プリウス40と50の違いを比較!購入前に知りたい7つのポイント

車種別インプレッション

トヨタの人気ハイブリッドカー「プリウス」。中古車市場でも非常に人気の高い車種ですが、「40」と「50」という数字を見かけて、その違いがよくわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。実は、プリウス40系(通称:プリウスα)と50系(4代目プリウス)は、名前は似ていますが全く異なるコンセプトで開発されたクルマです。

40系は広い室内空間が魅力のステーションワゴン、対して50系は燃費性能と走りを追求したセダンタイプとなっています。 この記事では、そんなプリウス40系と50系の違いを、デザインやサイズ、燃費、安全性能など様々な角度から、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。この記事を読めば、どちらが自分のライフスタイルに合っているのかが明確になり、後悔しないクルマ選びができるはずです。

プリウス40と50の基本的な違いとは?

まずはじめに、プリウス40(プリウスα)と50系プリウスがそれぞれどのようなクルマなのか、基本的な違いから見ていきましょう。この2台は、名前こそ似ていますが、実はボディタイプや開発された目的が大きく異なります。

そもそもプリウス40(プリウスα)はどんな車?

プリウス40系とは、一般的に「プリウスα(アルファ)」という名前で販売されていたモデルを指します。

3代目プリウス(30系)をベースに開発されたステーションワゴンで、2011年から2021年まで販売されていました。 最大の特徴は、プリウスの優れた燃費性能はそのままに、より広い室内空間と荷室を実現した点です。

乗車定員は、5人乗りの2列シート仕様と、7人乗りの3列シート仕様の2種類が用意されており、特にファミリー層から高い人気を集めました。 広い室内空間を活かした多彩なシートアレンジが可能で、たくさんの荷物を積んだり、大人数でのお出かけにも対応できる実用性の高さが魅力です。 まさに、プリウスに「プラスアルファ」の価値を加えた一台と言えるでしょう。

50系プリウスはどんな車?

一方の50系プリウスは、2015年から2022年まで販売されていた4代目のプリウスです。

こちらはプリウスαのような派生モデルではなく、プリウス本流のセダン(正確にはハッチバックセダン)タイプとなります。 50系プリウスの最大の特徴は、トヨタの新しいクルマづくりの設計思想である「TNGA(Toyota New Global Architecture)」プラットフォームを初めて採用したことです。

これにより、従来モデルに比べてボディ剛性が大幅に向上し、低重心化を実現。その結果、燃費性能の向上はもちろん、走行安定性や乗り心地、静粛性といったクルマの基本性能が飛躍的に進化しました。 また、個性的で先進的なエクステリアデザインも大きな話題となりました。 燃費の良さだけでなく、走りやデザインにもこだわりたいというユーザーの期待に応えたモデルです。

ボディタイプとコンセプトの根本的な違い

ここまで見てきたように、プリウス40と50の最も大きな違いは、そのボディタイプと開発コンセプトにあります。

プリウス40(プリウスα):ステーションワゴン。広い室内空間と積載能力を重視したファミリー向け・実用性重視のモデル。
50系プリウス:セダン(ハッチバック)。燃費性能、走行性能、デザイン性を高次元でバランスさせた次世代のエコカーを目指したモデル。

つまり、「プリウス」という名前は共通していますが、40系は「広さ」を、50系は「走り」と「燃費」をそれぞれ追求した、全く異なるクルマなのです。 この根本的な違いを理解することが、両者を比較する上での最初のステップとなります。

【外観・内装】デザインとサイズ感の違いを比較

クルマ選びにおいて、見た目のデザインや車内の広さは非常に重要なポイントです。ここでは、プリウス40(プリウスα)と50系プリウスのエクステリア(外観)とインテリア(内装)、そしてボディサイズや荷室の使い勝手を詳しく比較していきます。

エクステリア(外観)デザインの比較

プリウス40(プリウスα)と50系プリウスは、デザインの方向性が大きく異なります。

プリウス40(プリウスα)は、ベースとなった30系プリウスの面影を残しつつ、ワゴンらしい伸びやかで落ち着いたデザインが特徴です。全体的に丸みを帯びたフォルムで、誰にでも受け入れられやすい、親しみやすい雰囲気を持っています。2014年のマイナーチェンジでヘッドライトなどがよりシャープなデザインに変更されましたが、基本的なコンセプトは維持されました。

