーザーは比較的新しい車種のため車両保険を付帯したい方も多いと思いますが、車両保険料も高くなる傾向があるため、念入りな確認をおすすめします。
乗車定員が変更になる
1ナンバー化の条件を満たすために、後部座席の改造が必要になる場合があります。その結果として、乗車定員が変更される可能性があることもデメリットの一つです。
多くの場合、5人乗りのまま構造変更が可能ですが、荷室スペースの確保などの条件をクリアするために、後部座席を取り外して乗車定員を2名や4名に変更するケースもあります。 自動車税は乗車定員が少ない方がさらに安くなるメリットはありますが(例:2名乗車の場合は年間8,000円)、ファミリーでの利用や多人数での乗車を考えている方にとっては、大きな制約となります。 構造変更を依頼する業者と相談し、自分の使い方に合った乗車定員を確保できるかを確認しましょう。
FJクルーザーの1ナンバー構造変更!具体的な手順と費用

FJクルーザーを3ナンバーから1ナンバーへ変更するには、車両を貨物車の基準に適合させ、運輸支局(陸運局)で「構造等変更検査」を受ける必要があります。 ここでは、そのために必要な改造内容や、申請手続きの流れ、そして気になる費用について解説します。
構造変更に必要な改造(荷室の確保など)
FJクルーザーを1ナンバーの貨物車として登録するためには、前述の「1ナンバー登録するための基本条件」を満たすための改造が不可欠です。専門のカスタムショップや整備工場で行われる主な改造内容は以下の通りです。
- 後部座席のリクライニング機能の無効化:
貨物車の荷室は、乗車スペースと明確に区切られている必要があります。そのため、後部座席の背もたれが荷室側に倒れないよう、リクライニング機能を溶接などで固定する加工が行われます。 - 荷室スペースの確保:
「乗車スペースより荷室が広いこと」「荷室の床面積が1㎡以上あること」といった条件を満たすため、後部座席の取り付け位置をわずかに前方に移動させることがあります。 - 保護仕切り棒の設置:
急ブレーキ時などに荷物が乗員席へ飛び込んでこないよう、後部座席のすぐ後ろ(乗車スペースと荷室の間)に金属製のバー(保護仕切り棒)を設置します。 - 最大積載量のステッカー貼付:
構造変更によって定められた最大積載量を、車外からでも視認できるようにボディの後部にステッカーで表示する必要があります。
これらの改造は、国の定める保安基準に則って正確に行う必要があるため、実績のある専門業者に依頼するのが一般的です。
構造変更申請の流れと必要書類
構造変更の手続きは、管轄の運輸支局で行います。個人で行う「ユーザー車検」という方法もありますが、書類作成や検査ラインでの対応など専門的な知識が必要なため、改造を依頼した業者に代行してもらうのがスムーズです。
一般的な流れは以下のようになります。
- 専門業者への相談・依頼: 1ナンバー化の実績があるカスタムショップや整備工場に相談し、改造と申請代行を依頼します。
- 車両の改造: 業者が貨物車の基準に適合するよう、車両を改造します。
- 必要書類の準備: 車検証、自賠責保険証明書、納税証明書、使用者の委任状など、申請に必要な書類を揃えます。
- 運輸支局への車両持ち込み: 改造された車両を運輸支局へ持ち込みます。
- 書類審査と構造等変更検査: 窓口で書類を提出し、検査コースで車両の寸法、重量、改造箇所などが保安基準に適合しているかどうかの検査を受けます。
- 合格・新しい車検証の交付: 検査に合格すると、用途が「貨物」、型式に「改」と記載された新しい車検証が交付されます。
- ナンバープレートの変更: 新しいナンバー(1ナンバー)を受け取り、車両に取り付けて完了です。
専門業者に依頼する場合の費用相場
FJクルーザーの1ナンバー構造変更にかかる費用は、依頼する業者や改造の内容によって変動しますが、一般的には10万円~20万円程度が相場と言われています。
この費用には、以下のような内容が含まれます。
- 部品代: 保護仕切り棒などの必要なパーツ代。
- 改造工賃: シートの移設やリクライニング固定などの作業費用。
- 構造変更検査手数料: 運輸支局に支払う印紙代や手数料。
- 申請代行手数料: 書類作成や手続きを業者に代行してもらうための費用。
業者によって料金体系は異なるため、複数の業者から見積もりを取り、作業内容と費用を比較検討することをおすすめします。その際、過去のFJクルーザーの施工実績などを確認すると、より安心して任せることができるでしょう。
FJクルーザー1ナンバーに関するよくある質問

