高級セダンとして知られる220クラウン。「こんな素敵な車で車中泊ができたら、旅がもっと楽しくなるだろうな」と考えたことはありませんか? 静粛性の高い室内、安定した乗り心地は、まるで移動できるプライベートルームのよう。
しかし、セダンという形状から「本当に車中泊なんてできるの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。結論から言うと、工夫次第で220クラウンでも快適な車中泊は可能です。この記事では、220クラウンで車中泊をするための具体的なシートアレンジの方法から、寝心地を格段にアップさせる便利グッズ、そして安全に楽しむための注意点まで、わかりやすく解説していきます。あなたのクラウンが、最高の旅の相棒になるヒントがきっと見つかりますよ。
220クラウンで快適な車中泊は実現できる?

220クラウンの室内サイズと特徴
220クラウン(2018年~)の室内寸法は、室内長1,980mm × 室内幅1,500mm × 室内高1,185mmです。 この数値だけ見ると、大人でも足を伸ばして寝るスペースはじゅうぶんにありそうに思えます。しかし、これはあくまでカタログ上の最大値。実際には運転席や助手席、そして後部座席が配置されているため、そのまま横になれるわけではありません。
220クラウンの大きな特徴は、高級セダンならではの高い静粛性と乗り心地の良さです。 これは車中泊において大きなアドバンテージとなります。外部の騒音が気になりにくく、落ち着いた環境で休むことができるでしょう。また、トランクは独立しており、ゴルフバッグが複数収納できるほどの容量はありますが、ハイブリッドモデルはバッテリー搭載位置の関係で、ガソリンモデルより若干容量が小さくなる点には注意が必要です。
シートアレンジとフルフラット化の可否
セダンでの車中泊において最も重要なのが、いかにして平らな就寝スペースを作り出すか、という点です。残念ながら、220クラウンの後部座席は背もたれを倒してトランクと繋げる「トランクスルー」機能がなく、完全なフルフラットにすることはできません。 これは、ボディ剛性の確保や後部座席の快適性を優先した設計のためと考えられます。
そのため、220クラウンで就寝スペースを確保するには、前席(助手席)を最大限リクライニングし、後部座席との段差を埋めるという方法が基本になります。 具体的な手順としては、まず助手席のヘッドレストを外し、シートを一番前にスライドさせます。その状態で背もたれを最大限後ろに倒しますが、完全な水平にはなりません。 この時にできる助手席の背もたれと後部座席の座面の間にできる大きな段差と凹凸を、これから紹介する方法で解消していく必要があります。
セダンならではのメリット・デメリット
220クラウンのようなセダンで車中泊をすることには、メリットとデメリットの両方があります。これらを理解しておくことで、より計画的に準備を進めることができます。
メリット
- 高い静粛性: ミニバンやSUVに比べて車外の音が気になりにくく、静かな環境で眠りやすいです。
- 走行安定性: 長距離の移動でも疲れにくく、目的地まで快適なドライブが楽しめます。
- 燃費性能: 特にハイブリッドモデルは燃費が良く、旅のコストを抑えることができます。
- 目立ちにくい: いかにも「車中泊しています」という外観ではないため、場所によっては周囲に溶け込みやすい場合があります。
デメリット
- スペースの制約: 室内高が低く、フルフラットにならないため、どうしても圧迫感があり、寝返りなどがしにくいです。
- 段差の発生: 快適に寝るためには、シート間の段差を埋める工夫が必須となります。
- 荷物の置き場所: 就寝スペースを作ると、荷物を置く場所が限られてしまいます。
これらの点を踏まえ、次の章ではデメリットを克服し、快適な寝床を作るための具体的なステップを詳しく見ていきましょう。
車中泊の寝心地を劇的に改善する3つのステップ