一方、50系プリウスは、TNGAプラットフォームによる低重心な骨格を活かした、アグレッシブで先進的なデザインが特徴です。 特に前期モデルは、シャープなヘッドライトやつり上がったテールランプなど、一度見たら忘れられない個性的なデザインで大きな話題となりました。 2018年のマイナーチェンジで後期モデルとなり、より洗練された親しみやすいデザインに変更されましたが、未来的なイメージは健在です。

ボディサイズと取り回しの違い

当然ながら、ステーションワゴンのプリウスαの方が、セダンタイプの50系プリウスよりも一回り大きなボディサイズとなっています。

車種 全長 全幅 全高
プリウス40(プリウスα) 4,615-4,645mm 1,775mm 1,575mm
50系プリウス 4,540-4,575mm 1,760mm 1,470-1,475mm

(※グレードや年式により数値は異なります)

プリウスαは50系に比べて、全長で約55mm、全高で約105mm大きくなっています。 このサイズの違いが、室内の広さに直結しています。ただし、全幅はほとんど変わらないため、運転席からの見晴らしはプリウスαの方が高いものの、車幅感覚は近いかもしれません。

小回りのしやすさを示す「最小回転半径」については、プリウスαが5.5m〜5.8mであるのに対し、50系プリウスは5.1m〜5.4mと小さくなっています。このため、

狭い道でのUターンや車庫入れなど、取り回しのしやすさでは50系プリウスに軍配が上がります。

インテリア(内装)と室内の広さの比較

インテリアデザインにおいても、両者のコンセプトの違いが表れています。

プリウス40(プリウスα)のインテリアは、シンプルで機能的なデザインです。 センターメーター(速度計などが中央に配置される)を採用し、開放感のある室内空間を演出しています。 やはり特筆すべきはその後部座席の広さです。 天井が高く、足元スペースにもゆとりがあるため、大人が乗っても快適に過ごすことができます。

50系プリウスのインテリアは、先進的でドライバーを包み込むようなデザインが特徴です。こちらもセンターメーターを採用していますが、カラー液晶のメーターなど、より未来的な印象を与えます。質感も40系に比べて向上しており、上質さを感じさせます。TNGAプラットフォームによる低重心化の影響で、天井は40系より低いものの、大人4人が乗るには十分なスペースが確保されています。

荷室(ラゲージスペース)の容量と使い勝手

クルマの使い勝手を大きく左右する荷室(ラゲージスペース)の容量は、プリウスαが圧倒的に有利です。

車種 乗車定員 荷室容量
プリウス40(プリウスα) 5人乗り 535L
プリウス40(プリウスα) 7人乗り(3列目収納時) 505L
50系プリウス 5人乗り 502L

(※数値はVDA法による測定値)

5人乗り仕様で比較すると、プリウスαは50系よりも33L大きい容量を誇ります。 さらに、プリウスαは開口部が広く、床面もフラットなため、大きな荷物の積み下ろしが非常に楽です。 後部座席を倒せば、さらに広大なスペースが出現し、自転車やキャンプ用品などの長尺物も余裕で積むことができます。

一方、50系プリウスもハッチバックのため荷室は広く、日常的な買い物やゴルフバッグなどを積むには十分な容量を持っています。しかし、高さのある荷物や、より多くの荷物を積みたい場合には、プリウスαの使い勝手の良さが際立つでしょう。

【燃費・走行性能】ハイブリッドシステムと走りの違い

ハイブリッドカーの代名詞であるプリウス。燃費性能はもちろん、走りや乗り心地もクルマ選びの重要な要素です。ここでは、プリウス40(プリウスα)と50系プリウスの心臓部であるハイブリッドシステムと、それに伴う走行性能の違いについて掘り下げていきます。

カタログ燃費と実燃費の比較

燃費性能は、プリウスを選ぶ上で最も気になるポイントの一つでしょう。結論から言うと、燃費性能では50系プリウスが圧倒的に優れています。

車種 カタログ燃費(JC08モード) カタログ燃費(WLTCモード)
プリウス40(プリウスα) 26.2km/L
50系プリウス 34.0~40.8km/L 27.2~32.1km/L

(※グレードや駆動方式により数値は異なります)

プリウスαの燃費もステーションワゴンとしては非常に優れていますが、50系プリウスはそれを大きく上回ります。 これは、50系に搭載されたハイブリッドシステムがより高効率化されたことに加え、TNGAプラットフォームによる軽量化や空力性能の向上が大きく貢献しています。

