「燃費が良くて小回りが利くミライースで、もっと遠くまで自由な旅がしたい!」そう考えたとき、選択肢に浮かぶのが「車中泊」ではないでしょうか。しかし、コンパクトなミライースで本当に車中泊なんてできるの?と不安に思う方も多いはずです。たしかに、スーパーハイトワゴンなどの広い軽自動車に比べると、ミライースでの車中泊には工夫が必要です。
でも、安心してください。ポイントさえ押さえれば、ミライースを秘密基地のような快適な就寝スペースに変身させることができます。この記事では、ミライースで車中泊を考えているあなたのために、シートアレンジの方法から必須グッズ、注意点まで、やさしくわかりやすく解説していきます。この記事を読めば、きっとあなたもミライースでの車中泊に挑戦したくなるはずです。
ミライースでの車中泊、本当にできるの?

「第3のエコカー」として人気のダイハツ・ミライース。 その魅力はなんといっても、優れた燃費性能と扱いやすいコンパクトなボディサイズです。 しかし、車中泊を考えたとき、そのコンパクトさが逆に「狭いのでは?」という心配につながりますよね。ここでは、ミライースの室内空間の特徴や、車中泊の可否について詳しく見ていきましょう。
ミライースの室内サイズと特徴
ミライースは、近年の主流であるハイトワゴンタイプではなく、車高が低めのオーソドックスな軽自動車です。 具体的な室内寸法は以下の通りです。
| 項目 | 数値(LA350S/LA360S系) |
|---|---|
| 室内長 | 1,935mm〜2,025mm |
| 室内幅 | 1,345mm |
| 室内高 | 1,240mm |
(※グレードにより若干異なります)
室内長は2m近く確保されていますが、これはインパネ(運転席前の計器類がある部分)の端から後部座席後端までの長さです。 そのため、実際に就寝スペースとして使える長さはこれより短くなります。また、車高が低いため、車内での着替えや移動には少し窮屈さを感じるかもしれません。しかし、工夫次第で大人1人、もしくは小柄な方であれば2人までなら就寝スペースを確保することが可能です。
シートアレンジとフルフラット化の方法
車中泊で最も重要なのが、体を休めるための平らなスペース(フルフラット)を作ることです。残念ながら、ミライースはシートを倒すだけでは完全なフルフラットにはならず、シートの凹凸や段差が残ってしまいます。 この段差が快適な睡眠を妨げる最大の要因となるため、解消するための工夫が必須です。
1. 助手席のヘッドレストを外します。(※外せない一体型のシートもあります)
2. 助手席のシートを一番前にスライドさせ、背もたれを限界まで後ろに倒します。
3. 後部座席も前に倒します。
この状態にすると、ある程度の就寝スペースが生まれますが、前席と後席の間やシート自体の凹凸など、大きな段差ができてしまいます。 この段差を解消するために、以下のような方法が有効です。
- クッションや折りたたんだマットを詰める: 最も手軽な方法です。特にシート間の隙間に、家にあるクッションやタオルケットなどを詰めることで、大きな段差を和らげることができます。
- 自作の台やすのこを活用する: ホームセンターなどで手に入る材料で、段差を埋めるための台を自作する方法もあります。すのこを置くことで、より安定した平らな面を作り出すことができます。
- 市販の車中泊マットを利用する: 厚みのあるインフレーターマット(空気で膨らむマット)やエアーマットを使えば、多少の段差は吸収され、寝心地が格段に向上します。
実際に車中泊は可能?メリット・デメリット
結論から言うと、ミライースでの車中泊は工夫次第で十分に可能です。 実際にミライースで車中泊を楽しんでいるユーザーもたくさんいます。 しかし、快適に過ごすためには、そのメリットとデメリットをしっかり理解しておくことが大切です。
メリット
- 圧倒的な燃費の良さ: 燃料費を抑えて長距離の旅が楽しめます。
- 小回りが利く: 狭い道や駐車場でも運転しやすく、気軽に目的地を選べます。
- 手軽に始められる: 大掛かりな改造をしなくても、工夫次第で挑戦できます。
- 維持費の安さ: 軽自動車なので税金や保険料が安く、旅のコスト全体を抑えられます。
デメリット
