愛車のメンテナンスを自分で行う第一歩として、オイル交換は非常に人気のある作業です。自分で行うことで車への愛着が深まるだけでなく、お店に依頼するよりも費用を抑えられたり、自分の好きなタイミングで高品質なオイルを選べたりといったメリットがあります。しかし、「オイル交換のDIYを始めたいけれど、どんな道具を揃えればいいのかわからない」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、オイル交換のDIYに必要な道具の選び方から、安全に作業を進めるための手順、そして注意すべきポイントまで詳しく解説します。これから道具を揃えようと考えている初心者の方でも、この記事を読めば迷わずに準備を整えることができます。適切な道具を選び、正しい知識を持って作業に臨むことで、安全で楽しいカーライフを送りましょう。
オイル交換のDIYに必要な道具リストと準備のポイント

オイル交換を自分で行うためには、いくつかの専用道具と消耗品を準備する必要があります。まずは、作業の土台となる基本的なアイテムをしっかり把握しましょう。必要な道具が揃っていないと、作業の途中で手が止まってしまい、思わぬトラブルを招く原因にもなります。
基本のエンジンオイルとオイルフィルター
オイル交換の主役となるのがエンジンオイルです。まずは自分の車の取扱説明書を確認し、指定されているオイルの粘度(0W-20や5W-30など)と容量を調べましょう。エンジンを保護し、本来の性能を発揮させるためには、車に合ったオイルを選ぶことが何よりも重要です。高性能なものからコストパフォーマンスに優れたものまで幅広く販売されていますが、迷ったときは純正同等のスペックを選ぶのが安心です。
併せて交換したいのが、オイルの汚れをろ過するオイルフィルター(エレメント)です。オイルフィルターはオイル交換の2回に1回の頻度で交換するのが一般的ですが、DIYで行うなら毎回交換しても良いでしょう。フィルターは車種ごとに適合するサイズが細かく決まっているため、パッケージに記載された適合表を必ず確認してください。適合しないものを選んでしまうと、オイル漏れなどの重大な故障に繋がります。
オイルの量を測るためのオイルジョッキも準備しておきましょう。大きな缶から直接エンジンに注ぐのは難しく、こぼしてしまうリスクが高いからです。2リットルから5リットル程度の容量があるメモリ付きのジョッキがあれば、規定量を正確に計量してスムーズに注入することができます。注ぎ口にノズルがついているタイプを選ぶと、狭い場所にある給油口にもアプローチしやすくなります。
オイルを抜くために必須のドレンパッキン
オイルを排出する穴(ドレンボルト)を塞いでいるのがドレンパッキン(ワッシャー)です。これはオイル漏れを防ぐための密閉剤としての役割を果たしています。アルミ製や銅製、ゴム付きのものなどがありますが、基本的には「一度使ったら交換する」使い捨ての部品です。締め付けることでつぶれて密着する仕組みのため、再利用すると隙間からじわじわとオイルが漏れてくる危険性があります。
ドレンパッキンも車種(メーカー)によってサイズが異なります。内径がボルトの太さに合っていないと装着できません。数百円で購入できる安価な部品ですので、オイル交換のたびに新品を用意しましょう。まとめ買いしておくと、次回の交換時に慌てる必要がありません。小さな部品ですが、エンジンの健康を守るためには欠かせない非常に重要なアイテムです。
もしドレンパッキンを交換せずに使い続けると、走行中の振動でボルトが緩んだり、最悪の場合は走行中にオイルがすべて抜け落ちてエンジンが焼き付いてしまう恐れがあります。DIYを行う際は、常に予備のパッキンを手元に置いておく習慣をつけることが大切です。ボルトの締め付け感を確認しながら、パッキンがしっかりと密着していることを意識しましょう。
車体を持ち上げるジャッキと安全を守るリジットラック
多くの車では、オイルを抜くためのドレンボルトはエンジンルームの真下、つまり車体の底にあります。そのため、車体を持ち上げて作業スペースを確保する必要があります。ここで使用するのがフロアジャッキです。車載のパンタグラフジャッキは緊急用であり、長時間の作業や下に入る作業には不向きです。安定感のある油圧式のフロアジャッキを選ぶことで、作業の効率と安全性が向上します。
