子育て世代に人気のコンパクトカー、ホンダ・フィット。燃費の良さや運転のしやすさから多くの方に選ばれていますが、「チャイルドシートを設置すると狭いのでは?」という不安の声も聞かれます。特にお子様が2人、3人と増えるご家庭では、後部座席のスペースは切実な問題です。コンパクトな車内空間を最大限に活用し、お子様と安全で快適なカーライフを送るためには、チャイルドシートの選び方や設置方法に少し工夫が必要です。
この記事では、フィットの後部座席の広さの実情から、狭いと感じさせないコンパクトなチャイルドシートの選び方、家族構成に合わせた設置のコツまで、分かりやすく解説します。実際にフィットを利用しているユーザーの声も交えながら、あなたの疑問や不安を解消していきます。
フィットのチャイルドシートは狭い?後部座席の広さと実情

ホンダ・フィットは、コンパクトカーの中でも室内空間の広さに定評があります。 しかし、実際にチャイルドシートを設置した場合、そのスペース感はどのように変わるのでしょうか。ここでは、フィットの室内寸法や後部座席の特徴、そして実際にチャイルドシートを設置したユーザーのリアルな声をご紹介します。
ホンダ・フィットの室内寸法と後部座席の特徴
フィットの室内寸法は、室内長1,955mm、室内幅1,445mm、室内高1,260mm(現行モデル参考値)となっており、コンパクトカーとしては広々とした空間が確保されています。 特に、ホンダ独自の「センタータンクレイアウト」技術により、後部座席の足元空間にゆとりが生まれているのが大きな特徴です。 これにより、チャイルドシートを設置しても、前の座席との間に十分なスペースを確保しやすくなっています。
後部座席の横幅は約1,300mm程度で、大人2人が座るには十分な広さです。 しかし、大人3人が座ると少し肩が触れ合うくらいのスペース感になります。 この横幅が、チャイルドシートを複数設置する際の重要なポイントとなります。
チャイルドシートを1台設置した場合のスペース感
チャイルドシートを1台設置する場合、フィットの後部座席は決して狭いと感じることは少ないでしょう。特にISOFIX(アイソフィックス)対応のチャイルドシートであれば、後部座席の左右どちらかの席にしっかりと固定できます。
ただし、大型の回転式チャイルドシートなどを設置した場合、助手席のスライド位置によっては、前席とチャイルドシートが干渉してしまうことがあります。 そのような場合は、助手席を少し前に出すなどの調整が必要になります。 チャイルドシートを設置した隣に大人が座る場合も、チャイルドシートのサイズによっては少し窮屈に感じる可能性があります。
実際にフィットに設置したユーザーの声(メリット・デメリット)
実際にフィットにチャイルドシートを設置しているユーザーからは、様々な声が聞かれます。
メリット
- 「コンパクトカーなのに後部座席が広くて、チャイルドシートを乗せても圧迫感がない」
- 「足元が広いので、子供の乗り降りがさせやすい」
- 「ISOFIX対応なので、取り付けが簡単でしっかり固定できる」
デメリット
- 「回転式の大きなチャイルドシートだと、助手席を前に出さないとリクライニングできない」
- 「チャイルドシートを2台乗せると、真ん中の席は座れない」
- 「3人乗車は厳しい。特に大人2人とチャイルドシートだと、後部座席はかなり窮屈」
フィットに最適なチャイルドシートの選び方