実際の燃費(実燃費)も、このカタログ燃費の差に比例する傾向があります。運転スタイルや道路状況によって変動しますが、一般的に50系プリウスの方がリッターあたり数km良い燃費を記録することが多いようです。

パワートレインと走行性能の違い

走行性能においても、両者には明確な違いがあります。

プリウス40(プリウスα)のハイブリッドシステムは、3代目プリウス(30系)のものをベースとしています。 実績のある信頼性の高いシステムで、街乗りから高速道路までスムーズで静かな走りを提供します。 しかし、ボディが大きく重いため、加速時にはややエンジン音が気になる場面や、力不足を感じるという声も聞かれます。

一方、50系プリウスは、ハイブリッドシステムを全面的に刷新。 エンジンの熱効率向上や、モーター、バッテリーの小型・軽量化により、システム全体で効率が大幅にアップしました。 これにより、燃費性能の向上はもちろん、よりダイレクトで気持ちの良い加速フィールを実現しています。TNGAプラットフォームによる低重心化と高剛性ボディも相まって、カーブなどでも安定したスポーティーな走りを楽しむことができます。

乗り心地と静粛性の違い

乗り心地と静粛性に関しても、TNGAプラットフォームの恩恵を受けた50系プリウスに軍配が上がります。

プリウス40(プリウスα)の乗り心地は、ファミリーユースを想定した比較的ソフトな設定です。 静粛性も高く、快適な室内空間を提供しますが、路面の凹凸を拾った際の揺れがやや大きいと感じる場合があるかもしれません。

対して50系プリウスは、TNGAプラットフォームと新開発のサスペンションにより、しなやかで安定感のある乗り心地を実現しています。 路面からの衝撃をうまくいなし、高速走行時でもフラットな姿勢を保ちます。また、ボディの気密性向上や遮音材の最適配置により、静粛性も大幅に向上しており、長距離ドライブでも疲れにくい上質な移動空間を提供してくれます。

【安全性能・装備】先進技術の進化を比較

クルマの安全性は、年々進化しています。特に2010年代は、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備が急速に普及した時代です。ここでは、プリウス40(プリウスα)と50系プリウスの安全性能や快適装備の違いを見ていきましょう。

安全装備「Toyota Safety Sense」の世代の違い

両者を比較する上で最も大きな違いの一つが、先進安全装備パッケージ「Toyota Safety Sense」の世代です。

プリウス40(プリウスα)は、2017年11月の改良で「Toyota Safety Sense P」が全車標準装備となりました。 これには、歩行者検知機能付きの衝突被害軽減ブレーキや、車線逸脱を警告する機能、レーダークルーズコントロールなどが含まれます。 しかし、それ以前のモデルには装備されていない、あるいはオプション設定の場合があるため、中古車を選ぶ際には注意が必要です。

一方、50系プリウスは、発売当初から「Toyota Safety Sense P」を多くのグレードで標準装備またはオプション設定していました。 さらに、2018年12月のマイナーチェンジで全車標準装備となり、機能も向上。 2020年7月以降のモデルでは、夜間の歩行者や昼間の自転車運転者も検知可能になるなど、より高度な安全性能を備えています。

より新しい世代の安全装備を求めるのであれば、50系プリウス、特に後期モデルが有利と言えます。

快適装備やオプションの違い

安全装備だけでなく、車内での快適性を高める装備にも違いが見られます。

50系プリウスには、ヘッドアップディスプレイ(運転に必要な情報をフロントガラスに表示する機能)や、おくだけ充電(スマートフォンのワイヤレス充電機能)といった、40系にはない先進的な快適装備が設定されています。 また、カーナビゲーションシステムも、50系の方がより大型のディスプレイを搭載できるモデルが多くなっています。

プリウス40(プリウスα)には、トヨタ初の樹脂製パノラマルーフという魅力的なオプションが設定されていました。 これは、後部座席まで広がる大きなガラスルーフで、室内に圧倒的な開放感をもたらしてくれます。この装備は中古車市場でも人気が高いため、開放感を重視する方はパノラマルーフ装着車を探してみるのも良いでしょう。

グレード構成とそれぞれの特徴

プリウス40(プリウスα)、50系プリウスともに、いくつかのグレードが設定されています。

プリウス40(プリウスα)の主なグレードは、ベーシックな「S」と上級の「G」です。 これらに加え、スポーティーな内外装を持つ「ツーリングセレクション」や、より装備を簡略化したビジネス向けの「S”Lセレクション”」などが存在します。 また、GAZOO Racingが手掛けたスポーティモデル「GR SPORT」も設定されていました。