そして、ジャッキ以上に重要なのが「リジットラック(馬)」です。ジャッキアップしただけの状態で車の下に入るのは絶対にやめてください。油圧ジャッキは故障などで急に下がるリスクがあるからです。必ず左右の強固なフレーム部分にリジットラックをかけ、車体を安定して支える状態を作ってから作業を開始しましょう。これを怠ると、命に関わる大きな事故に繋がる可能性があります。
もし車高がある程度高い車であれば、スロープ(カースロープ)を使用するのも一つの手です。前輪をスロープに乗せるだけで必要な高さが確保できるため、ジャッキアップの手間が省け、安全性も高まります。ただし、スロープを使用する際も、必ず後輪に輪止めをかけ、車が動かないように固定することを忘れないでください。安全確保はDIYにおける最優先事項です。
【安全に作業するための三種の神器】
・フロアジャッキ:安定して車体を持ち上げるため
・リジットラック(馬):車体を固定し、万が一の落下を防ぐため
・輪止め:作業中に車が前後に動かないように固定するため
オイルを受け止める廃油処理箱と工具類
抜いた古いオイルを適切に処理するために必要なのが、廃油処理箱です。箱の中にオイルを吸収する綿や紙が入っており、そのまま燃えるゴミとして捨てられるようになっています(自治体のルールに従ってください)。オイルを直接地面に流すことは環境破壊に繋がるため、絶対に厳禁です。自分の車のオイル容量よりも少し大きめのサイズを選ぶと、あふれる心配がなく安心です。
ドレンボルトを緩めるためには、適切なサイズのレンチが必要です。一般的には14mmや17mmのメガネレンチやソケットレンチを使用します。モンキーレンチのような調整式の工具は、ボルトの角を傷める(なめる)原因になるためおすすめしません。しっかりと力をかけられる、精度の高い工具を揃えましょう。初めての場合は、必要なサイズが揃ったソケットレンチセットを購入しておくと便利です。
また、オイルフィルターを交換する場合は、専用の「フィルターレンチ」も必要です。フィルターは手で回すには固すぎることが多く、専用工具がないと外せないケースがほとんどです。フィルターの直径に合わせたカップ型や、サイズを調整できるベルト型などがあります。自分の車のフィルターサイズを確認した上で、確実に回せるタイプを用意しておきましょう。これで基本的な道具の準備は完了です。
自分の車に合ったエンジンオイルとフィルターの選び方

道具が揃ったら、次はオイルとフィルターの具体的な選び方について深掘りしていきましょう。お店に行くと非常に多くの種類が並んでおり、どれを選べば良いか迷ってしまうものです。自分の車のコンディションや使用環境に合わせて最適なものを選ぶことが、DIYの醍醐味でもあります。ここでは、選定の基準となるポイントを整理して解説します。
粘度(0W-20や5W-30)の意味と選び方
エンジンオイルの缶に大きく記載されている「0W-20」などの数字は、オイルの粘度(硬さ)を表しています。左側の「0W」は冬場やエンジンが冷えている時の流動性を示し、数字が小さいほど低温でも固まらず、スムーズにエンジンを始動できます。「W」はWinterの略です。右側の「20」はエンジンが温まっている時の粘度を示し、数字が大きいほど高温時でも油膜が切れにくく、エンジンを保護する力が強くなります。
最近のエコカーや軽自動車の多くは、燃費性能を重視して「0W-20」や「0W-16」といったサラサラした低粘度オイルが指定されています。一方で、スポーツ走行をする車や年式の古い車、走行距離が多い車などは、エンジンの保護を優先して「5W-30」や「10W-40」などの少し粘り気のあるオイルが選ばれることが多いです。基本的には、取扱説明書に記載されている「指定粘度」を守るのが最も確実な選択です。
ただし、夏場の酷暑環境で高速道路を長時間走る場合や、山道を頻繁に走る場合は、指定よりも少しだけ硬めのオイル(例:0W-20指定の車に5W-30を入れる)を選ぶことで、エンジン保護性能を高めるという調整も可能です。しかし、あまりに指定からかけ離れた硬いオイルを入れると、燃費が悪化したり、オイルが隅々まで行き渡らなくなったりするため注意が必要です。迷ったときは純正指定の範囲内に留めましょう。
化学合成油と鉱物油の違いを理解する