- 室内の狭さ: 就寝スペースが限られ、大人数には向きません。基本的に1名、頑張って2名が限界です。
- フルフラットにしにくい: 快適な睡眠のためには段差解消の工夫が不可欠です。
- 収納スペースの少なさ: 就寝スペースを確保すると、荷物を置く場所がほとんどなくなります。
- 天井が低い: 車内での着替えなど、高さのある動きはしにくいです。
これらのデメリットを理解し、対策を講じることで、ミライースのメリットを最大限に活かした楽しい車中泊が実現できるでしょう。
ミライース車中泊を快適にする必須グッズ

ミライースでの車中泊を成功させるには、限られたスペースをいかに快適な空間に変えるかが重要です。ここでは、寝心地を左右する寝具から、プライバシーを守るアイテム、あると便利な快適グッズまで、具体的なアイテムを紹介します。これらを揃えることで、ミライースの車内は格段に過ごしやすくなります。
快眠のための寝具(マット、寝袋など)
ミライース車中泊で最も重要なのが寝具選びです。シートの段差をいかに解消し、快適な寝床を作るかが快眠の分かれ道となります。
- 車中泊マット: 最もおすすめなのが、厚さ5cm以上あるインフレーターマットやエアーマットです。これらは空気の力で膨らみ、シートの凹凸を吸収してフラットな寝心地を提供してくれます。 ミライースのシートスペースに合わせたサイズを選ぶと良いでしょう。アウトドアブランドから車中泊専用のものまで様々な種類があります。
- 寝袋(シュラフ): 季節に合わせて選びましょう。夏は通気性の良い封筒型、冬は保温性の高いマミー型がおすすめです。寝袋があれば、布団のようにかさばらず、効率的に体温を保つことができます。
- 枕: 普段使っている枕を持ち込むのが一番ですが、荷物を減らしたい場合は空気で膨らむエアピローが便利です。タオルや衣類を丸めて代用することもできます。
プライバシーと断熱対策(サンシェード、カーテン)
車内で安心して過ごすためには、外からの視線を遮るプライバシー対策が不可欠です。また、これらのアイテムは夏の暑さや冬の寒さを和らげる断熱効果も期待でき、快適な車内温度を保つのに役立ちます。
- サンシェード: 車中泊の必須アイテムです。 特に車種専用設計のものは、窓にぴったりフィットし、光や視線を完全にシャットアウトできます。 銀マットなどで自作することも可能ですが、吸盤で簡単に取り付けられる専用品は非常に便利です。
- カーテン: 遮光性の高いカーテンを取り付けるのも良い方法です。突っ張り棒やカーテンレールを使えば、簡単に設置できます。開け閉めが楽なので、日中の目隠しとしても重宝します。
- タオルや布: サイドの小さな窓など、シェードがない場所は、大きめのタオルや布で目隠しするだけでも安心感が違います。
あると便利な快適グッズ
必須ではありませんが、持っていると車中泊の快適度が格段にアップするアイテムを紹介します。
- LEDランタン: 車内で火を使うのは一酸化炭素中毒の危険があり大変危険です。安全な電池式や充電式のLEDランタンを使いましょう。 暖色系の光を選ぶと、リラックスできる空間を演出できます。
- ポータブル電源: スマートフォンやタブレットの充電、小型の電気毛布の使用など、車内で電化製品を使いたい場合に非常に役立ちます。容量によって価格やサイズが異なるので、自分の用途に合ったものを選びましょう。
- 小型テーブル: 車内で食事をしたり、小物を置いたりするのに便利です。折りたたみ式のコンパクトなものを選びましょう。
- 耳栓やアイマスク: 周囲の音や光が気になる場合に役立ちます。これらがあるだけで睡眠の質が大きく変わることもあります。
収納スペース確保の工夫
ミライースは収納スペースが限られているため、荷物の置き方を工夫する必要があります。
- ルーフネット(天井収納ネット): アシストグリップなどを利用して天井にネットを取り付けると、衣類やタオルなどの軽いものを収納できます。 デッドスペースを有効活用できる便利なアイテムです。
- シート下のスペース: 運転席や助手席の下、後部座席の足元など、わずかな隙間も収納スペースとして活用しましょう。
- 荷物は最小限に: 車中泊に不要なものは極力持っていかないことが重要です。事前に荷物を厳選し、コンパクトにまとめることを心がけましょう。
実践!ミライース車中泊の手順とコツ