220クラウンでの車中泊を成功させるには、寝心地の確保が最も重要です。ここでは、課題となるシートの段差を解消し、快適な睡眠環境を整えるための3つのステップを具体的に解説します。
【ステップ1】段差解消が快適さの第一歩
前述の通り、220クラウンは助手席をリクライニングさせても、後部座席との間に大きな段差が生まれてしまいます。この段差をいかに解消するかが、快適な睡眠への第一歩です。
まずは、助手席と後部座席の座面の間の空間を埋める必要があります。ここには、クーラーボックスや収納ボックスなど、ある程度硬さがあって高さの合うものを置くと土台として安定します。その上に、たたんだブランケットや衣類、専用のすきまクッションなどを詰めて、表面を平らに近づけていきましょう。
次に、リクライニングした助手席の背もたれと、後部座席の座面の高さの違いによって生まれる傾斜と凹凸をなだらかにします。ここには、厚手のタオルやブランケット、アウトドア用の折りたたみマットなどを重ねて調整するのがおすすめです。 特に腰やお尻が当たる部分は念入りに調整することで、体への負担を大きく減らすことができます。時間はかかりますが、このひと手間を惜しまないことが、翌朝の体の快適さに直結します。
クーラーボックスなどで大きな空間を埋める
ブランケットや衣類で細かいすき間を調整する
* 腰やお尻が当たる部分は特に念入りに
【ステップ2】マット選びでホテルのような寝心地を
段差解消の基礎工事が終わったら、次はその上にマットを敷いて、平らで快適なベッドスペースを完成させます。マットには様々な種類がありますが、220クラウンのような限られたスペースには、厚みがあり、かつ収納時にコンパクトになるインフレータブルマットやエアマットが最適です。
インフレータブルマットは、バルブを開くと自動である程度空気が入るタイプのマットで、クッション性に優れています。厚さは5cm~10cm程度のものを選ぶと、下地の多少の凹凸を吸収してくれ、快適な寝心地が得られます。一方、エアマットは完全に空気を入れて膨らませるタイプで、厚みを出しやすいのが特徴です。
どちらのタイプを選ぶにせよ、重要なのは実際に寝るスペースのサイズを測り、それに合った大きさのマットを選ぶことです。幅が広すぎると車内でうまく広げられず、逆に狭すぎると寝心地が悪くなってしまいます。購入前に、助手席を倒した状態での縦横の長さをメジャーで測っておくことを強くおすすめします。適切なマットを一枚敷くだけで、寝心地は劇的に向上します。
【ステップ3】枕と寝袋で睡眠の質を向上
快適な寝床の仕上げは、枕と寝袋(シュラフ)です。これらは睡眠の質を左右する重要なアイテムなので、妥協せずに選びたいところです。
枕は、普段使っているものを持っていくのが理想ですが、荷物になる場合は車中泊用のコンパクトなものが便利です。空気で膨らませるエアピローや、低反発素材のキャンプ用ピローなど、様々な種類があります。 首や頭が安定しないと熟睡できないため、自分に合ったものを選びましょう。クッションを枕代わりにするのも良い方法です。
寝袋は、季節に応じたものを選ぶことが絶対条件です。 夏用、冬用、3シーズン用などがあるので、車中泊をする時期の気温を想定して選びましょう。特に冬場は車の窓から冷気が伝わってくるため、保温性の高い冬用の寝袋が必須です。 布団のような感覚で使える封筒型の寝袋は、圧迫感が少なくリラックスしやすいので初心者にもおすすめです。 季節によっては、寝袋の代わりにブランケットや毛布でも十分な場合があります。
プライバシーと快適性を高める必須アイテム
快適な寝床を確保したら、次はプライバシーの確保と、季節に応じた温度管理が重要になります。ここでは、220クラウンでの車中泊をより快適で安心なものにするための必須アイテムをご紹介します。
意外と見られている?サンシェード・カーテンの重要性