エンジンオイルには、その製法によって「化学合成油」「部分合成油」「鉱物油」の3つのグレードがあります。最も高性能なのが化学合成油で、不純物を極限まで取り除き、分子の大きさを一定に揃えたオイルです。低温時の流動性が良く、高温時でも酸化しにくいため、エンジンの内部をクリーンに保ち、長期間性能を維持できます。価格は高めですが、愛車を長く大切に乗りたい方には一番の選択肢です。
一方、鉱物油は原油を蒸留・精製して作られる最もスタンダードなオイルです。価格が非常にリーズナブルで、昔ながらのエンジンとの相性が良いという特徴があります。ただし、化学合成油に比べると酸化が早く、性能の劣化も早いため、こまめな交換が推奨されます。部分合成油はこれらの中間に位置し、コストと性能のバランスを重視した、日常使いに最適なオイルです。
「どのグレードを選べばいいか」という問いへの答えは、交換頻度と予算にあります。たとえ高価な化学合成油を選んでも、1万キロ以上無交換でいればエンジンは傷みます。逆に、安価な鉱物油でも3,000キロごとにこまめに交換していれば、エンジン内部は非常に綺麗に保たれます。DIYなら作業工賃が浮く分、少し奮発してワンランク上の化学合成油を選んでみるのも良いでしょう。
互換性のあるオイルフィルターの探し方
オイルフィルターを選ぶ際は、まずカー用品店などに置かれている「車種別適合表」を確認しましょう。車名、型式、年式、エンジン型式を照らし合わせることで、適合する型番を見つけることができます。純正品以外にも、サードパーティ製の高品質なフィルターが多く販売されています。中にはマグネットが内蔵されており、エンジン内の微細な金属ゴミを吸着してくれるタイプなどもあり、DIYユーザーに人気です。
フィルター選びで注意したいのは、同じ車種でもマイナーチェンジ前後でサイズが変わっているケースがあることです。不安な場合は、今車についているフィルターの型番を直接確認するか、車検証を持って店員さんに確認するのが確実です。また、フィルターと一緒にドレンパッキンがセット販売されているものもあるため、そうした製品を選ぶと買い忘れを防げて便利です。
最近の輸入車や一部の国産車では、金属製のケースごと交換する「スピンオン式」ではなく、内部の紙製のろ紙(エレメント)だけを交換する「交換式」が増えています。このタイプの場合、ケースを開けるための専用ソケットが必要になることもあります。自分の車がどちらのタイプなのか、あらかじめボンネットを開けて確認したり、ネットで調べたりしておくと、作業当日に「工具が合わない」と困ることがなくなります。
作業効率が格段に上がる!あると便利な専門道具

基本の道具だけでもオイル交換は可能ですが、専門的な道具を少し買い足すだけで、作業の確実性と快適さが劇的に向上します。DIYに慣れてきたら揃えたい、プロも愛用するおすすめのアイテムをご紹介します。これらを持つことで、ミスを防ぎながらより質の高いメンテナンスができるようになります。
確実な締め付けを約束するトルクレンチ
オイル交換で最も多く発生するトラブルの一つが、ドレンボルトの「締めすぎ」または「締め忘れ」です。初心者の方は「漏れないように」と力いっぱい締めすぎてしまいがちですが、これをやるとネジ山を潰してしまい、最悪の場合はオイルパン(オイルを溜める部品)の交換という高額修理が必要になります。逆に締めが甘いと、走行中にボルトが脱落する危険があります。
そこで活躍するのがトルクレンチです。設定したトルク(力)に達すると「カチッ」という音や感触で知らせてくれる道具で、メーカーが指定する適正な強さでボルトを締めることができます。車種ごとにドレンボルトの指定トルクは決まっている(30〜40N・m程度が多い)ため、その数値に合わせて締めるだけで、誰でもプロと同じ精度の作業が可能になります。安全性を担保するために、ぜひ持っておきたい道具の筆頭です。
トルクレンチを使用する際は、まず手でボルトを回せるところまで締め、最後に仕上げとして使うのが基本です。最初から工具を使うと、ネジ山が斜めに入っていることに気づかず強引に回してしまうリスクがあるからです。自分の手の感覚を養いつつ、最終的な確認をトルクレンチに任せるというスタイルが、確実な作業への近道となります。
フィルターの着脱を楽にするオイルフィルターレンチ