50系プリウスの主なグレードは、燃費スペシャルモデルの「E」、標準の「S」、上級の「A」、最上級の「Aプレミアム」です。 「S」と「A」にはそれぞれ「ツーリングセレクション」が設定されています。上級グレードになるほど、安全装備や快適装備が充実していきます。 特に、先進安全装備の多くが標準装備となる「A」グレード以上は、中古車市場でも人気が高い傾向にあります。

【価格】中古車相場と購入時のポイント

ここまで様々な違いを見てきましたが、最終的に気になるのは価格でしょう。ここでは、プリウス40(プリウスα)と50系プリウスの現在の中古車相場と、購入する際にチェックしておきたいポイントを解説します。

プリウス40(プリウスα)の中古車相場

プリウスαは2011年から2021年までと長期間販売されていたため、中古車市場での価格帯は非常に幅広くなっています。

  • 中古車相場:約30万円~300万円

年式の古い初期モデルであれば100万円以下で手に入る個体も多く、非常にリーズナブルです。 一方、2014年のマイナーチェンジ後のモデルや、走行距離の少ない高年式のモデルは、200万円前後で取引されることもあります。 5人乗りか7人乗りかによっても価格は変動します。 予算に合わせて幅広い選択肢から選べるのがプリウスαの魅力です。

50系プリウスの中古車相場

50系プリウスはプリウスαよりも新しいモデルのため、中古車相場もやや高めの価格帯で推移しています。

  • 中古車相場:約100万円~350万円

特に、デザインが大きく変更された2018年12月以降の後期モデルは人気が高く、価格も高値を維持しています。 逆に、前期モデルであれば100万円台前半から狙うことも可能になってきました。 燃費性能や走行性能の高さを考えると、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。

購入時にチェックすべきポイントと選び方

中古でハイブリッドカーを購入する際には、いくつか共通の注意点があります。

チェックすべきポイント
駆動用バッテリーの状態: ハイブリッドカーの心臓部であるバッテリーは消耗品です。 極端に走行距離が多い車両や、年式が古い車両はバッテリーの劣化が進んでいる可能性があります。保証の有無や、交換履歴などを確認すると安心です。
事故歴・修復歴の有無: クルマの骨格部分を修理した「修復歴車」は、走行に支障をきたす可能性があるため、避けるのが無難です。
*メンテナンス履歴: 定期的に点検・整備が行われてきたかどうかがわかる、整備記録簿を確認しましょう。

これらのポイントを踏まえた上で、どちらのモデルを選ぶべきか、ライフスタイル別におすすめをまとめました。

  • プリウス40(プリウスα)がおすすめな人
    • 家族で乗ることが多い、多人数での移動機会がある
    • キャンプやアウトドアなど、たくさんの荷物を積みたい
    • 広い室内空間と実用性を重視する
    • 予算を抑えて、状態の良い中古車を探したい
  • 50系プリウスがおすすめな人
    • 最新の燃費性能を重視する
    • 運転の楽しさ、スポーティーな走りを求めたい
    • より進んだ安全装備を重視する
    • 先進的で個性的なデザインが好き

まとめ:プリウス40と50の違いを理解して最適な一台を選ぼう

今回は、プリウス40(プリウスα)と50系プリウスの違いについて、様々な角度から詳しく解説しました。

最後に、この記事の要点を振り返ってみましょう。

  • コンセプトの違い: プリウス40(プリウスα)は「広さと実用性のステーションワゴン」、50系プリウスは「燃費と走りのセダン」という根本的な違いがある。
  • サイズと空間: 全体的にボディサイズが大きく室内が広いのはプリウスα。特に後部座席の居住性や荷室の容量は圧倒的。
  • 燃費と走行性能: 燃費の良さ、走りの楽しさ、乗り心地の質では、新しい設計の50系プリウスが大きくリード。
  • 安全性能: より新しく、高機能な先進安全装備を求めるなら50系プリウスが有利。
  • 中古車価格: 予算を抑えたいならプリウスα、最新性能を求めるなら50系プリウスが選択肢となるが、どちらも幅広い価格帯から選ぶことが可能。

このように、プリウス40と50は、それぞれに異なる魅力を持ったクルマです。どちらが良い・悪いということではなく、ご自身のライフスタイルやクルマに何を求めるかによって、最適な選択は変わってきます。ぜひこの記事を参考に、自分にぴったりの一台を見つけて、快適なカーライフを送ってください。

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