マツダが誇るライトウェイトスポーツカー「ロードスター」。軽快な走りと美しいデザインで、世界中に多くのファンを持つ一台です。そんなロードスターのオーナーになった方や、これから購入を検討している方が気になる点の一つに、「燃料はハイオクとレギュラー、どちらを入れたらいいの?」という疑問があるのではないでしょうか。
この記事では、ロードスターの燃料について、歴代モデルごとの指定燃料から、ハイオクとレギュラーの基本的な違い、そして「もしレギュラーを入れたらどうなるのか?」といった疑問まで、わかりやすく解説していきます。愛車であるロードスターの性能を最大限に引き出し、長く楽しむための情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。
ロードスターはハイオク指定?歴代モデルの燃料を総まとめ

ロードスターと一言で言っても、1989年の初代登場から現在に至るまで、NA、NB、NC、NDという4つの世代が存在します。そして、それぞれの世代や搭載されるエンジンによって、指定されている燃料が異なります。まずは、ご自身の愛車やお目当てのモデルがどちらの燃料を指定しているのか、しっかりと確認しましょう。
初代NAロードスター(1989年~1998年)の指定燃料
初代「ユーノス・ロードスター」として登場したNA型は、1.6Lと1.8Lのエンジンがラインナップされていました。
ただし、限定車やチューニングモデルの中にはハイオク仕様となっているケースも稀に存在するため、特定のモデルについては個別に確認することをおすすめします。
2代目NBロードスター(1998年~2005年)の指定燃料
リトラクタブルヘッドライトから固定式ヘッドライトに変更されたNB型も、NA型と同様に1.6Lと1.8Lのエンジンが設定されていました。NB型の指定燃料は、エンジンや年式によって異なります。
- 1.6L(B6-ZE型)エンジン搭載車:レギュラーガソリン
- 1.8L(BP-ZE型)エンジン搭載車(前期型):レギュラーガソリン
- 1.8L(BP-VE型)エンジン搭載車(後期型):ハイオクガソリン
NBロードスターの場合、2000年7月のマイナーチェンジを境に、1.8Lモデルの指定燃料がレギュラーからハイオクに変更された点が大きなポイントです。 ご自身のNBロードスターが前期型か後期型か不明な場合は、車検証などで年式を確認すると良いでしょう。
3代目NCロードスター(2005年~2015年)の指定燃料
ボディサイズが拡大され、エンジンも2.0Lに変更された3代目のNC型。このモデルから、指定燃料は一本化されました。
排気量が大きくなり、よりスポーティな走行性能を追求した結果、ハイオクガソリンが指定されることになりました。NCロードスターのオーナーの方は、迷わずハイオクを選びましょう。
4代目NDロードスター(2015年~)の指定燃料
「SKYACTIV TECHNOLOGY」を全面採用し、原点回帰のダウンサイジングを果たした現行のND型。ソフトトップモデルには1.5L、リトラクタブルハードトップのRFには2.0Lのエンジンが搭載されています。
マツダの公式サイトや取扱説明書にも明記されており、エンジンの性能を最大限に引き出すためにハイオクガソリンの使用が推奨されています。
歴代ロードスターの指定燃料まとめ
| モデル | 型式 | エンジン | 指定燃料 |
|---|---|---|---|
| 初代 | NA6CE | 1.6L | レギュラー |
| NA8C | 1.8L | レギュラー | |
| 2代目 | NB6C | 1.6L | レギュラー |
| NB8C(前期) | 1.8L | レギュラー | |
| NB8C(後期) | 1.8L | ハイオク | |
| 3代目 | NCEC | 2.0L | ハイオク |
| 4代目 | ND5RC | 1.5L | ハイオク |
| NDERC (RF) | 2.0L | ハイオク |
ハイオクとレギュラーガソリンの基本的な違い