オイルフィルターは熱や固着によって、驚くほど固くなっていることがあります。手だけで回そうとしても滑ってしまい、全く動かないことも珍しくありません。そんな時に必須なのがオイルフィルターレンチです。最もおすすめなのは「カップ型」です。フィルターの先端に被せるタイプで、ラチェットハンドルを差し込んで回すことができるため、狭いスペースでも力を入れやすいのが特徴です。
ただし、カップ型はサイズが固定されているため、フィルターの直径(65mmや68mmなど)にピッタリ合うものを選ぶ必要があります。もし複数の車を所有していたり、将来的に違う車に乗る可能性を考えたりするなら、サイズ調整が可能な「3爪タイプ」や「ベルトタイプ」のレンチも便利です。これらは汎用性が高く、様々な大きさのフィルターに対応できます。
フィルターを緩める際、中の古いオイルが垂れてくることが多いため、レンチと一緒にビニール袋などを用意しておくと、手を汚さずにフィルターを回収できます。また、新しいフィルターを取り付ける際は、フィルターのゴムパッキン部分に新しいエンジンオイルを薄く塗っておきましょう。これをすることでパッキンのねじれを防ぎ、次回の取り外しがスムーズになります。こうした小さな工夫が、DIYの質を高めてくれます。
手を汚さないための保護具とパーツクリーナー
オイル交換は、どうしても手が汚れやすい作業です。古いオイルは酸化しており、肌の弱い方は荒れてしまうこともあります。そこでおすすめなのが、ニトリル製の使い捨て手袋です。薄手でフィット感が良く、ボルトを回すなどの細かい作業も妨げません。軍手ではオイルが染み込んでしまうため、防水性のあるゴム手袋を選ぶのがポイントです。汚れを気にせず作業に集中できるため、効率が上がります。
また、作業の仕上げに欠かせないのがパーツクリーナーです。オイルがドレンボルト付近やフレームに付着したまま放置すると、ゴミを吸着して汚れるだけでなく、後でオイル漏れが発生した時に「古い汚れなのか新しい漏れなのか」が判断できなくなります。作業後はパーツクリーナーを吹きかけて油分をしっかり洗い流し、ウエス(布)で綺麗に拭き取っておきましょう。
パーツクリーナーは、オイルジョッキや受け皿の掃除にも重宝します。道具を使いっぱなしにせず、その都度綺麗にしておくことで、次回のDIYも気持ちよく始めることができます。さらに、吸油性の高いペーパーウエス(ショップタオル)を常備しておくと、こぼしたオイルの拭き取りなどが非常に楽になります。これら「掃除・保護」のための道具を揃えることも、立派な準備の一部です。
プロのアドバイス:オイルを抜く前に、オイルフィラーキャップ(オイルを注ぐ口の蓋)が緩むかどうかをまず確認しましょう。オイルを抜いた後に「注ぎ口が開かない!」となると、車を動かせなくなってしまいます。
実践!オイル交換DIYの基本的な流れと手順

道具が揃い、準備が整ったらいよいよ実作業です。オイル交換の流れは大きく分けて「準備」「排出」「交換・注入」「確認」の4ステップです。一つ一つの工程を丁寧に行うことで、失敗のリスクを最小限に抑えられます。ここでは、初心者の方でもイメージしやすいように具体的な手順を解説します。
エンジンを温めてオイルを抜きやすくする
オイル交換を始める前に、まずエンジンを数分間暖機運転しましょう。エンジンが冷えた状態だと、オイルは粘り気が強くドロドロしているため、抜き取るのに時間がかかり、古い汚れも一緒に排出されにくくなります。5分程度アイドリングをするか、近所を一周走行してオイルを温めることで、水のようにサラサラになり、スムーズに抜き取ることができます。
ただし、走行直後のオイルは非常に高温(80度〜100度以上)になっているため、火傷には十分に注意してください。暖機後は少し時間を置いて、触れる程度の温度になってから作業を開始するのがベストです。車を平坦な場所に停め、パーキングブレーキをしっかりとかけ、後輪に輪止めを設置します。その後、ジャッキアップを行い、リジットラックで車体を固定しましょう。
車の下に潜る準備ができたら、まずエンジン上部のオイルフィラーキャップとオイルレベルゲージを少し浮かせておきます。これにより、空気の通り道ができてオイルがスムーズに排出されるようになります。また、このタイミングで「オイルがちゃんと規定量入っているか」をゲージで確認しておくと、エンジンの現在のコンディションを把握する手がかりになります。
古いオイルを抜いてフィルターを交換する