車中泊をする際、外からの視線を遮ることはプライバシー保護と防犯の観点から非常に重要です。 煌々と明かりが灯るサービスエリアや道の駅などでは、車内は意外と外から見えています。リラックスして過ごすためにも、窓の目隠しは必ず行いましょう。
最も手軽で効果的なのがサンシェードです。 特に、220クラウンの窓の形にぴったり合う車種専用設計のものがおすすめです。 吸盤で簡単に取り付けられ、断熱性にも優れているため、夏は日差しを遮り、冬は冷気を防ぐ効果も期待できます。 全ての窓を覆うことで、光を遮断し、朝までぐっすり眠ることができます。
カーテンを取り付けるという方法もありますが、セダンへの設置は少し手間がかかる場合があります。サンシェードであれば、使わないときはコンパクトに収納できるため、スペースが限られる220クラウンには最適なアイテムと言えるでしょう。
夏と冬の必需品!暑さ・寒さ対策グッズ
車内は外気温の影響を受けやすく、特に夏と冬は対策が必須です。エアコンをつけっぱなしでの就寝は、騒音や環境への配慮、そして一酸化炭素中毒のリスクから避けるべきです。
夏の暑さ対策
- ポータブル扇風機・サーキュレーター: USB充電式や電池式の小型扇風機があると、車内の空気を循環させて体感温度を下げることができます。
- 冷却マット・冷感タオル: 寝具に冷感素材のものを取り入れると、寝苦しさが和らぎます。
- 車の窓用網戸(防虫ネット): 窓を少し開けて風通しを良くしたい時に、虫の侵入を防いでくれる便利グッズです。
冬の寒さ対策
- 電気毛布: ポータブル電源があれば、消費電力の少ない電気毛布を使うことができます。 寝袋の中に入れて使うと非常に暖かく、快適に眠れます。
- 湯たんぽ: 手軽に暖を取れる昔ながらのアイテムです。 寝る前にお湯を沸かして準備しておけば、朝までじんわりと暖かさが続きます。
- 断熱シート: サンシェードと同様に、窓からの冷気を遮断するのに効果的です。100円ショップなどで手に入るアルミシートを窓に貼るだけでも効果があります。
あるとないとで大違い!その他の便利グッズ
上記の必須アイテムに加えて、あるとさらに車中泊が快適になるグッズをいくつか紹介します。
- ポータブル電源: スマートフォンの充電はもちろん、電気毛布や小型の扇風機など、使える電化製品の幅が広がり、快適度が格段にアップします。
- LEDランタン: 車内の照明として必須です。 火を使わないLEDタイプなら安全で、明るさの調節ができるものが便利です。
- テーブル: 小さな折りたたみテーブルが一つあると、車内で食事をしたり、小物を置いたりするのに役立ちます。
- クーラーボックス: 食材や飲み物を保冷しておくために必要です。ソフトタイプのクーラーボックスは、使わないときに小さくたためるので便利です。
- ゴミ袋: 車内で出たゴミは必ず持ち帰るのがマナーです。 ゴミ袋を多めに用意しておきましょう。
| 季節 | 対策 | おすすめグッズ |
|---|---|---|
| 夏 | 暑さ対策 | ポータブル扇風機、冷却マット、窓用網戸 |
| 冬 | 寒さ対策 | 電気毛布(要ポータブル電源)、湯たんぽ、断熱シート |
| 通年 | 快適性向上 | ポータブル電源、LEDランタン、サンシェード |
これらのグッズを賢く活用して、220クラウンでの車中泊をより安全で快適なものにしましょう。
220クラウン車中泊の注意点とマナー

220クラウンで快適な空間が作れたとしても、安全への配慮と周囲へのマナーを守らなければ、楽しいはずの車中泊が台無しになってしまいます。最後に、安心して車中泊を楽しむために必ず守ってほしい注意点とマナーについて解説します。
エンジンはつけっぱなしでOK?アイドリングのリスク
就寝中のアイドリング(エンジンのかけっぱなし)は、原則として絶対にやめましょう。 暑さや寒さ対策のためにエアコンを使いたい気持ちはわかりますが、多くのリスクが伴います。
第一に、一酸化炭素中毒の危険です。特に冬場、雪でマフラーが埋まってしまうと、排気ガスが車内に逆流し、命に関わる重大な事故につながる可能性があります。また、車種や状況によっては、そうでなくとも排気ガスが車内に侵入するリスクはゼロではありません。