自分のロードスターの指定燃料がわかったところで、そもそも「ハイオク」と「レギュラー」は何が違うのか、基本的な知識をおさらいしておきましょう。この違いを理解することで、なぜハイオクが指定されているのか、より深く納得することができます。
「オクタン価」が性能の鍵
ハイオクとレギュラーの最も大きな違いは、「オクタン価」という数値です。
- レギュラーガソリン:オクタン価が89以上のもの
- ハイオクガソリン:オクタン価が96以上のもの
オクタン価とは、ガソリンがエンジンの内部でいかに「自己着火しにくいか」を示す指標です。 つまり、オクタン価が高いハイオクガソリンは、レギュラーガソリンに比べて燃えにくい(異常燃焼しにくい)性質を持っています。
スポーツカーなどに搭載される高性能エンジンは、高いパワーを出すために、シリンダー内でガソリンと空気の混合気を強く圧縮します。この圧縮比が高いエンジンでオクタン価の低いレギュラーガソリンを使うと、点火プラグで火花を飛ばす前に、圧縮された熱と圧力で勝手に燃え出してしまう「ノッキング」という異常燃焼が起きやすくなります。
ノッキングとは?エンジンへの影響
ノッキングとは、エンジン内部での異常燃焼のことです。通常、混合気は点火プラグの火花によって燃焼が始まりますが、ノッキングが起きると「カリカリ」「キンキン」といった金属を叩くような異音が発生します。
このノッキングが頻繁に起こると、エンジン内部のピストンやシリンダーに大きなダメージを与え、最悪の場合、エンジンの故障につながる可能性もあります。 ハイオクガソリンは、このノッキングを防ぐ性能(アンチノック性)が高いため、高圧縮比の高性能エンジンには不可欠なのです。
添加剤の有無とエンジン清浄効果
ハイオクガソリンとレギュラーガソリンの違いは、オクタン価だけではありません。多くのハイオクガソリンには、エンジン内部をクリーンに保つための洗浄剤などの添加剤が含まれています。
この洗浄剤は、エンジン内部の燃焼室や吸気バルブなどに付着するカーボン(燃えカス)や汚れを付きにくくしたり、除去したりする効果が期待できます。 長期的に見ると、エンジン内部をきれいに保つことで、エンジンの性能維持や寿命を延ばすことにも繋がるのです。
ロードスターにレギュラーを入れても大丈夫?