フィットの限られたスペースを有効に活用するためには、チャイルドシート選びが非常に重要です。ここでは、フィットに最適なチャイルドシートを選ぶための4つの重要なポイントを解説します。
【最重要】コンパクトなモデルを選ぶ
フィットの車内に合わせるためには、横幅ができるだけスリムな、コンパクト設計のチャイルドシートを選ぶことが最も重要です。 特に後部座席にチャイルドシートを2台設置したり、チャイルドシートの隣に大人が座ったりする可能性がある場合は、横幅45cm前後のモデルを目安に探すと良いでしょう。
軽量・コンパクトなモデルは、付け替えが必要な場合や、カーシェアリングなどを利用する際にも持ち運びが楽というメリットがあります。
回転式?固定式?それぞれのメリット・デメリット
チャイルドシートには、座席部分が回転する「回転式」と、回転しない「固定式」があります。 それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身の使い方に合ったタイプを選びましょう。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 回転式 | ・ドア側にシートを向けられるため、子供の乗せ降ろしが非常に楽 ・狭い場所でもスムーズに乗せ降ろしができる |
・構造が複雑なため、本体が大きく重くなりがち ・固定式に比べて価格が高めな傾向がある ・シートが大きいため、車内スペースをより多く占有することがある |
| 固定式 | ・構造がシンプルなため、軽量でコンパクトなモデルが多い ・回転式に比べて価格が手頃な傾向がある ・付け替えや持ち運びがしやすい |
・後向きで使用する際、シートベルトが邪魔になり乗せ降ろしがしにくい場合がある ・乗せ降ろしの際に、大人が車内に入り込む姿勢になるため少し大変 |
フィットのように車内空間が限られている場合、乗せ降ろしのしやすさを重視するなら回転式、スペースの確保や付け替えの頻度を重視するならコンパクトな固定式がおすすめです。
安全基準(R129)とISOFIX対応の確認
お子様の命を守るチャイルドシート選びで絶対に外せないのが、安全性です。現在のチャイルドシートの安全基準には「R44」と、より厳しい新安全基準「R129(i-Size)」があります。
従来の前後からの衝突試験に加え、側面衝突への安全性を高めた新しい基準です。 また、これまで体重を目安にしていたのに対し、より個人差の少ない「身長」を基準にチャイルドシートを選ぶようになった点も大きな特徴です。 これから購入するなら、より安全性の高いR129適合モデルを選ぶことを強くおすすめします。
取り付け方法(ISOFIX vs シートベルト固定)を理解する
チャイルドシートの車への取り付け方法は、主に「ISOFIX(アイソフィックス)固定」と「シートベルト固定」の2種類があります。
- ISOFIX固定: 車の座席に装備された専用の金具に、チャイルドシートのコネクターを連結して固定する方法です。
- メリット: 簡単かつ確実に取り付けができ、ミスユース(取り付け間違い)が少ない。
- デメリット: 対応車種でないと使用できない。シートベルト固定式に比べて価格が高い傾向がある。
- シートベルト固定: 車両の3点式シートベルトを使ってチャイルドシートを固定する方法です。
- メリット: ほとんどの車種に対応しており汎用性が高い。ISOFIXモデルより価格が手頃なものが多い。
- デメリット: 取り付けが複雑で、間違って装着してしまう「ミスユース」が起こりやすい。
2012年7月以降に発売された車にはISOFIXの取り付け金具の装備が義務化されているため、多くのフィットで利用可能です。 安全性と確実性を重視するなら、ISOFIX固定タイプが断然おすすめです。フィットでは、後部座席の外側2座席にISOFIX金具が装備されています。
【タイプ別】フィットにおすすめのチャイルドシート