グッズを揃えたら、いよいよ実践です。しかし、快適で安全な車中泊にするためには、事前の準備と当日の段取りが大切です。ここでは、出発前のチェックリストから、車中泊場所の選び方、効率的な荷物の積み方まで、具体的な手順とコツを紹介します。
出発前の準備とチェックリスト
忘れ物を防ぎ、安心して出発するために、事前に持ち物をリストアップしておきましょう。 特に初めての車中泊では、念入りな準備が成功の秘訣です。
【車中泊持ち物チェックリスト(例)】
| カテゴリ | 持ち物 |
|---|---|
| 寝具 | □車中泊マット □寝袋(シュラフ) □枕 |
| 目隠し・断熱 | □サンシェード(全窓分) □カーテン □タオル |
| 照明 | □LEDランタン □ヘッドライト |
| 電源 | □ポータブル電源 □モバイルバッテリー □充電ケーブル |
| 衛生用品 | □歯ブラシセット □タオル □ウェットティッシュ □ゴミ袋 |
| 衣類 | □着替え □パジャマ □防寒着(季節による) |
| その他 | □耳栓・アイマスク □常備薬 □健康保険証 |
出発前には、実際に荷物をすべて車に積んでみて、寝るスペースが確保できるかを確認しておくことを強くおすすめします。 実際に寝転がってみて、狭すぎないか、段差が気にならないかをチェックしておくと、現地で慌てることがありません。
車中泊場所の選び方とマナー
車中泊はどこでもできるわけではありません。安全で快適に過ごせる場所を選び、周囲への配慮を忘れないことが大切です。
- 公認の車中泊スポットを利用する:
- RVパーク: 電源設備やトイレ、ゴミ処理施設などが整っている有料の車中泊施設です。安心して快適に過ごしたい初心者の方におすすめです。
- オートキャンプ場: テントサイトだけでなく、車中泊が可能な場所も多くあります。焚き火や料理を楽しみたい場合に最適です。
- 湯YOUパーク(温泉施設の駐車場): 温泉施設が提供する車中泊スペースで、入浴後にそのまま休めるのが魅力です。
- 道の駅やサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)での注意点:
これらの場所は、あくまでドライバーの休憩(仮眠)を目的とした施設であり、連泊やキャンプ行為(車外での調理、テーブルやイスを広げるなど)はマナー違反、場合によっては禁止されています。 一晩を明かす場合は、施設のルールを必ず確認し、長時間の滞在は避け、静かに過ごすことを徹底しましょう。
- 車中泊の基本マナー:
- アイドリングストップ: 就寝中は必ずエンジンを切りましょう。騒音や排気ガスは周囲の迷惑になります。
- ゴミは必ず持ち帰る: 発生したゴミはすべて持ち帰り、自宅で処分するのが原則です。
- 静かに過ごす: 夜間はドアの開閉音や話し声に注意し、静かに過ごしましょう。
- グレータンクの排水はしない: 歯磨きなどで使った水を駐車場に捨てるのは絶対にやめましょう。
効率的な荷物の積み方と就寝準備
ミライースの限られたスペースを最大限に活用するための荷物の積み方と、スムーズな就寝準備のコツを紹介します。
まず、就寝スペースを最優先で確保することを考えます。荷物は助手席や足元、そしてルーフネットなどを活用して、寝る場所を圧迫しないように配置します。すぐに使わないもの(着替えなど)は奥や下に、頻繁に使うもの(飲み物、ランタンなど)は取り出しやすい手前に置くのが基本です。
現地に到着したら、暗くなる前に就寝準備を始めるのがポイントです。
- 車を平らな場所に停める: 傾斜があると寝にくいため、できるだけ平坦な場所を選びましょう。
- プライバシー対策: まずサンシェードやカーテンですべての窓を覆い、外からの視線を遮断します。
- シートアレンジと寝床作り: 荷物を移動させ、シートを倒してマットを敷き、寝袋を広げて寝床を完成させます。
- 最終確認: ドアを確実にロックし、貴重品は外から見えない場所に保管します。
これらの手順を明るいうちに済ませておけば、あとはリラックスして夜の時間を過ごすことができます。
ミライース車中泊の注意点と安全対策

手軽に楽しめるミライースでの車中泊ですが、狭い車内で長時間過ごすことにはいくつかのリスクも伴います。安全に旅を終えるために、知っておくべき注意点と対策をしっかり確認しておきましょう。健康管理や防犯対策を怠ると、せっかくの楽しい旅が台無しになってしまう可能性もあります。