NC型やND型といったハイオク仕様のロードスターに乗っている方の中には、「ガソリン価格も高いし、少しでも節約のためにレギュラーを入れたい」と考える方もいるかもしれません。果たして、ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れても問題ないのでしょうか。
ハイオク仕様車にレギュラーを入れた場合の影響
結論から言うと、ハイオク仕様のロードスターにレギュラーガソリンを給油しても、すぐにエンジンが壊れるといった致命的なトラブルに直結することはほとんどありません。
現在の車には、ノッキングの発生を検知する「ノックセンサー」が搭載されており、レギュラーガソリンが入れられてオクタン価が低い状態を検知すると、ECU(エンジンコントロールユニット)が自動的に点火タイミングを遅らせるなどの制御を行います。 これにより、ノッキングの発生を防ぎ、エンジンを保護する仕組みになっています。
しかし、これはあくまで緊急避難的な制御です。マツダの取扱説明書にも、「無鉛プレミアムガソリンが入手できない場合、無鉛レギュラーガソリンも使用できますが、エンジン出力低下などの現象が生じます」といった記載があります。 つまり、「使えなくはないが、推奨はしない」というのがメーカーのスタンスです。
ECU(エンジンコントロールユニット)の役割
ECUは、人間でいうところの「脳」にあたる部分で、エンジンを最適な状態で動かすために様々なセンサーからの情報を基に燃料の噴射量や点火タイミングなどをコントロールしています。
ハイオク仕様のロードスターのECUは、当然ながらハイオクガソリンが使われることを前提にプログラムされています。ここにレギュラーガソリンが入ってくると、ノックセンサーからの情報に基づき、ノッキングを防ぐために点火タイミングを遅らせます(リタード制御)。 この制御が入ることで、エンジンは保護されますが、本来の燃焼効率を発揮できなくなり、結果としてパワーダウンやトルクの低下、さらには燃費の悪化といったデメリットが生じます。
長期的に見た場合のデメリット
一時的にレギュラーガソリンを使用する程度であれば大きな問題はありませんが、常時使用し続けることはおすすめできません。 ECUによる制御が頻繁に行われることは、エンジンにとって決して良い状態とは言えません。
また、前述の通り、ハイオクに含まれる洗浄剤の効果も得られなくなるため、長期的にはエンジン内部に汚れが蓄積しやすくなる可能性も考えられます。 せっかくのロードスターの「人馬一体」のフィーリングを損なうだけでなく、エンジンのコンディションを悪化させてしまう可能性があるため、やはりメーカーの指定通りハイオクガソリンを使用するのが賢明です。
ハイオクを入れるメリットとオーナーの声
ハイオク仕様のロードスターに、指定通りハイオクガソリンを入れることには、多くのメリットがあります。ここでは、具体的なメリットと、実際にロードスターに乗っているオーナーの声をご紹介します。
本来のエンジン性能を発揮できる
最大のメリットは、何と言ってもロードスターが持つ本来のエンジン性能を100%引き出せることです。 マツダの開発者は、ハイオクガソリンを使うことを前提に、エンジンの圧縮比や点火タイミングなどを緻密にセッティングしています。
特に、現行のNDロードスターに搭載されている「SKYACTIV-G」エンジンは、量産ガソリンエンジンとしては異例の高圧縮比を実現することで、優れたパワーと燃費を両立させているのが特徴です。 ハイオクガソリンを使用することで、このSKYACTIV-Gエンジンが持つポテンシャルを最大限に発揮させ、軽快で気持ちの良い加速感や、アクセル操作に対するリニアな応答性を存分に味わうことができます。
燃費向上の可能性
「ハイオクは値段が高いから不経済」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。レギュラーガソリンを入れた場合、燃費が悪化することがあります。 あるテストでは、NCロードスターにレギュラーを入れたところ、燃費が2割程度悪化したという報告もあります。
走行状況や運転スタイルにもよりますが、燃費の悪化分を考慮すると、レギュラーガソリンとの価格差が相殺され、結果的にハイオクを入れた方が経済的になるケースも十分に考えられます。 何より、燃費を気にしてアクセルを控えめに踏むよりも、気持ちよく走った方がロードスターらしい楽しみ方ができるはずです。
エンジン内部をクリーンに保つ効果
ハイオクガソリンに含まれる洗浄剤は、エンジン内部をきれいに保つ助けとなります。 これにより、エンジンのコンディションを良好に維持し、長く愛車に乗り続けるための安心材料にもなります。大切なロードスターを良い状態で維持するためにも、ハイオクの持つエンジン清浄効果は嬉しいポイントです。
実際に乗っているオーナーの意見
実際にロードスターに乗っているオーナーからは、やはりハイオクを推奨する声が多く聞かれます。
「NCロードスターを所有していた時にテストでレギュラー入れたところ2割程度燃費か悪化した(コスト的にハイオク入れた方が安い)したのと吹け上がりも悪くなり、コスト的にも運転の楽しみ的にもお勧めできる状態ではありませんでした。」
「NDの魅力を十分に堪能するにはやはりハイオクではないでしょうか?」
「パワー出ました。ね。ほあすごい違いがあるんだな。やっぱり。おお全然違うこれは期待できるなあ。」(レギュラー状態からハイオクを給油した際の感想)
このように、燃費やフィーリングの面で、ハイオクとレギュラーでは明確な違いを感じるオーナーが多いようです。
まとめ:愛車のロードスターにはハイオクを選ぼう

この記事では、「ロードスターとハイオク」をテーマに、歴代モデルの指定燃料から燃料の違い、レギュラーガソリンを使用した際の影響まで詳しく解説してきました。
- NA型とNB型前期(1.8L)/1.6Lはレギュラー指定
- NB型後期(1.8L)、NC型、ND型はハイオク指定
- ハイオクとレギュラーの主な違いはオクタン価と添加剤の有無
- ハイオク仕様車にレギュラーを入れると、性能低下や燃費悪化の可能性がある
- ロードスター本来の性能を楽しむなら、メーカー指定の燃料がベスト
結論として、ご自身のロードスターがハイオク仕様であるならば、迷わずハイオクガソリンを選びましょう。 それが、マツダの開発者が追求した「人馬一体」の走りを最大限に引き出し、愛車と長く付き合っていくための最も確実な方法です。燃料代の差額は、ロードスターを最高のコンディションで楽しむための投資と考えるのが良いかもしれません。ぜひ、正しい燃料を選んで、素晴らしいロードスターライフを満喫してください。



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