ここでは、フィットの限られたスペースでも快適に使える、おすすめのチャイルドシートをタイプ別にご紹介します。選ぶ際は、必ずご自身のフィットの年式や型式に適合しているか、メーカーの公式サイトなどで確認してください。
新生児から使える回転式モデル
乗せ降ろしのしやすさを最優先したい方におすすめなのが、新生児から使える回転式モデルです。ドア側にシートを回転させることで、無理な姿勢になることなく、スムーズにお子様を乗せ降ろしできます。 フィットのようなコンパクトカーでは、この機能が特に重宝します。選ぶ際は、できるだけ座面が低く、コンパクトに設計されているモデルを選ぶと、車内での圧迫感を軽減できます。
おすすめモデル例
- コンビ クルムーヴ スマート: コンパクトな設計ながら、衝撃吸収素材「エッグショック」を搭載し、安全性と快適性を両立しています。
- アップリカ フラディア グロウ: 平らなベッド型になるのが特徴で、首がすわる前の赤ちゃんも安心して乗せられます。
- Joie (ジョイー) i-Arc360°(アイ・アーク360°): R129に適合しており、リーズナブルな価格帯でありながら高い安全性を確保しています。
省スペースで使いやすい固定式モデル
チャイルドシートを複数台設置する予定がある方や、少しでも車内を広く使いたい方には、コンパクトな固定式モデルがおすすめです。回転式に比べて構造がシンプルなため、横幅がスリムな製品が多く、軽量で付け替えも比較的簡単です。 後ろ向きで設置する新生児期は乗せ降ろしに少し工夫が必要ですが、スペース効率の高さは大きな魅力です。
おすすめモデル例
- レカロ Salia 125 (サリア 125): R129適合のモデルで、側面保護機能も充実。スリムな設計でフィットにも収まりやすいのが特徴です。
- 日本育児 ノヴァ: コンパクトで軽量ながら、R129に適合したモデル。カーシェアや実家の車への付け替えが多い方にも便利です。
長く使えるジュニアシート兼用モデル
お子様の成長に合わせて長く使えるチャイルド・ジュニアシート兼用モデルも人気です。 1歳頃から11歳頃まで使えるものが多く、買い替えの手間とコストを抑えることができます。これらのモデルは前向きで使用するため、新生児用のチャイルドシートに比べてコンパクトな製品が多いのも特徴です。お子様が1歳を過ぎてからの購入を検討している方におすすめです。
おすすめモデル例
- アップリカ フォームフィット: R129適合で、お子様の成長に合わせて10段階で高さ調節が可能。常に体にフィットさせて安全性を保ちます。
- コンビ ジョイトリップ: ドリンクホルダーが付いているなど、使い勝手の良さが魅力。軽量設計で取り付けも簡単です。
おすすめチャイルドシート比較表
| タイプ | モデル名 | 特徴 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 回転式 | コンビ クルムーヴ | コンパクト設計、エッグショック搭載 | 乗せ降ろしのしやすさと安全性を両立したい人 |
| 回転式 | アップリカ フラディア グロウ | 平らなベッド型になる | 新生児の快適性と安全性を最優先したい人 |
| 固定式 | レカロ Salia 125 | R129適合、側面保護機能、スリム設計 | 安全性と省スペースを重視する人 |
| 兼用 | アップリカ フォームフィット | 1歳頃から長く使える、R129適合 | コストを抑えつつ、安全なモデルを選びたい人 |
家族構成別!フィットのチャイルドシート複数設置ガイド
お子様が2人、3人と増えた場合、フィットの車内レイアウトはどのように工夫すればよいのでしょうか。ここでは、家族構成に合わせたチャイルドシートの複数設置パターンと注意点を解説します。
チャイルドシート2台を設置する場合のレイアウト
お子様2人(チャイルドシート2台)と大人2人が乗車する場合、最も一般的なレイアウトは後部座席の左右に1台ずつチャイルドシートを設置する方法です。 フィットの後部座席には左右両方にISOFIXアンカーが装備されているため、ISOFIX対応のチャイルドシートであれば、このレイアウトが最も安全かつ確実に取り付けられます。
この場合、後部座席の中央席は非常に狭くなるため、大人が座ることは困難です。 緊急時や短距離の移動であれば座れる可能性もありますが、長距離の移動は厳しいでしょう。荷物置き場として活用するのが現実的です。
2台のチャイルドシートを選ぶ際は、できるだけ横幅がコンパクトなモデルを選ぶことで、中央のスペースを少しでも確保できます。また、後部座席中央はISOFIX非対応のため、シートベルト固定式のコンパクトなチャイルドシートやジュニアシートを組み合わせるという方法も考えられます。
チャイルドシート3台は可能?現実的な方法と注意点
フィットの後部座席にチャイルドシートを3台設置するのは、非常に困難ですが、チャイルドシートの組み合わせによっては不可能ではありません。 しかし、そのためにはいくつかの条件と注意点があります。
まず、横幅が非常にスリムなチャイルドシートを3台選ぶ必要があります。目安として、横幅44cm以下のモデルを組み合わせるなどの工夫が求められます。
レイアウト例:
- 後部座席の左右にISOFIX固定のチャイルドシートを設置
- 中央にシートベルト固定式の非常にスリムなジュニアシート(ブースタータイプなど)を設置
注意点:
- 安全性の確保: 3台をぎりぎりで設置すると、それぞれのチャイルドシートが正しく機能しない可能性があります。特にシートベルトのバックルがチャイルドシート本体に隠れてしまい、しっかりと固定できないケースに注意が必要です。
- 法律上の定員: フィットの乗車定員は5名です。 大人2人と子供3人(チャイルドシート3台)で定員いっぱいになります。
- 実用性: 3台設置すると、後部座席は完全に埋まってしまい、荷物を置くスペースもなくなります。乗り降りも非常に大変になるでしょう。
現実的には、日常的に3台のチャイルドシートを使用する場合、フィットでは手狭に感じることが多く、ミニバンなどより大きな車への乗り換えを検討する方が多いようです。
チャイルドシートと大人が後部座席に座る場合の工夫
後部座席にチャイルドシート1台と大人2人が座る場合、フィットではかなり窮屈になります。 大人が2人とも体格が良い場合は、現実的ではないかもしれません。
このレイアウトで少しでも快適に乗るためには、以下の工夫が考えられます。
- チャイルドシートの位置: チャイルドシートを左右どちらかのドア側に設置します。中央席はISOFIX非対応で、シートベルト固定も不安定になりやすいため、ドア側が推奨されます。
- コンパクトなチャイルドシートを選ぶ: やはり、横幅がスリムなチャイルドシートを選ぶことが最も効果的です。
- 座る順番: チャイルドシートの隣(中央席)に小柄な方が座り、もう一人の大人が反対側のドア際に座るようにすると、多少スペースに余裕が生まれます。
短時間の移動であれば可能かもしれませんが、長距離のドライブでは全員にとって負担が大きくなる可能性があります。
まとめ:フィットが狭いと感じさせないチャイルドシート選びと工夫

ホンダ・フィットは、コンパクトカーでありながら優れた居住性を持つ車ですが、チャイルドシートの設置、特に複数台となると「狭い」と感じる場面も出てきます。 しかし、いくつかのポイントを押さえることで、その限られたスペースを最大限に活用し、快適なカーライフを送ることが可能です。
この記事の要点を以下にまとめます。
- フィットの後部座席はコンパクトカーとしては広いが、チャイルドシートのサイズや数によっては工夫が必要。
- チャイルドシート選びでは、横幅がスリムなコンパクトモデルを選ぶことが最も重要。
- 安全性のため、新安全基準「R129」に適合し、簡単・確実に取り付けられる「ISOFIX」対応モデルがおすすめ。
- 乗せ降ろしのしやすさを取るなら「回転式」、スペース効率なら「固定式」と、ライフスタイルに合わせて選ぶ。
- 家族構成に合わせてレイアウトを工夫する。チャイルドシート2台までは現実的だが、3台は非常に厳しい。
最終的には、お子様の安全が最優先です。この記事を参考に、ご自身のフィットとご家族にぴったりのチャイルドシートを見つけ、安全で楽しいお出かけを楽しんでください。



コメント