エコノミークラス症候群の予防
エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)は、長時間同じ姿勢でいることで足の血流が悪くなり、血の塊(血栓)ができて、それが肺の血管に詰まる病気です。 これは飛行機だけでなく、車中泊でも起こりうる危険な症状です。
予防のためのポイント
- 定期的に体を動かす: 就寝前や起床後に軽いストレッチをしたり、車から降りて少し歩いたりして、血行を促進しましょう。
- 水分をこまめに摂る: 体内の水分が不足すると血液がドロドロになりやすくなります。アルコールやカフェイン飲料は利尿作用があるため、水やお茶を意識して飲みましょう。
- ゆったりとした服装で寝る: 体を締め付けるような服装は避け、リラックスできるジャージやパジャマに着替えましょう。
- 足を少し高くして寝る: クッションや丸めたタオルを足元に置いて、足を少し高くすると血流が改善されやすくなります。
ミライースの車内は特にスペースが限られているため、意識的に体を動かすことが非常に重要です。
エンジン停止と換気の重要性
就寝中は必ずエンジンを停止してください。 エンジンをかけっぱなしにすると、排気ガスが車内に侵入し、一酸化炭素(CO)中毒を引き起こす危険があります。一酸化炭素は無味無臭のため、気づかないうちに中毒症状が進行し、最悪の場合は死に至ることもあります。特に、積雪時にマフラーが雪で塞がれると、排気ガスが逆流しやすくなり大変危険です。
また、エンジンを止めて窓を完全に閉め切ると、車内の二酸化炭素濃度が上昇し、酸欠になる恐れがあります。これを防ぐために、少しだけ窓を開けて換気することが重要です。
- 窓を数センチ開ける: 対角線上の窓を2ヶ所少し開けると、空気の流れができて効率的に換気できます。
- 防犯・防虫対策: 窓を開ける際は、防犯や虫の侵入に注意が必要です。市販の車用網戸(ウィンドウネット)などがあると、安心して換気ができます。
防犯対策と緊急時の備え
安心して眠るためには、基本的な防犯対策が欠かせません。
- 必ずドアをロックする: 車から離れる時はもちろん、就寝時も必ず全てのドアを施錠しましょう。
- 貴重品を見える場所に置かない: スマートフォンや財布、カバンなどを外から見える場所に放置しないようにしましょう。
- 駐車場所を選ぶ: できるだけ人目があり、照明が明るい場所に駐車する方が安全です。
- 外から車内を見えなくする: サンシェードやカーテンでしっかり目隠しをすることは、プライバシー保護だけでなく、車内の様子を窺わせない防犯対策としても有効です。
万が一の事態に備えて、スマートフォンの充電は常に十分にしておき、すぐに助けを呼べる状態にしておくことも大切です。また、JAFなどのロードサービスに加入しておくと、車のトラブルが発生した際に安心です。
まとめ:工夫次第でミライースの車中泊は楽しめる!

この記事では、コンパクトな軽自動車ミライースで車中泊を成功させるための具体的な方法やグッズ、注意点について解説しました。
ミライースは車内空間が広い車ではありませんが、最大のメリットである燃費の良さを活かせば、少ない費用で自由気ままな旅が楽しめます。車中泊を成功させるためのポイントは以下の通りです。
- 段差解消が最重要: シートを倒しただけでは快適に眠れません。厚手のマットやクッションなどを活用し、いかにフラットな寝床を作れるかが快適性の鍵を握ります。
- 必須グッズを揃える: 寝心地を左右するマット、プライバシーと断熱に役立つサンシェード、安全な明かりとなるLEDランタンは、最低限揃えたいアイテムです。
- 安全とマナーを守る: エコノミークラス症候群の予防、エンジン停止と換気の徹底、そして周囲への配慮を忘れず、安全で気持ちの良い車中泊を心がけましょう。
少しの工夫と準備さえすれば、ミライースは最高の旅の相棒になります。この記事を参考に、あなただけの「走る秘密基地」で、新しい旅に出かけてみてはいかがでしょうか。



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