いよいよオイルを排出します。ドレンボルトの下に廃油処理箱をセットし、レンチを使ってボルトを緩めます。ボルトが緩んだら、あとは手でゆっくりと回していきます。このとき、ボルトをオイルパン側に押し付けるようにしながら回すのがコツです。最後に「パッ」とボルトを引き抜くと、手にオイルがかかりにくくなります。オイルが勢いよく飛び出すので、箱の位置を調整しながら受け止めましょう。
オイルが抜けるのを待つ間に、オイルフィルターの交換も行います。フィルターレンチを使ってフィルターを緩めると、中からオイルが垂れてくるので注意してください。古いフィルターを外したら、取り付け面をウエスで綺麗に掃除します。新しいフィルターのパッキンに新しいオイルを指で塗り、まずは手で回らなくなるまで締め込みます。その後、レンチを使って指定の回転数(多くの場合は着座から3/4回転〜1回転程度)で締め付けます。
オイルがほとんど垂れてこなくなったら、ドレンボルトを戻します。このとき、必ず新品のドレンパッキンに交換してください。ボルトに付着した古いオイルやゴミを拭き取り、手で回せるところまで締め込みます。最後にトルクレンチを使い、適正トルクでカチッと締めれば排出側の作業は完了です。パーツクリーナーで周囲の汚れを清掃するのを忘れないようにしましょう。
新しいオイルを規定量まで慎重に注入する
次に、車体を降ろして水平な状態に戻します。オイルは水平な状態で計量しないと正しい量がわからないためです。オイルジョッキに新しいオイルを準備しましょう。このとき、一度に全量を入れようとせず、規定量より少し少なめ(0.5リットル程度少ない量)から入れるのが失敗しないポイントです。一度入れすぎたオイルを抜くのは非常に手間がかかるからです。
オイルフィラーキャップを外し、ジョッキを使ってゆっくりと注入します。注ぎ終わったらキャップを閉め、一度エンジンを始動させます。1分ほどアイドリングをすることで、新しいオイルがエンジン内に行き渡り、オイルフィルターの中にも充填されます。その後エンジンを止め、数分間待ってオイルがオイルパンに落ちてくるのを待ちます。
最後にオイルレベルゲージを抜き、ウエスで拭いてから再度差し込んで量を確認します。ゲージの「F(Full)」と「L(Low)」の間にオイルが来ていれば合格です。理想はFラインの少し下あたりです。もし足りなければ少しずつ足して、再度ゲージで確認を繰り返します。最後にフィラーキャップを確実に締め、レベルゲージをしっかり奥まで差し込めば、オイル交換作業はすべて終了です。お疲れ様でした!
| 手順 | 作業内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 暖機運転 | エンジンを数分回す | 火傷に注意 |
| 排出 | ドレンボルトを外す | パッキンは必ず新品にする |
| フィルター交換 | 専用工具で脱着 | パッキンにオイルを塗る |
| 注入 | ジョッキでオイルを入れる | 少しずつ入れ、入れすぎに注意 |
| 確認 | レベルゲージで量を見る | 水平な場所で確認する |
廃油の捨て方と環境を守るためのマナー

DIYを終えた後、必ず行わなければならないのが「後片付け」です。特に、抜き取った古いオイル(廃油)の処理は非常に重要です。正しく処理しないと、環境を汚染するだけでなく法律に触れる可能性もあります。DIYを楽しむ者として、最後まで責任を持って対処しましょう。
自治体ごとのルールを確認して捨てる
最も一般的な廃油の処理方法は、市販の「廃油処理箱」を使用して燃えるゴミとして出す方法です。箱の中に入っている吸収材がオイルを吸い取り、油漏れを防ぐ構造になっています。これを使用すれば、家庭での処理が非常に簡単になります。ただし、自治体によっては「廃油はゴミとして出せない」「特別な回収拠点へ持っていく必要がある」など、ルールが異なる場合があります。
作業前に必ずお住まいの地域のゴミ出しガイドラインを確認しましょう。もし燃えるゴミとして出せる場合は、オイルが箱から漏れ出さないように袋の口をしっかりと縛り、指定された日に出します。高温のまま入れるとビニールが溶ける可能性があるため、必ず十分に冷めてから吸わせるようにしてください。マナーを守った処理が、DIYを長く続けられる環境を作ります。