第二に、周囲への迷惑です。静かな夜間では、エンジンの音や振動は思った以上に響きます。 他の車中泊利用者や近隣住民の迷惑にならないよう、エンジンは必ず停止させましょう。さらに、環境への配慮や、無駄な燃料消費を避ける観点からも、アイドリングストップは車中泊の基本的なマナーです。
バッテリー上がりとエコノミークラス症候群の対策
エンジンを止めて車内で過ごす際には、バッテリー上がりとエコノミークラス症候群に注意が必要です。
バッテリー上がり対策
エンジンを停止した状態で、室内灯やオーディオ、スマートフォンの充電などを長時間行うと、バッテリーが上がってしまう可能性があります。対策としては、
- 消費電力の大きな電化製品は、ポータブル電源を利用する。
- 室内灯はこまめに消すか、消費電力の少ないLEDランタンを利用する。
- 定期的にエンジンをかけてバッテリーを充電する(ただし、周囲への配慮は忘れずに)。
といったことが挙げられます。
エコノミークラス症候群対策
セダンのように限られたスペースで長時間同じ姿勢でいると、血行が悪くなり、エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)を引き起こすリスクがあります。 対策として、
- 就寝前や起床後に軽いストレッチを行う。
- こまめに水分補給をする。
- 足を伸ばせるように、寝床のスペースをできるだけ広く確保する。
- 着圧ソックスなどを活用する。
などを心がけましょう。
周囲への配慮を忘れずに!車中泊の場所選びとマナー
車中泊はどこでもして良いわけではありません。許可されていない場所での車中泊はトラブルの原因となります。
車中泊が可能な場所
- オートキャンプ場: 電源やトイレ、水道などが完備されており、安心して利用できます。
- RVパーク: 日本RV協会が認定する車中泊専用の有料施設です。
- 湯YOUパーク(ゆうゆうパーク): 全国の旅館やホテルの駐車場を利用できるシステムです。
- 高速道路のSA/PA、道の駅: これらはあくまで休憩施設であり、宿泊施設ではありません。 仮眠は黙認されていることが多いですが、長期間の滞在や、車外にテーブルや椅子を出すなどのキャンプ行為は絶対にやめましょう。
守るべきマナー
- ゴミは必ず持ち帰る: 施設にゴミ箱があっても、家庭ゴミは持ち帰るのが基本です。
- 騒音に注意: 夜間や早朝のドアの開閉音、話し声、音楽など、周囲への配慮を忘れないようにしましょう。
- グレータンクの排水はしない: 食器を洗った水などを、駐車場に捨てるのはマナー違反です。
- 長期滞在はしない: 特に無料の駐車場では、連泊などの長期滞在は避けましょう。
これらのルールとマナーを守り、誰もが気持ちよく施設を利用できるよう心がけることが、車中泊文化を守っていくことにも繋がります。
まとめ:220クラウンで上質な車中泊を楽しもう

今回は、220クラウンでの車中泊について、寝床の作り方から便利グッズ、注意点まで詳しく解説しました。
220クラウンはフルフラットにはならず、車内空間も限られているため、車中泊には工夫が必要です。しかし、シートの段差をしっかりと解消し、適切なマットや寝袋、サンシェードなどを準備すれば、その高い静粛性を活かした快適なプライベート空間を作り出すことができます。
何よりも大切なのは、安全への配慮と周囲へのマナーです。アイドリングストップを徹底し、許可された場所でルールを守って楽しむことを忘れないでください。
準備を万全に整えれば、220クラウンは移動手段としてだけでなく、旅の拠点としても素晴らしい性能を発揮してくれるはずです。この記事を参考に、あなただけの特別な車中泊の旅へ出かけてみてはいかがでしょうか。



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