1ナンバー化を検討するにあたり、多くの方が抱くであろう疑問についてお答えします。維持費や手続き以外の、実際の使い勝手に関するポイントをまとめました。
乗り心地に変化はある?
構造変更による乗り心地の変化は、基本的にはほとんどありません。
1ナンバー化のための主な改造は後部座席周辺の加工であり、サスペンションやタイヤなど、車の走行性能に直接関わる部分を変更するわけではないからです。そのため、ドライバーや助手席に乗っている限り、乗り心地の変化を感じることはまずないでしょう。
ただし、後部座席に関しては、リクライニングが固定されるため、同乗者はこれまで通りの快適性を得られなくなる可能性があります。長距離移動が多い場合は、後部座席に乗る方の理解も必要になるかもしれません。
後部座席は使えるの?
はい、5人乗りのまま構造変更すれば、これまで通り後部座席を使用できます。
1ナンバーの条件を満たすために後部座席を前にスライドさせる加工をすることがありますが、大人が座るスペースがなくなるほど極端に狭くなるわけではありません。ただし、前述の通りリクライニングはできなくなります。
「とにかく税金を安くしたい」という目的で、後部座席を完全に取り払って2名乗車仕様に変更することも可能です。 この場合、自動車税は年間8,000円まで下がりますが、当然ながら2人しか乗れなくなります。 ご自身のライフスタイルに合わせて、乗車定員をどうするか慎重に検討しましょう。
中古車で1ナンバー登録済みの車両を選ぶのはアリ?
もちろん選択肢として「アリ」です。
中古車市場には、すでに1ナンバーとして登録・改造済みのFJクルーザーも流通しています。 こうした車両を選ぶメリットは、購入後に自分で構造変更の手間や費用をかける必要がない点です。購入後すぐに1ナンバーの恩恵を受けながら乗り始めることができます。
ただし、注意点もあります。どのような経緯で、どのような改造が施されているかを詳しく確認することが重要です。特に、後部座席の仕様や乗車定員が自分の使い方に合っているかは必ずチェックしましょう。また、改造箇所の仕上げが丁寧か、保安基準にしっかりと適合しているかなど、信頼できる販売店で現車をよく確認してから購入を決めることをお勧めします。修復歴の有無や整備記録と合わせて、1ナンバー化に関する情報もしっかりと確認しましょう。
まとめ:FJクルーザーの1ナンバー化で賢いカーライフを

この記事では、FJクルーザーを1ナンバー(貨物車)で登録することについて、多角的に解説してきました。
要点をまとめると以下のようになります。
- 最大のメリットは税金の安さ。特に自動車税は年間5万円以上も節約できる。
- デメリットは毎年の車検と中型車扱いの高速料金。
- 構造変更には専門的な改造と申請が必要で、費用は10万円~20万円が目安。
- 任意保険の条件変更や乗車定員など、事前に確認すべき注意点も多い。
FJクルーザーの1ナンバー登録は、自動車税という大きな固定費を削減できる非常に有効な手段です。 しかし、その一方で毎年の車検の手間や高速料金の割増といったデメリットも確実に存在します。
ご自身のカーライフを振り返り、「高速道路はあまり使わない」「毎年の車検も信頼できるお店に任せられる」という方にとっては、1ナンバー化は大きな金銭的メリットをもたらしてくれるでしょう。逆に、「毎日の通勤や週末のレジャーで高速道路を頻繁に利用する」という方にとっては、税金のメリットが薄れてしまう可能性もあります。
1ナンバー化という選択肢のメリットとデメリットを正しく理解し、ご自身の使い方や価値観と照らし合わせることで、FJクルーザーとのカーライフをより長く、経済的に楽しむための一助となれば幸いです。



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