また、オイルの空き缶(4L缶など)の捨て方も確認が必要です。多くの自治体では不燃ゴミや資源ゴミとして扱われますが、中にオイルが残っていると回収してもらえないことがあります。パーツクリーナーなどで内部を軽くゆすぎ、中身を空にしてから出すのがスマートです。段ボールやビニールゴミも分別し、作業場所を元通り綺麗にすることがDIYの基本です。
ガソリンスタンドやカー用品店での引き取り
「ゴミとして捨てるのは不安」「環境に配慮してリサイクルしたい」という方は、ガソリンスタンドやカー用品店に持ち込んで引き取ってもらう方法もあります。多くの店舗では廃油回収タンクを持っており、専門業者が回収して再利用(再生重油など)されるルートが確立されています。プロに任せることで、最も確実に、かつ環境に優しく処理することができます。
ただし、全ての店舗で引き取りを行っているわけではありません。また、無料のところもあれば、数百円程度の処理費用がかかる場合もあります。さらに、その店舗でオイルを購入したレシートが必要なケースも多いです。あらかじめ、近所のガソリンスタンドや、いつも利用するカー用品店に「持ち込みの廃油を引き取ってもらえるか」を確認しておくとスムーズです。
持ち込む際は、抜いたオイルを元の空き缶や、密閉できるポリタンクに入れる必要があります。運搬中に車内で倒れてオイルが漏れると大惨事になりますので、段ボール箱に入れるなどして固定し、万全の体制で運びましょう。手間は少しかかりますが、リサイクルの意識を持つことは非常に素晴らしいことです。
オイル汚れを地面に残さないための対策
作業中にうっかりオイルを地面にこぼしてしまうことは、初心者だけでなくベテランでも起こり得ます。自宅の駐車場がコンクリートやアスファルトの場合、オイルが染み込んでしまうと黒いシミになり、なかなか落ちません。賃貸物件や共同の作業スペースを利用している場合は、特にトラブルの原因になりやすいため、事前の対策が不可欠です。
作業を始める前に、車の下に大きな段ボールや新聞紙、ビニールシートなどを敷いておきましょう。これだけで、万が一オイルが跳ねたりこぼれたりしても、地面を汚さずに済みます。特にドレンボルトを抜く瞬間やフィルターを外す瞬間は、予想外の方向にオイルが飛ぶことがあります。広めに養生しておくことが、余計な掃除の手間を省くコツです。
もし地面にオイルがついてしまったら、すぐにパーツクリーナーを噴射して浮かせてから、ウエスで叩くように吸い取ります。時間が経つほど染み込んで落ちにくくなるため、スピード勝負です。また、作業後に手が真っ黒になった場合は、ハンドクリーナー(スクラブ入りなど)を使うと、指紋の間に入り込んだ油汚れも綺麗に落ちます。車も自分も、そして作業場所も清潔に保つのが「できるDIYer」の姿です。
DIYでオイル交換を行う際に注意すべきトラブル事例

オイル交換はシンプルな作業ですが、一歩間違えるとエンジンを壊してしまうような大きなトラブルに繋がることもあります。多くの人が経験しがちな失敗事例を知っておくことで、未然に事故を防ぐことができます。ここでは、特に注意したい3つのポイントを挙げます。
ネジ山を壊さないためのドレンボルトの扱い
最も致命的な失敗の一つが、ドレンボルトの「斜め噛み」です。ボルトを穴に入れる際、最初から工具を使って強引に回してしまうと、柔らかいオイルパン側のネジ山を削りながら入っていってしまいます。これをしてしまうと、二度とボルトが真っ直ぐ入らなくなり、オイル漏れが止まらなくなります。修理にはオイルパンの交換が必要になり、数万円の出費を強いられることになります。
対策は非常にシンプルです。「最初は必ず指先で、スルスルと回らなくなるまで締める」ことを徹底してください。指で軽く回らないようであれば、角度がずれている証拠です。一度抜いて、角度を調整してやり直しましょう。指で最後まで締まってから、仕上げにレンチを使うという手順を絶対に守ってください。この一手間が、あなたの愛車を大きな故障から守ります。
また、古いボルトにゴミや砂が付着したまま取り付けるのもNGです。砂がネジ山に噛み込むと、それだけで摩耗の原因になります。パーツクリーナーでボルトをピカピカにしてから取り付ける習慣をつけましょう。ボルト自体も、何度も使用して頭が潰れかけているようなら、新しいものに交換することをおすすめします。
オイル漏れを防ぐためのパッキン確認
「交換が終わって数日後、駐車場に黒いシミができている」というトラブルもよくあります。この原因の多くは、ドレンパッキンの入れ忘れや、古いパッキンの固着です。特に多いのが、古いパッキンがオイルパン側に張り付いたままになっており、その上から新しいパッキンを重ねて「二重」にしてしまうケースです。こうなると密着不良を起こし、走行中の振動で確実にオイルが漏れてきます。
ドレンボルトを外した際は、必ず「古いパッキンがボルトについているか」を確認してください。もしついていなければ、オイルパン側に張り付いています。マイナスドライバーなどで軽くこじって取り外しましょう。取り付け面が平らになっていることを確認してから、新しいパッキンをセットします。小さな部品ですが、これ一つでエンジンの寿命が左右されると言っても過言ではありません。
同様に、オイルフィルターのパッキン(Oリング)にも注意が必要です。稀に、古いフィルターのゴムパッキンだけがエンジン側に残ってしまうことがあります。これに気づかずに新しいフィルターを装着すると、隙間からオイルが噴き出し、最悪の場合は車両火災の原因にもなります。フィルターを外した後は、取り付け面を指でなぞって異物がないか確認する癖をつけましょう。
ジャッキアップ時の安全確保と事故防止
DIYにおいて最も恐ろしいのは、作業中の車の落下事故です。毎年、ジャッキアップ中に車の下敷きになるという悲しい事故が報告されています。これらはすべて「安全手順の省略」が原因です。「ちょっとした作業だから」「少しの間だから」という油断が、取り返しのつかない事態を招きます。自分自身の命を守るために、安全対策にだけは過剰すぎるほどのお金と時間をかけてください。
車体を持ち上げる際は、必ず平坦で硬い地面(コンクリートなど)を選びます。砂利道や傾斜地でのジャッキアップは絶対に避けてください。ジャッキが滑ったり、土に埋まったりして不安定になるからです。そして、先述の通りリジットラック(馬)を必ず使用します。ジャッキの力を抜き、完全にラックに車重が乗ったことを確認し、車体を少し手で揺らしてみて、びくともしないことを確かめてから下に入ります。
また、万が一の備えとして、外したタイヤを車体の下に置いておくというテクニックもあります。もしジャッキとラックの両方が外れても、タイヤの厚みがストッパーとなり、身体が挟まれるのを防いでくれる可能性があるからです。DIYは「自分の責任で行うもの」ですが、それは「命を危険にさらして良い」という意味ではありません。安全な道具を正しく使い、家族を悲しませないように作業を楽しみましょう。
【トラブルを防ぐチェックリスト】
□ ドレンボルトは手でスルスルと回したか?
□ 古いパッキンが残っていないか確認したか?
□ リジットラック(馬)は正しくかかっているか?
□ オイルフィラーキャップは最後に確実に締めたか?
まとめ:オイル交換をDIYの道具で安全に行い愛車を長持ちさせよう
オイル交換のDIYは、正しい道具を揃えて手順を守れば、初心者でも決して難しい作業ではありません。自分でオイルを選び、手を動かしてメンテナンスを行うことで、車が発する小さなサインに気づけるようになり、結果として愛車をより長く、良いコンディションで維持できるようになります。まずは基本となるジャッキ、リジットラック、レンチ、そして廃油処理箱といった道具を揃えるところから始めてみましょう。
最初はお金がかかるように思えるかもしれませんが、一度道具を揃えてしまえば、次からはオイル代とフィルター代だけで済みます。お店に任せるよりもずっと安く、しかもよりグレードの高いオイルを選べるようになるのは大きな魅力です。何より、自分の手で愛車をケアした後の達成感と、エンジンがスムーズに回る心地よさは、DIYでしか味わえない格別な体験です。
作業の際は、何よりも安全を第一に考えてください。道具を正しく使い、確認作業を怠らなければ、オイル交換はあなたのカーライフをより豊かにしてくれる素晴らしい趣味になります。この記事で紹介した内容を参考に、ぜひ次の休日、愛車のオイル交換にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。自分で手をかけた愛車でのドライブは、いつもよりずっと楽しく感じられるはずです。





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